チリオーズのCMに非難殺到、何が問題かあなたには分かりますか?

by • June 7, 2013 • Latest NewsComments (0)11482

What Is Wrong With This Cheerios CM?

私事で誠に恐縮ですが4月末にようやく35歳で婚約した筆者、相手はハイチ系アメリカ人です。中国やインドなどあらゆる国々の通商人が行き交ったカリブ海諸島の出身な上、彼の母親はフランス人とハイチ人とのハーフで瞳が青灰色なもんで、家人は様々な人種が混ざり合った個性的な風貌をしています。

それでも浅黒い肌をしている都合上、人種のカテゴリーは「黒人」に該当します。対するワタクシはそのまんま日本人なので、カップルに見えないのかスタバなどでお茶をオーダーしていると、後ろに続く家人に対し店員さんが「はい次のお客様!」なんて声をかけることもしばしば。地下鉄7番線で家へ帰る道すがら家人と手をつないでいると、高齢のアジア系からじっと冷たい視線を送られることもあります。ストリートを歩いて時どき気づくのは、黒人女性からの「side eye」。つまりは中傷の目です。他人がどう思おうが私達はとっても幸せなのでどうでもいいんですけど、こういうニュースには、やっぱり反応しちゃいますね。

何かと申しますと、ゼネラル・ミルズが販売するシリアル「チリオーズ」のCMです。

表題の画像をクリックしてみて下さい。

4歳くらいのお嬢ちゃんが「パパがね、チリオーズは心臓にいいって言ってたんだけどホントなの?」とキッチンに佇む母親に尋ねます。母親から「チリオーズの箱にコレステロールを低下させるって書いてるわよ、それって健康的よね」とのお墨付きを得ると、満足気にニッコリ笑ってどこかへ行ってしまうお嬢ちゃん。場面が変わってカウチで父親らしき居眠りする男性が目を覚ますと、左胸に「チリオーズ」がふりかけられていました。

日常の何気ないシーンを切り取った、微笑ましいCMでしょ?

ところが・・・母親が白人で、父親が黒人なんですよ。

異人種間の家庭を主軸に置いたこのCMは、黒人白人の双方から猛烈なバッシング攻撃に遭ってしまったんです。ゼネラル・ミルズは夥しく押し寄せる口汚い非難に、ユーチューブ上でのコメント書き込みを規制しなければならないほどだったとか。

ユーチューブの視聴者数のうち、「支持しない」はわずか0.06%だったのに。
cheerios

 

ゼネラル・ミルズのヴァイス・プレジデントであるカミール・ギブソン氏はNBC放送のワイドショー「トゥデイ」に出演し、数多く投稿されたコメントが「家族にふさわしい内容ではありませんでした」と述べ、対応に迫られたと説明。また「弊社は単に、アメリカの家族を描き出したかっただけなんです。アメリカにはあらゆる文化が混ざり合った家族が存在するんですから」と、CMにゴーサインを出した理由を明らかにしてました。

ギブソン氏の発言を裏打ちするデータをご紹介しましょう。インターナショナル・ビジネス・タイムズが米国勢局の統計をもとに伝えたところ、性別の異なる異人種婚夫婦は2010年で全米カップルの10%にのぼりました。異人種間の子供となると、2000-2010年の10年間に32%も急増!同一人種の子供の9.2%増を圧倒してます。

ネットでの罵倒は日本でも「炎上」として度々世間をにぎわせてますが・・・アメリカでも、ひどいものがあります。今回の件でも、コメンテーターは「インターネットは現代のKKKの巣窟」とまで批判してました。ネット上では匿名性をいいことに、顔をみせて口にしない誹謗・中傷も言いたい放題ですからね。

つい先ごろも、ツィッターで差別的な中傷表現の発信した「ヘイト・マップ」が全米で大きな話題になりました。カリフォルニア州立ハンボルト大学が人種、同性愛者、身体障害者への差別ツィート数を可視化したこの結果に、多少予想していたとはいえ目を疑ったものです。

全米の「ヘイト・マップ」をみても、人種差別が未だ息づいているの一目瞭然。
cheerios2

いずれにしてもアメリカ白人を母に、ケニア黒人を父にもつオバマ米大統領が誕生した現代に合わせCM製作したゼネラル・ミルズは、間違いなく今回の勝者といえます。これ1本で全米にわたって大反響を呼び、かつ増加中の異人種間カップルの支持も取り付けたでしょうから。

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