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ドラギECB総裁の記者会見に、女性抗議活動家が乱入

by • April 15, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off6047

ECB Press Conference Was Disrupted By Unexpected Intervention.

欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、市場予想通り政策金利にあたるリファイナンス金利を0.05%で据え置いた。上限金利の限界貸出金利も0.30%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.2%で維持している。

ドラギECB総裁の記者会見では、女性の抗議活動家が乱入する一幕も。突如、ドラギ総裁に向かってデスクに飛び上がった女性は叫びながら紙吹雪をまき散らかしたため、会見は中断を余儀なくされた。女性のTシャツには、「END THE ECB DICK-TATORSHIP(ECBの独裁体制をやめよ)」と、独裁のスペルに蔑称を挟んだメッセージが踊っており、13億ユーロ(約1640億円)を投じ建設されたECB本部の新庁舎をめぐるデモとの関連が取り沙汰されている。イタリアのナポリで開催された2014年10月の定例理事会開催時も抗議活動が展開されており、ECBへの不信感は根強いようだ。

決定的瞬間の画像は、こちら。
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(出所:My Big Apple NY)

女性はジャーナリストと偽って会場に潜入、ECBのセキュリティ体制が問われます。
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(出所:Kai Pfaffenbach/Reuters)

再開した記者会見にて、ドラギECB総裁は量的緩和(QE)をはじめとする支援策の「完全実施(full implementation)」を強調した。資産買い入れプログラム自体、「順調に進んでおり規模も月額600億ユーロに沿う水準」とも発言。インフレや経済見通しの回復を促すと述べ、ユーロ圏指標の改善や資産不足を背景とした買い入れ縮小への観測を打ち消している。ただ、経済見通しについて「下振れリスクが残存するものの、原油安・ユーロ安により均衡にシフトした」と評価した。買い入れ資産不足を理由とした預金金利引き下げをめぐっては、明確に「ノー」を突きつけた。

ユーロ水準には、「過去の通貨高の影響がインフレに表れるほか足元の通貨安の反応もあり、見極めは容易ではなく影響は非常に緩やか」と煙に巻いたような回答にとどめた。ギリシャが債務不履行に陥る可能性には「検討していない」と明言し、同国向けの緊急流動性支援(ELA)を終了す時期も「決まっていない」と回答した。

BNPパリバのケン・ウォトレット欧州・中東欧中東アフリカ共同ヘッドは結果を受けて「資産買い入れの縮小に必要な条件として、インフレ動向を挙げた」と指摘。その上で「原油価格による二次的影響でインフレが押し上げられるなど一時的な要因に惑わされず、トレンドを精査して進展を見守るスタンスを打ち出した」と評価した。

——今回のECBはサプライズなしで無難に終わるかと思いきや、闖入者が会見をかき乱し大いに話題になりました。いずれにしても、ECBのQEはまだ船出したばかり。しばらくは現状維持で、成長とインフレの回復を目指すことになるのでしょう。

(カバー写真:Reuters)

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