Fashion Week Economic Impact Is More Striking Than The Super Bowl.
冬将軍が猛威を振るうこの季節、ファッション・ウィークがリンカーン・センターを拠点に優雅に花開く。今年も12日から19日にわたる1週間、盛大に開催されます。
ファッション・ナイトアウトこそトレンドを無視した心ない方々のマナー違反が災いして廃止されましたが、ニューヨーク市のドル箱イベントとの地位は疑いようもありません。ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)が算盤を弾いたところ、年2回で経済効果は9億ドル(約1062億円)!2010年時点から、ほぼ倍増しているんですね。破廉恥な写真をきっかけに米下院議員の座を奪われた、あのアンソニー・ウィーナー氏が注力した産業なだけあります。
キャロリン・B・バローニー米下院議員(NY州)と米上下院共同経済委員会がまとめたレポートによると、U.S. オープンで8億ドル、2014年にニュージャージー州で開催されたスーパーボウルですら5億5000万ドルといいますから、そのインパクトがいかに大きいかが思い知らされますよね。ニューヨーク・シティ・マラソンの3億4000万ドルなんて、比較するのもおこがましいくらいです。
金融の中心地だけでなく、ファッションのメッカとしての地位を確立したニューヨーク市。カルバン・クラインやダナ・キャランをはじめ900社ものブランドが本社を構え、服飾関連の売上は年間150億ドルと全米一を誇ります。デザイナー数でも当然NY市がトップをひた走り、7460人。2位のカリフォルニア州ロサンジェルスの4470人を大きく引き離し、同州サンフランシスコの540人、オハイオ州コロンバスの518人など追随を許しません。
デザイナーの数では、比類ない水準を誇るNY市。
(出所:maloney.house.gov)
NY市のファッション産業規模は980億ドル(約11兆5640億円)、従業員数は18万人を数え市全体で6%に及ぶといいます。リーマン・ショックが直撃した2008年の金融セクターで34万4700人ですから、決して少ない数字ではありません。賃金支払い総額は109億ドル(約1兆2860億円)、納税額は20億ドル(約2360億円)に達しており、NY市の貴重な財源となっていることでしょう。
ファッション・ウィークの舞台としてこの上ない存在感を放つNY市。世界中からセレブや関係者が詰めかけ注目度が確実にアップするなか、会場はブライアント・パークからリンカーン・センターへ移るまでに成長しました。
華やかなイベントの裏で、ファッション業界に吹き付ける風は冷たさを増しております。ヴォーグ誌の9月号はペース数を減らし、今年は新年早々ウェット・シールが大リストラを発表。キャシェは過去3ヵ月で5社目となる破産申請を行い、ラルフ・ローレンやマイケル・コースは業績見通しが市場予想を裏切る有様です。若い世代を中心にファスト・ファッションへ傾倒し、消費先をスマートフォンやアプリをはじめとしたIT関連へ振り向けており、ファッション業界はこれまでの栄光に寄りかかっていられません。ココ・シャネルはかつて「私は流れに逆らって泳ぐことで、強くなったの」と言い放ちましたが、業界は荒波をどのようにくぐり抜けていくのでしょうか。
(カバー写真:Vogue)
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