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アックマン氏が華麗に駆使した、ウォール街の黄金ルールとは?

by • November 18, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off7395

Bill Ackman Earns $2.6 Billion By Playing ‘Heads I Win, Tails You Lose’.

ビル・アックマン氏といえば、運用資産150億ドル(約1兆7550億円)を抱えるパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者兼最高経営責任者(CEO)。こちらの本で指摘されたように典型的な物言う投資家の1人で、健康食品大手ハーバライフに「エンロン疑惑ばりの不正を暴く」とショート戦略で挑戦状を突きつけた人物です。ハーバライフの株主である物言う投資家の大御所、カール・アイカーン氏と修羅場を演じたこともありました。

またアックマン氏は、JCペニーへの投資が間違いだったと気づくや否や株式を売却し取締役を辞任するなど、決断力の早さでも知られます。2013年9月に5億ドル(約585億円)のブロックトレードで売りに出した当時、JCペニーの株価は12.91ドルでしたが、今では7.3ドル付近ですからね。

ニューヨーク市の超高級コンドミニアム、「One 57」のペントハウスをご購入した張本人でもあるアックマン氏。しわ取り注射「ボトックス」で知られるアラガンを加製薬会社バリアントと手を組んで買収に乗り出した今年4月からは、連日メディアをにぎわしたものです。買収提示額を引き上げつつもアラガンの執拗な抵抗に遭い、敵対的買収に切り替えてからどうなることかと見守っていたら・・。後発医薬品大手アクタビスが白馬の騎士(ホワイトナイト)として颯爽と現れ、アラガンを現金と株式で660億ドル(約7億7220万円)でさらっていきました。

11月17日には、アクタビスとアラガンの両CEOがCNBCにそろって生出演。
cnbc
(出所:CNBC)

アックマン氏、アクタビスによる買収劇にほぞを噛んだ?いえいえ、アラガンを奪われても、御の字だったんです。アックマン氏率いるパーシング・スクエア、アラガンの保有株数は2890万株で、持ち株比率は9.7%。平均取得価格は129.28とされる半面、アクタビスによる買収提示額は1ドル当たり219ドルですから、何もしないでざっと26億ドル(約3040億円)の利益が転がり込んだことになります。

これぞ、ウォール街の黄金ルール「コインが表なら僕の勝ち、裏なら君の負け(Heads I Win, Tails You Lose)」——そう、「コインが表なら僕の勝ち、裏なら君の勝ち」ではなかった。アックマン氏がアラガンを買収しようがしまいが、どっちに転んでも「絶対負けないゲーム」だったんですよね。

もっと言うなら、アクタビスも勝ち組です。アラガン株は、買収合意を受けて続伸。前週末の終値から、約10%も急伸しています。今回の買収を通じ、アクタビスは時価総額ベースで製薬会社トップ10に躍り出るだけではありません。ブレント・サンダーズ最高経営責任者(CEO)によると、既存事業売上高はしばらく毎年10%増を達成する見通し。おまけに2017年の1株当たり利益につき25ドルを予想しており、2014年のアナリスト予想平均を84%上回る計算となれば、投資家が好感しないはずはありません。

ウォール街の黄金ルールは、誰もがハッピーになる法則でもあったということですね。

(カバー写真:Reuters)

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