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10−12月期決算、アップルの力技で増益率はほぼ横ばいから好転

by • February 1, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2440

Without Apple, Q4 Earnings Growth Would Be Close To Flat.

アルコアで開幕した10−12月期決算は、原油安に加えドル高のインパクトもあって多国籍企業が苦戦しておりました。ファクトセットによると、1月30日までにS&P500構成銘柄のうち227社が決算を発表。増益率は前年同期比2.1%となり、当初の予想こそ下回りましたが2%を確保しました。

しかし、この数字にはオチがあります。

増益率の半分は、アップルが押し上げていたのです。S&P500構成銘柄のうち決算を発表した企業の利益を合わせると、アップル決算前にあたる1月23日週で2688億ドル、増益率はたった0.2%に過ぎませんでした。ところが1月27日に発表したアップルの決算後は、1月30日週は2738億ドルと前週から50億ドル増加しただけでなく、増益率は2.1%へ跳ね上がっていたのです。その他ネットフリックスアマゾンなどのITセクターも押し上げたのでしょうが、やはりアップルの威力には敵いません。

アップル決算発表後、EPS増益率はほぼ横ばいから1月27日で一気に急伸。

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セクター別の増益率をみると、通信セクターがけん引し21.7%増を遂げていました。次いでヘルスケアが19.0%増、ITが9.1%増、産業財が7.8%、裁量消費財が4.9%増となります。原油安の痛手から、エネルギーは22.6%減。公益も7.0%減、大手銀をはじめ不振だった決算を背景に金融も4.3%減だったほか、生活必需品や素材もそれぞれ3.1%、2.0%と減少していました。

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売上の伸び率は1.4%増となり、2014年12月末時点の1.2%増を上回りました。セクター別の増収率でのトップは、ヘルスケアで10.2%増。次いでITが8.3%増、通信が5.1%増、公益が3.4%増、裁量消費財が2.7%増、産業財が2.7%増、生活必需品は2.4%増、金融は0.5%増となります。もちろん最悪はエネルギーで14.5%減。素材はワースト2位で1.8%減を示しました。

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10−12月期の決算を発表した227社のうち、1株当たり利益(EPS)で市場予想を上回った割合は80%となり、5年平均である73%を超えています。一方で売上が市場予想を上回った割合は58%と、過去5年平均の59%にわずかながら及んでいません。

1−3月期のガイダンスはというと、発表した46社のうち80%に相当する37社が減益を予想していました。9社のみ増益を見込む程度とあって、1−3月期見通しは1.6%減。2014年12月末時点の4.2%から、大幅な下方修正となりました。アナリストは2015年4−6月期も0.9%増とわずかな増加を予想するにとどめており、こちらも2014年12月末の5.4%から劇的に引き下げられています。

セクター別のEPS伸び率予想では、ヘルスケアがトップで11.4%増となります。2位は裁量消費財で11.0%増、次いで金融が9.6%増、産業財が5.4%増、生活必需品が2.0%増、ITが1.3%増。一方でワースト1位は不動のエネルギーで53.8%減となり、公益が5.6%減、通信が1.6%減と続きました。

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当然、売上高見通しも下方修正されました。1−3月期と4−6月期、そろって2.4%減。2014年12月末時点の1.6%増、1.0%増から、一段の悪化が見込まれています。

セクター別では、ヘルスケアがトップに立ち8.2%増だったほか、ITが6.4%増、生活必需品が3.9%増、通信が3.8%増、裁量消費財が3.3%増、金融が2.6%増、産業財が2.0%増と並びます。ワースト1位はエネルギーがぶっちぎりで38.1%減を示し、公益は4.1%減、素材も1.8%減でした。

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原油安、ドル高、世界景気の減速懸念が渦巻くなか、米企業の決算から確実に楽観的な見方が後退しつつあります。

(文中写真全て:Factset、カバー写真:Andy/Flickr)

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