IMF Cuts Global Growth Outlook Despite Cheaper Oil.
国際通貨基金（IMF）は19日、最新の世界経済見通し（WEO）を公表しました。2015年は3.5％と前回2014年10月3.8％から下方修正。2016年も従来の4.0％から3.7％へ引き下げています。
国・地域別でみると、特に下方修正が目立ったのはロシア。経済制裁と原油安を背景に2015年の従来は0.5％からマイナス3.0％へ、2016年もマイナス1.0％と前回の1.5％から大幅に引き下げています。中国は原油安の恩恵を受けるかと思ったら、2015年と2016年ともに下方修正されました。2015年は6.8％と従来の7.1％から、2016年も6.3％と従来の6.8％から引き下げられており、中国当局の不動産規制強化を一因に挙げています。インド準備銀行（RBI）が1月15日に1年ぶりとなる利下げに踏み切るなか、同国の2015年成長見通しは従来の6.4％から6.3％の小幅な下方修正にとどめました。2016年は6.5％で据え置いており、中国を追い抜く見通しです。
10カ国以上が成長見通しを下方修正されるなか、米国の2015年成長見通しは従来の3.1％から3.6％へ上方修正されています。ガソリン価格の下落が消費を加速させるとの見地に立っているわけですね。米連邦公開市場委員会（FOMC）と歩調を合わせています。2016年も3.3％と従来の3.0％から引き上げており、Fedの利上げ開始が予想されながら景気に楽観的です。
ユーロ圏は2015年が1.2％、2016年は1.4％。それぞれ従来の1.4％、1.7％から下方修正されています。22日の欧州中央銀行（ECB）定例理事会で、国債買い入れに踏み切る観測がをさらに強めた格好です。日本は2015年が0.2％ポイント引き下げられ0.6％、2016年は0.1％ポイント低下の0.8％。ユーロ圏と日本については、経済停滞と低インフレのリスクに触れていました。
前回は、IMFが株式市場で「泡の表面化」に言及しマーケットの下落を促しました。今回は市場を驚かすことはありませんでしたが、リスク要因に世界金融市場のボラティリティ上昇を挙げています。また、産油国が多いエマージング国でのバランスシート悪化を懸念していました。以下は、各国・地域の成長見通しで（）内の数字は前回10月あるいはその後の改定値となります。
2015年成長率見通し
世界経済→3.5％（3.8％）
先進国→2.4％（2.5％）
米国→3.6％（3.1％）
ユーロ圏→1.2％（1.4％）
独→1.3％（1.5％）
仏→0.9％（1.0％）
伊→0.4％（0.9％）
西→2.0％（1.7％）
日本→0.6％（0.8％）
英国→2.7％（2.7％）
カナダ→2.3％（2.4％）
新興国→4.3％（4.9％）
中国→6.8％（7.1％）
インド→6.3％（6.4％）
ASEAN5ヵ国→5.2％（5.4％）
ブラジル→0.3％（1.4％）
メキシコ→3.2％（3.5％）
ロシア→マイナス3.0％（0.5％）
2016年成長見通し
世界経済→3.7％（4.0％）
先進国→2.4％（2.4％）
米国→3.3％（3.0％）
ユーロ圏→1.4％（1.7％）
独→1.5％（1.8％）
仏→1.3％（1.5％）
伊→0.8％（1.3％）
西→1.8％（1.6％）
日本→0.8％（0.9％）
英国→2.4％（2.5％）
カナダ→2.1％（2.4％）
新興国→4.7％（5.2％）
中国→6.3％（6.8％）
インド→6.5％（6.5％）
ASEAN5ヵ国→5.3％（5.4％）
ブラジル→1.5％（2.2％）
メキシコ→3.5％（3.8％）
ロシア→マイナス1.0％（1.5％）
2014年成長率
世界経済→3.3％（3.3％）
先進国→1.8％（1.8％）
米国→2.4％（2.2％）
ユーロ圏→0.8％（0.8％）
独→1.5％（1.4％）
仏→0.4％（0.4％）
伊→マイナス0.4％（マイナス0.2％）
西→1.4％（1.3％）
日本→0.1％（0.9％）
英国→2.6％（3.2％）
カナダ→2.4％（2.3％）
新興国→4.4％（4.4％）
中国→7.4％（7.4％）
インド→5.8％（5.6％）
ASEAN5ヵ国→4.5％（4.7％）
ブラジル→0.1％（0.3％）
メキシコ→2.1％（2.4％）
ロシア→0.6％（0.2％）
（カバー写真：Euractiv）
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