Which U.S. Bank Has The Most Exposure To The Oil Industry?
原油先物は12日、WTI原油先物が46.07ドル(2.29ドル安、4.7%安 )と大幅続落。2009年4月以来の安値で取引を終えました。ブレント原油先物も、47.43ドル(2.68ドル安、5.35%安)と2009年3月以来の水準で引けています。
原油安が泥沼化するなかで、盛んに議論されているのが経済への影響。10−12月期決算シーズンがアルコアで幕を開けた今では事前にこうした予想も出ているだけに、エネルギー関連がどれほど全体の業績を押し下げるかが懸念されています。
決算で意識すべきは、本丸のエネルギー関連だけではありません。銀行セクターこそ、負の連鎖をめぐる試金石となります。特にJPモルガン・チェースと同じ14日に決算発表を予定するウェルズ・ファーゴといえば、ニューヨーク・タイムズ紙のディールブックがまとめたように投資銀行部門の収入に占めるエネルギー関連向け投資が14.9%。米銀のなかでも特に際立っていますから、なおさらです。以下は石油・ガス関連企業への貸出、引き受け、助言業務に基づく投資銀行部門収入の上位10位、および投資銀行部門の収入に占めるその割合。オレンジが米銀になります。
1位 シティグループ 4億9200万ドル 11.8%
2位 JPモルガン 4億3500万ドル 6.6%
3位 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ 3億9300万ドル 7.4%
4位 バークレイズ 3億8200万ドル 10.7%
5位 ゴールドマン・サックス 3億8100万ドル 7.1%
6位 RBCキャピタル・マーケッツ 3億7600万ドル 20.2%
7位 クレディ・スイス 3億1200万ドル 8.1%
8位 ウェルズ・ファーゴ 2億8600万ドル 14.9%
9位 スコシアバンク 2億4200万ドル 34.6%
10位 ドイツ銀行 2億2100万ドル、5.1%
すでに石油・ガス関連企業は、設備投資見通しを縮小中。2014年12月には、シェールオイルの父との誉れ高いハロルド・ハム氏率いるコンチネンタル・リソーシズが2015年の設備投資見通しを11月時点の46億ドルから27億ドルへ下方修正していました。当初の見通し52億ドルから、ほぼ半減させています。中小企業も、もちろんご多分に漏れず。MLVのアナリスト、チャド・メイブリー氏は中小エネルギー企業の設備投資につき原油が急落する以前は10−15%増を見込んだものの、今では20—25%減と失望的な数字へ修正していました。油田サービス大手ベーカー・ヒューズも、石油リグの稼働数の減少を報告するはずです。
原油安に伴う労働市場の悪化も、見捨てておけません。CNBCによると、2007—12年において石油・ガス関連企業の就労者数は40%増の16万2000人を記録し、民間就労者数の1%増を大きく上回っていました。2014年11月までには21万5200人へ膨らみ、採掘業や採石業を合わせると86万9000人に達したといいます。
石油セクター就労者数、テキサス州が11万560人とぶっちぎり1位ながら1000人当たりではワイオミング州が30.2人で首位。
(出所:CNBC)
おまけに石油・ガス事業は、賃金が比較的高かった。同事業の非管理職労働者の平均時間当たり賃金は2014年10月時点で31.62ドル(約3750円)、管理職を含めた全就労者数の場合で40.79ドル(約4830円)と、当時の全米平均24.56ドル(約2910円)を軽く超えています。これまで雇用と賃金の両方で労働指標のけん引役として貢献してきましたが、原油安局面になると話は別。エネルギー関連の時間当たり賃金が大幅に低下した結果、米12月雇用統計で全米平均を2013年7月以来のマイナスに引きずり下ろしたことは、記憶に新しいですよね。
原油安の逆風に耐えられず、WBHエナジー・パートナーのようにチャプター11の適用を申請する企業も出てきました。米株への本腰を入れた買い戻しは、ひとまず米銀決算を確認してからでも遅くはないかと拝察いたします。
(カバー写真:Joe Branco/Flickr)
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