Economists And CEOs Downgrade US Economic Outlook, Obama Denies Saying Strong Dollar A Problem.
米4月貿易収支をはじめ米4月建設支出、米5月雇用統計など6月に発表された経済指標は4−6月期の成長回復を予感させたものの、エコノミストも最高経営責任者(CEO)も成長への楽観度を後退させました。
全米企業エコノミスト協会(NABE)の2015年成長率予想は2.4%増となり、2014年に並びました。ただし、3月時点の3.1%増から下方修正されています。
調査は48人のエコノミストに対し5月8〜20日に実施ですから、ちょうど米4月小売売上高や米4月鉱工業生産など失望を誘う数字が相次いだときと重なります。足元は逆に一部経済指標の好転を背景にモルガン・スタンレーが米4−6月期国内総生産(GDP)予想を1.5%増から2.7%増へ上方修正したほか、アトランタ連銀も予想を引き上げており、逆に悲観論が後退しつつありますが。
CEOもエコノミストと同じく、見通しを引き下げています。
ビジネス・ラウンドテーブルに所属する129社のCEOを対象に4月22日〜5月13日に実施した4−6月期調査で、2015年の成長見通しは2.5%増となり、1−3月期の2.8%増から下方修正しました。2014年7−9月期と同年10−12月期、およびNABEのエコノミスト予想である2.4%増に接近しています。
1−3月期決算を経て売上の見通しがお先真っ暗ななか、4−6月期の6ヵ月先経済見通し指数は81.3。1−3月期の90.8を下回り、Fedのテーパリング観測が浮上し米連邦政府の閉鎖に追い込まれた2013年7−9月期以来の水準へ減速しています。内訳をみると、6ヵ月先の売上見通しが112.5となり、1−3月期の122.5から10ポイントも急低下して2012年10−12月期以来の低水準に。設備見通しも前期の82.5から72.7、雇用も58.6とそろって約10ポイント落ち込み2013年7−9月期以来で最低を示しました。
(出所:Business Roundtable)
項目別、詳細は以下の通り。
▽売上見通し 112.5(前期は122.5)
増加する 70%<前期は80%
変化なし 23%>前期は13%
減少する 7%<前期は8%
▽設備投資見通し 72.7(前期は82.5)
増加させる 35%<前期は45%
変化なし 52%>前期は43%
減少させる 13%=前期は13%
▽雇用見通し 58.6(前期は67.5)
増加させる 34%<前期は40%
変化なし 40%>前期は38%
減少させる 26%>前期は23%
ビジネス・ラウンドテーブルの会長でAT&TのCEOを務めるランダル・スティーブンソン氏は、結果を受けて「経済拡大と雇用増加のけん引役である設備投資への見通しが低下した点が懸念材料」と振り返った。
奇しくもエコノミストとCEOが経済鈍化を織り込みつつあるなか、オバマ米大統領が主要7ヵ国(G7)首脳会議の席で「ドル安は問題」と発言したとのニュースが伝わりました。オバマ米大統領は、会合後に記者会見で「日々の為替変動にコメントしない」としドル安についての言及を否定したとはいえ、2016年米大統領選を前にドル高が景気の足を引っ張っている状況を好ましく捉えているはずはありません。もたつくギリシャ支援協議に業を煮やして不満がこぼれたとしても、不思議ではない。
足元こそ米4−6月期GDPに明るい兆しが見えて来たとはいえ、景気先行指標のダウ輸送株指数は5月末に調整入りしてしまいました。ダウ平均も8日、「6月の失速(June swoon)」が現実化するかのように年初来リターンを4月2日以来初めてマイナスに反転させています。労働生産性や潜在成長率の低下を背景に、雇用の伸びもピークアウトするとの懸念が渦巻き始めるなかでは、オバマ米大統領としても任期満了を控え安穏としていられないのでしょう。
(カバー写真:DFID/Flickr)
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