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メイシーズとラルフ・ローレン、ホリデー商戦で明暗が分かれたワケ

by • February 4, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off4419

Department Stores Find A Way To Attract Consumers While Apparel Brands Faces Strong Dollar.

2014年のホリデー商戦は、過去最高を達成したものの事前予想を小幅に下回りました。11月に季節外れの打ち上げ花火のような勢いをみせたものの、米12月小売売上高米12月個人消費で明らかになったように尻すぼみで幕を閉じたものです。

いわば、消費者に財布を開けてもらうにはセール以外のひと工夫が必要となっている。そういった事情を反映したのか、百貨店と服飾ブランドで明暗がはっきり分かれています。

▽メイシーズ

大衆向け百貨店大手が3日に発表した2014年度(2015年1月末終了)の1株当たり利益見通しは4.35−4.37ドルとなり、1月8日に発表した4.25−4.35ドルから上方修正した。レンジ上限は、市場予想の4.33ドルも超えている。既存店売上高は2.5%増とし、同社予想レンジ2.5−3.5%増の下限に落ち着いた。同社の11−1月期決算発表は、2月24日の予定となる。

業績見通しとともに、スキンケア製品と高級スパを手掛けるブルーマーキュリーを現金にて2億1000万ドルで買収すると発表。過去10年間で初の買収となる。ブルーマーキュリーは1999年に創業し、18州に60店舗をもつ。買収後は、825ヵ所にのぼる百貨店で商品やサロンを展開する見通しで、メイシーズの女性顧客取り込みに貢献する見通しだ。買収完了は、2−4月末を目指す。他に、ジェフ・ガネット最高販売責任者(CMO)を含む経営陣の2人を成長戦略に従事させる人事を明らかにした。

▽コールズ

格安百貨店が4日に発表した11−1月(第4四半期)決算の暫定版で、既存店売上高は前年同期比3.7%増だった。売上が増加した一因こそ、異例の営業戦略が挙げられる。ホリデー商戦の終盤にあたる2014年12月19日午前6時から24日の午後6時まで、連続100時間以上もぶっ続けで営業し顧客獲得を図っていた。2014年度(2015年1月末終了)の1株当たり利益は4.20—4.22ドルを見込み、従来の4.05—4.45ドルから修正した。11−1月期決算は、2月26日に発表する。

▽ラルフ・ローレン

服飾ブランド大手が寄り前に発表した10−12月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比9.3%減の2億1500万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は2.41ドルと、市場予想の2.50ドルに及ばず。売上高は0.9%増の20億3300万ドルとなり、同社予想の3−5%増以下にとどまった。為替差損を除く場合は、3%増へ伸びを拡大させる。売上高の内訳をみると、小売部門が1.7%増の11億4900万ドル。小売は為替差損で3%押し下げられた。ニューヨーク初の“POLO”の旗艦店が9月にオープンするなど新店舗が売上に寄与しており、新規開店と閉鎖店舗と除いた場合は2%減となる。 卸売部門はほぼ変わらずの8億3700万ドルだった。営業利益率は15.5%と、前年同期の16.6%から低下した。設備投資が53%増の1億2400万ドルとなり、新店舗向け費用はインフラ整備が被さったという。

55丁目と56丁目の5thアベニュー沿いに、旗艦店が誕生。
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今年1月には、アルマーニの戦略を踏襲しレストランもオープンしました。
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(出所:Ralph Lauren)

2014年度(2015年3月終了)の売上高の伸びを4%増と予想した。従来の5−7%増から、下方修正している。1−3月期の売上高は5%増を見込み、市場予想の7%増の20億ドル以下にとどまった。 決算発表に合わせ、配当を前年同期比11%増の0.50 ドルに引き上げた。

▽キャシェ

女性服飾小売店は4日、破産申請を行った。過去3ヵ月間で服飾関連の申請は5社目となる。同社はモールを中心に展開する小売店でアウトレット店舗を218軒抱えており、過去9四半期にわたって損失を計上していた。40年の歴史を持ち、2013年末で従業員は2652人。イタリアの高級ブランド、アルマーニやベルサーチを初めて米国に紹介した小売店として知られる。

——キャシェはともかくとして、ラルフ・ローレンとメイシーズおよびコールズの百貨店連合には歴然とした違いが横たわります。ズバリ、為替差損。メイシーズやコールズは内需頼みですから、素直にガソリン価格の下落と雇用改善の恩恵を受けました。また百貨店チームは高級ブランドには到底できないであろう、マラソン営業を決断する柔軟性を持ち合わせています。小売セクターにとって、なりふり構わぬ戦略こそが生き残る道なんでしょう。

(カバー写真:Frank Swift/Flickr)

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