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米12月個人消費、ホリデー商戦本番に09年9月以来の減少

by • February 2, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1675

December Personal Spending Falls In The Middle Of Holiday Season.

米12月個人消費支出は前月比0.3%減となり、市場予想の0.2%減を下げ幅を広げた。ホリデー商戦の真っ盛りに、11月の0.5%増(0.6%増から下方修正)から減少に転じ、2009年9月以来初めてマイナスに落ち込んだ。消費の内訳は、以下の通り。

・耐久財 1.27%減<前月の0.41%増と合わせ3ヵ月ぶりに減少
・非耐久財 1.30%減<前月の0.26%減から下げ幅を拡大し2ヵ月連続で減少
・サービス 0.14%増<前月の0.53%増を含み増加基調を維持するも足元で最も小幅

耐久財は米12月新車販売台数が11月から減速していたように、サンクスギビング・デーおよびブラック・フライデー前倒しセールで消費が11月に集中した反動が出たとみられる。非耐久財は、ガソリン価格の下落を反映。サービスはクリスマス頃に寒気が訪れたものの、2014年の地球気温が史上最高だったように平年を上回る気温を受けて暖房需要が抑えられた。

1月に入り、積雪に見舞われるパターンが多くなってきたNY。財布を取る手もかじかむ?
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(出所:My Big Apple NY)

米12月個人所得は前月比0.3%増となり、市場予想の0.2%増を上回った。12ヵ月連続での増加となる。可処分所得は、3ヵ月連続で0.3%増。貯蓄率は所得の増加と支出の減少に合わせ4.9%へ上昇、5ヵ月ぶり高水準だった。

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金・所得 0.1%増<前月の0.5%増を下回りつつ7ヵ月連続で増加
(民間が0.1%増と前月の0.6%増以下に、財生産業が0.3%減と5ヵ月ぶりに減少。原油安を背景に設備投資計画を次々に発表しているエネルギー関連が下押しした可能性を示し、製造業は0.3%減だった。サービスは0.1%増と7ヵ月連続で増加したなかで最も小幅にとどまる。政府は前月まで2ヵ月連続で0.1%増を経て、0.2%増へ戻した。)
・不動産収入 0.9%増>前月の0.2%減から反転
(農場が7.2%増と3ヵ月連続で増加し、非農場は0.6%増と前月の減少を打ち消し)
・家賃収入 0.8%増>前月の0.4%増を合わせ22ヵ月連続で増加
・資産収入 0.1%増=前月の0.1%増を含め3ヵ月連続で増加
(配当は0.4%増と11ヵ月連続で増加したものの、金利収入は低金利を受け0.2%減と6ヵ月連続で減少)
・社会福祉 1.0%増>前月の0.3%増を含め2ヵ月連続で増加
(メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.2%増と前月の0.1%減から反転、メディケア=高所得者向け医療保険は0.2%増と3ヵ月ぶりに増加)
・社会補助 0.2%増<前月は0.3%増、少なくとも13ヵ月連続で増加

米12月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%の低下となり、市場予想の0.3%より下げ幅を縮めた。前月の0.2%の低下を含め、2ヵ月連続でリーマン・ショックの衝撃が冷めやらぬ2008年12月以来で最低を示す。前年比は0.7%の上昇にとどまり、市場予想の0.8%以下に。前月の1.2%から鈍化し、2009年10月以来の低水準だった。コアPCEデフレーターは市場予想および前月と一致し、±0%。前年比も市場予想と一致し1.3%となり、前月の1.4%から減速した。PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」からかい離した水準を維持。目標値割れは、そろって2012年5月以来となる。

2014年の個人所得は前年比3.9%増となり、2013年の2.0%増を上回った。実質可処分所得は2.4%増と、こちらも前年の0.2%減から増加に反転。実質PCEデフレーターは2.5%の上昇と、前年の2.4%から伸びを広げた。2014年の個人消費は3.9%増となり、2013年の3.6%増から加速した。

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受けて「10−12月期の個人消費は10月と11月に集中しており、1−3月期の消費鈍化を示唆する」と指摘。その上で「米1−3月期の個人消費見通しを従来の3.8%増から3.6%増へ、米1−3月期GDP予想も従来の3.3%増から3.2%増へ引き下げる」とまとめた。インフレに対しては、原油安とドル高でコア・サービスまで鈍化しているため「10月頃にPCEコアは前年比で1.1%まで減速する場合もありうる」とし、ディスインフレ・リスクを点灯させた。

——米10−12月期GDP速報値は個人消費に支えられましたが、悪天候を受けて消費が抑えられやすい冬期に鈍化リスクが高まりつつあります。貯蓄率の改善は好材料であるものの、エネルギー関連をはじめリストラが相次ぐなかでは所得の伸びが堅調に増加してくるかは微妙な状勢。貯蓄率の上昇は将来の不透明性を指しているとも考えられ、しんしんと降る雪で視界が曇るニューヨークよろしく消費の見通しも不透明になってきました。ちなみにホワイトハウスは2015年の成長率を3.1%増、2016年を3.0%増、2017年を2.8%増と見込んでいます。ガソリン価格が購買力につながっておらずインフレも一段の減速しており、FOMCは楽観シナリオを維持するのか気になりますね。

(カバー写真:chuddlesworth/Flickr)

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