ADP : January Private Payrolls Rise At A Slower Pace.
米1月ADP全国雇用者数は前月比21.3万人増となり、市場予想の22.3万人増を下回った。前月の25.3万人増(24.1万人増から上方修正)にも届かず、4ヵ月ぶり低水準。5ヵ月連続で20万人の大台を維持し2010年2月以来の増加トレンドも保ったものの、雇用増加ペース鈍化の兆しをみせている。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、今回は4ヵ月ぶりの低水準に並ぶ。
(出所:ADP)
内訳は、以下の通り。
▽企業規模別
中小企業 17.3万人増<前月は19.3人増、4ヵ月ぶり低水準
大企業 4.0万人増<前月は6.6万人増、3ヵ月ぶり低水準
▽業種別
サービス業 21.3万人増<前月は25.3万人増、4ヵ月ぶり低水準に並ぶ
(米1月ISM非製造業景況指数の雇用は51.6と、前月の55.7を下回った結果と整合的)
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 4.2万人増<前月は7.2万人増、5ヵ月ぶり低水準
・金融 1.1万人増<前月は1.4万人増
・貿易・輸送・公益 5.4万人増>前月は4.0万人増、7ヵ月連続で増加
財生産業 3.1万人増<前月は4.7万人増、5ヵ月ぶり低水準
(米1月ISM製造業景況指数の雇用は54.1と、前月の56.0を下回った結果と整合的)
・製造業 1.4万人増<前月2.3万人増
・建設 1.8万人増<前月は2.6万人増、4ヵ月ぶり低水準
ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受けて「雇用の伸びは足元から鈍化しながらも、堅調なペースを保った」と指摘。エネルギー関連企業が原油安を背景に雇用を抑制し、原油安の恩恵を受ける産業セクターですら雇用増加ペースは非常に緩やかながら「2015年も改善をたどる」と結んだ。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、今回の結果を踏まえ「統計手法を変更した2012年後半から、非農業部門就労者数(NFP)速報値とのかい離は4万人」と指摘しつつ、「米1月雇用統計・NFPの民間就労者数における当方予想22.0万人増に沿う数字」と振り返った。同氏の予想は、2014年8月以来の低水準となるが、20万人の大台を超えることから「雇用の底堅さを示す」とまとめている。ブルームバーグによると、米1月雇用統計・NFP予想中央値は23.0万人増、民間就労者数の予想中央値は22.8万人増。失業率は、12月と同じく5.6%が見込まれている。
ゴールドマン・サックスは、米1月雇用統計・NFPの予想を従来の25.0万人増から21.0万人増へ引き下げた。ADPの結果よりも、米1月非製造業景況指数の雇用を重視したという。
——石油メジャーが設備投資計画をそろって削減し、油田サービスのほかサービス業にまでリストラの発表が相次いでおり雇用の伸びが2014年後半を維持できるかは不透明です。決算もドル高圧力が色濃く反映されており、1−3月期は減益となる見通し。また採用する企業と応募する人材がマッチせず、人材派遣業関係者からは「1つの職で求人広告を2年にわたり掲載している場合もある」との指摘も聞かれています。1月米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文では雇用の伸びをめぐる文言を「堅調な(solid)」から「強い(strong)」へ上方修正しましたが、この表現が今後維持できるか注目されます。
(カバー写真 : Shannon Stapleton/Reuters)
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