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米4月雇用動態調査、求人数は過去最高も採用者数は減少

by • June 9, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1514

Job Openings Record The Highest Ever While Hires And Separations Decrease.

米労働省が発表した米4月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは、求人数が前月比5.2%増の537.6万人と、市場予想の503.8万人を上回った。2000年の統計開始以来で最高を記録している。なお米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で22.1万人増と巡航速度を回復していた。

新規採用人数は1.6%減の500.7万人となり、2ヵ月連続で減少した。もっとも、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人の大台を3ヵ月連続で保つ。離職者数は3.6%減の488.1万人となり、前月の500万人超えから減少に転じた。定年や自己都合による退職者も266.9万人と前月の276.94万人以下にとどまり、2014年11月以来の低水準だった。

JOLTの求人率をみると、前月の3.5%から3.7%へ上昇した。民間が前月の3.7%から3.9%へ上向いている。民間のうち貿易・輸送・公益、教育、専門・サービスなどが前月から上昇した。一方で建設は低下し、製造業と娯楽・宿泊は横ばい。政府は前月と変わらず、2.2%だった。

就業者に対する新規採用率は、前月の3.6%から3.5%へ低下した。民間が前月の4.0%から3.9%へ低下しており、政府機関は逆に前月の1.6%を下回り1.5%となる。自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月の3.5%となり、前月の3.6%以下に。民間が3.8%と、前月の4.0%から低下した。政府は前月と変わらず1.5%だった。自発的離職率は1.9%と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0%を下回る。2007年12月の2.1%到達がまたお預けになった。解雇者数は4.1%減の181.7万人となったものの、足元で最大となる180人万台を維持。解雇率は前月と変わらず1.3%だった。

4月までの過去1年間で、離職者数は5720万人だったところ採用人数は6000万人だった。ネット採用者数は、280万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は1.6倍となり、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回った 。

——以上、米10月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○ 2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○ 2009年4月(最悪時点)
2.0% 2004-07年平均 1.4%
現時点 1.3%

3)自発的離職率—× 2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 1.9%

4)採用率—× 2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時点 3.5%

5)非農業部門就労者数—○ 2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.7万人増

6)失業率—× 2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.5%

7)不完全失業率—× 2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07平均 8.8%
現時点 10.8%

8)長期失業者の割合—× 2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 28.6%

9)労働参加率—× 2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%

——雇用動態調査は、引き続き着実な労働市場の改善を表しています。前日に米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米5月労働市場情勢指数(LMCI)も1.3ポイント上昇しただけでなく過去分も上方修正され、 9月利上げ観測をサポート。一方で労働生産性と潜在成長率の低下が取り沙汰され、足元の雇用増加ペースが維持できないとの見方も浮上しており、労働市場は分岐点に差し掛かりつつある余地を残します。

(カバー写真:COD News)

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