Is Twitter IPO Fever Real? Retail Investors Seem Cautious.
マーケットが熱い視線を寄せるツイッターの新規株式公開(IPO)が、いよいよ7日に実施されます。4日の段階で公開価格を従来の17-20ドルから23-25ドルに引き上げており、調達額は最大で20億1250万ドル(1972億円)となる見通し。普通株の発行枠は、7000万株を維持しています。
旺盛な需要を反映したと連想させる価格引き上げに、個人投資家の間でもさぞかし盛り上がりをみせているかと思うでしょ?AP/CNBCが行った調査では、意外な結果が出て参りました。
ツィッター株の取得を「有益な投資」と回答したアメリカ人は、全体の36%に過ぎなかったんです。47%は「有益な投資ではない」と判断していました。2012年5月当時のフェイスブックをみると51%が「有益な投資」と判断していた一方で、31%が反対していたことと対照的なんですよね。
興味深いことに、ツイッター利用頻度が高いとされるミレニアル層(22-32歳)のうち実に52%と過半数がツイッター投資に対し「良いアイデアとはいえない」と回答する有様。フェイスブックの痛手が、よほど大きかったのかのかもしれませんね。FBは2012年5月のIPOから半年で急落し株価は公開価格38ドルから半減するにいたり、公開価格の水準へ戻すまで1年以上掛かりました。
追い討ちをかけるようにツイッターが向こう5年以内に「成功する可能性が高い」とする回答は、わずか35%なんですね。IPO前のフェイスブックが54%だった点を踏まえると、期待値の低さは歴然。ただし、リンクトインも18%でした。結果的に2011年のIPOから約130%上昇しており、必ずしも個人投資家の直感が正しいとも言い切れないことが分かります。
今回、ツイッターが上場する上での短期的な利点をみてみましょう。
1)ナスダックではなく、ニューヨーク証券取引所での上場
→ナスダックは1日にもオプション市場で障害を引き起こし、8月22日にも3時間にわたって取引停止に追い込まれた。フェイスブック上場初日の2012年5月18日に、取引混乱をめぐるシステム障害が発生したことは記憶に新しい
2)フェイスブックの上場時のように大手顧客が広告停止を発表せず
ツィッターは売上のうち89%を広告に依存するなか、フェイスブックIPO直前のときのようにゼネラル・モーターズの大手顧客が水を差していない
3)訪問者当たりの売上高の伸びが大きい
→アドビ・システムズの調査では、ツィッターの訪問者当たりの売上高は前年比で300%の44セントとフェイスブックの39%増の93セントを断然上回る
ツィッターの利用者数、売上は着々と増加トレンドをたどります。
(出所: WSJ紙)
中長期的にはトップがカリスマでない点も、ポジティブでしょう。アップルやマイクロソフトの例をみるまでもなく、カリスマCEOの退任は波乱を招きやすいですものね。
上場に際し短期的なマクロ面でのリスクといえば・・。
1)当日に米7-9月期国内総生産(GDP)速報値、翌8日に米10月雇用統計の発表を控える
2)量的緩和(QE)縮小リスク再燃と米債利回り上昇
3)米議会動向、イエレンFRB副議長の指名承認採決の行方
1)、2)の2点については、南米通貨が下落しインドやブラジルをはじめエマージング株式市場に下落の兆候が見て取れる点が気になります。インドのSENSEX指数は5日にディワリ祭りの休場明け、最高値から窓を開けて下落してました。米雇用統計をはじめとした結果次第では米債利回り上昇し、あらためて金融環境の引き締めが意識されます。
3)のイエレン副議長の指名採決は、米上院・共和党のランド・ポール議員が妨害を表明済みでジョン・マケイン議員も阻止に賛同していました。可能性は低いでしょうが、仮に波乱が生じれば予算協議以前に米議会のこう着があらためて意識されて株価指数の上値を抑えに掛かるかもしれません。いずれにしても、IPO直後はボラが高くなって手を出しづらそうです・・。
(カバー写真 : AP)
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