NFIB Small Business Optimism And Wholesale Inventories Send Positive Signals To Growth.
米連邦準備制度理事会(FRB)の労働市場情勢指数に含まれる米5月NFIB中小企業楽観度指数は98.3となり、市場予想の97.2を上回った。前月の96.9を超え、年初来で最高を達成している。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果を受け「4−6月期の成長は比較対象となる1−3月期がマイナス成長だったため、堅調な回復を遂げる見通し」と指摘。 米貿易収支の改善も、4−6月期の成長を促進するとも付け加えた。もっとも「米経済は拡大基調をたどっていることを確認したとはいえ、活気に乏しい」と慎重な見解を維持している。
NFIB中小企業楽観度指数、2014年12月の水準には届かず。
(出所:NFIB)
内訳をみると、10項目中プラス圏にのせた項目は6項目。「求人件数」、「雇用を増加させる」など雇用で上向いたほか、「事業拡大に良いタイミング」や「在庫を拡大させる」も前月から上昇した 。また「経済がより良くなる」、「黒字トレンドにある」などマイナス圏の3項目のうち2項目で改善を確認 。全体的に楽観度が増している。以下は、項目ごとの変化。
「設備投資を拡大する」25%→前月の26%から低下
「求人件数」29%→ 前月の27%から上昇
「事業拡大に良いタイミング」14%→ 前月の10%から上昇
「雇用を増加させる」12%→ 前月の11%から上昇
「売上が拡大する」7%→ 前月の10%から低下
「在庫を拡大させる」4%→前月の0%から上昇
「在庫満足度」0%→ 前月の1%から低下
「経済がより良くなる」−3%→ 前月の−6%から改善
「信用状況が緩和する」−4%→ 前月の−4%と変わらず
「黒字トレンドにある」−7%→ 前月の−16%から改善
▽米4月卸売在庫は予想以上に拡大、GDPにプラス
米4月卸売在庫は前月比0.4%増となり、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.2%増(0.1%増から上方修正)も超え、直近で最も強い伸びを示す。非耐久財が0.8%増と前月の0.3%減から増加に転じ、全体を押し上げた。耐久財は0.1%増となり、自動車が1.8%増と寄与。卸売在庫は1.6%増となり、減少トレンドを4ヵ月で止めた。在庫相当は1.29ヵ月となり、過去2ヵ月間の前月の1.30ヵ月から短縮した。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、卸売在庫の過去分が上方修正されたため、米1−3月期GDP確報値の予想を0.6%減から0.5%減へ引き上げた。米4−6月期GDP予想は、従来予想の2%増を維持。ただし、予想を上回る可能性を付け加えた。
エコノミストは、米4月卸売在庫を受けて米4−6月期GDP見通しを上方修正した。バークレイズは従来の2.8%増から2.9%増、ゴールドマン・サックスは従来の2.7%増から2.8%増へ引き上げている。
——米5月NFIB中小企業楽観度指数や米4月卸売在庫は、米4−6月期GDPにポジティブなニュースを届けました。1−3月期と異なり、アトランタ連銀の予想が杞憂に映るほどです。対ユーロやポンドなどでドル高が一服しており純輸出は5月、6月も改善期待が残る。在庫投資のほか企業の設備投資、消費が4月以降も回復をたどるかがカギを握ります。
(カバー写真:Steven Depolo/Flickr)
Comments
米4月雇用動態調査、求人数は過去最高も採用者数は減少 Next Post:
MSCI、中国A株を新興国株式指数に組み入れず—来年がメド