Gundlach Says Don’t Short U.S. Dollar.
米株は、10日にドル高を一因に安値引け。ダウ平均は2014年10月9日以来で最大の下げ幅を示現し、取引を終えました。これだけドル高が急速に進めば、来週17−18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で「(利上げに)忍耐強くなれる」の文言削除を先送りする可能性も、捨てきれません。振り返れば2014年には資産買い入れの縮小を宣言するとみられた9月FOMCにて、まさかの後ろ倒しを決定した実績があります。債務上限引き上げと暫定予算交渉のこう着を受け米政府機関の閉鎖リスクが台頭していたせいか、当時テーパリング開始発表は12月まで待たねばなりませんでした。
それでも、この方はドル・ショート戦略を推奨していません。
ご存じ、新債券王の異名を欲しいままにするダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)は、顧客向けプレゼンテーションで逆張り投資に警鐘を鳴らします。ドルは「持続的でない水準」にいたるまで上昇を続けると見込むほか、「為替のトレンドは通常かなり長い時間にわたって続く」と判断しており、ドル・ショート戦略に否定的なんです。当然、ユーロ・ロングは回避すべきと説きます。
米株相場をめぐっては「ドル高を歓迎していないことを示唆している」との見方を明らかにし、ベア寄りの姿勢をにじませています。米株安と米債高を予想した年初から、スタンスを変えていません。
2014年7月以降、他主要通貨はスイスフラン(赤)以外軒並みダウントレンド。
(出所:DoubleLine Capital/Business Insider)
ドル高継続を想定しながら、Fedが上半期に利上げを実施した場合は「Fedは後悔することになる」と警告。Fedが利上げ路線を撤回するリスクにすら、注意を促します。インフレに上振れ懸念は微塵もないといい、低金利時代が継続するとの予想を据え置いていました。
中央銀行がこぞって緩和策を打ち出している現状にも、疑問を投げかけます。その名も「Blockhead(’ばか者’の意味あり)」と題した顧客向けプレゼンテーションで、ガンドラック氏は「世界各国の中銀が複雑な政策を積み上げている」と指摘。積み木のようにいくつもの政策が重なり塔を築いていくものの、いつか耐えきれず緩和的な構造は崩れていくと悲観的なシナリオを描きます。
ドル高・ディスインフレ環境を背景に、金先物には強気で年内に1400ドルに到達すると予想していました。反対に、原油先物は下落再開を見込んでいます。
低金利が続くと予想するガンドラック氏が選好する投資先は、ジャンク債。これまでにポジションを4倍も引き上げたといいます。米長期債については、2004−06年の利上げ期において長期金利が安定的だった点を踏まえ、1月時点からショートを縮小したと明かしました。仮に利上げを行わない場合、一段のフラットニングを予想。さすが新債券王、債券相場にはあくまで強気スタンスを貫いていました。
(カバー写真:CNBC)
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