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米利上げ前倒し観測の広がりともに、米株から投資資金が流出

by • March 17, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2482

As Fed Is Running Out Of ‘Patience’, More Investors Are Underweight In U.S. Equity.

米連邦公開市場委員会(FOMC)直前恒例、CNBCによるウォールストリート関係者を対象とした世論調査「Fedサーベイ」をお伝えします。38人を対象に3月分の直前レポートでは、大方の予想通り「(忍耐強くなれる」との文言を取り除くとの回答が圧倒的多数で69%。1月時点の33%から急伸しています。合わせて、4月との予想は前回の27%から14%へ低下、6月も当然ながら前回の21%から11%と急速に落ち込んでいました。

▽利上げ開始時期の予想

利上げ開始時期の予想平均も、もちろん前倒しされています。前回は9月だったところ、今回は8月が38%でトップ(8月はFOMCを予定しません、あくまで平均値である点をご留意下さい)でした。FF金利先物では米2月雇用統計時点で6月利上げ織り込み度が急上昇していたものの、エコノミストをはじめファンド・マネージャーなどを対象とした調査結果では、まだ多数派にいたっていません。

▽バランスシートの縮小、利上げ幅

バランスシートの縮小は、前回と変わらず2016年の4月を予想。利上げ幅は、「2017年10−12月期までに3.04%」を見込んでいました。1月時点の「2018年1−3月期までに3.11%」から、変更しています。

3月のFedサーベイ、金利正常化シナリオは以下の通り(下段が今回の結果、上段は1月分)。
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(文中写真:CNBC)

▽原油安とドル高のインパクト

原油安はGDPを0.36%押し上げる見通しである半面、インフレを0.23%ポイント押し下げる公算です。ドル高は、GDPとインフレそろって0.22%の押し下げ効果を予想。原油安とドル高を合わせると、0.45%ポイント低下圧力が加わると考えられています。

▽景気後退リスク、成長・インフレ見通し

Fedの利上げ予想を前倒しした半面、向こう12ヵ月以内に景気後退に陥るリスクがあるとの回答は過去最低だった1月時点から3ポイント上昇し16.4%となりました。少なくとも、約1年で最高に転じています。

リセッションのリスクが強まったと判断したように、成長見通しを下方修正。2015年は従来の2.8%から2.7%に引き下げられ、2014年12月FOMCメンバー予想のレンジ上限から遠ざかりました。インフレ見通しも、従来の1.17%から1%へ引き下げ、目標値2%からかい離を続ける公算です。

——1月FOMC議事録やイエレンFRB議長の議会証言などで着々と利上げの地ならしを進め、米雇用統計も好調を続け、いよいよFedは「忍耐強くなれる」との文言を外す見通しです。エコノミストの間では、ハト派寄りの経済・金利見通しでバランスを取り6月利上げの決定打とならないよう配慮するとの優勢。Fedがタカ派に傾かなければ、「忍耐強くなれる」の看板を外した後も米株大幅安を回避できるのでしょうか?

こちらの調査をみると、視界明瞭とは言えません。

Fedの利上げを見据え、世界中の投資家は米株のポジションを縮小してきました。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのファンド・マネージャー調査では、米株に対し「アンダーウェイト」(「オーバーウェイト」から差し引いたネット)が19%となり、2008年1月以来の高水準を記録。2月時点では6%が「オーバーウェイト」だったにも関わらず、急速に「アンダーウェイト」優勢に転じています。

Fedの利上げ開始時期も、前倒しされています。4−6月期との回答は34%と、2月時点の28%を上回っていました。

また、今回の調査では米株が「割高」と判断する割合も23%と大きく上昇。2003年5月以来で最高をつけてきました。欧州株シフトが鮮明となっており、向こう12ヵ月間で「オーバーウェイト」する投資先として欧州が63%に到達。同項目の統計を開始した2001年以来で最高に躍り出ています。1月にはたった18%だったことを踏まえると、その急伸ぶりに驚かされます。

今回の調査結果と合わせ、資金フローにも動きが出ています。CNBCがEPFRと英フィナンシャル・タイムズ紙の調査を元に伝えたところ、米株と欧州株の資金フローは対照的でした。米株は336億ドルの売り越しだった半面、欧州株は356億ドルの買い越しだったんです。

年初来のリターンをみても明白です。

独DAX 23%の上昇
仏CAC 18%の上昇
日本株 10%の上昇
中国株 7%の上昇
S&P500 0.3%の下落

Fedが早期利上げに踏み切るとなれば、一段の金利上昇およびドル高を招く可能性を否定できません。ドル高・原油安・金利上昇のダメージは、すでに企業業績をはじめ、住宅指標製造業関連などに滲み出てきています。世界中の投資家は、米国が利上げに無傷でいられるか固唾を呑んで見守るだけでなく、行動に移しつつあるようです。

(カバー写真:doug turetsky/Flickr)

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