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ギリシャ、デフォルト控え資本規制を導入し29日は閉鎖

by • June 28, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1875

Greece To Close Banks, Impose Capital Controls As Defaults Looms.

ギリシャ国会が27日に、7月5日に国際債権団が求める財政改善策をめぐり国民投票実施を承認しました。

欧州中央銀行(ECB)は28日、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)がギリシャ側の要請を拒否したことなどを受けて緊急流動性支援(ELA)の見送りを決定。同日の現地時間夜、チプラス首相はTVに出演し期限を指定しない資本規制の導入を発表しています。ECBの決定に対し「ギリシャ国民への紛れもない脅しであり、国民投票という民主的な手段への障害に他ならない」と憤りを明らかにしました。合わせて、ツイッターで「忍耐と沈着な態度が必要になる」と述べたほか、「銀行預金は全面的に守られるほか賃金や年金の支払いも保証する」とのメッセージを送っています。

チプラス首相のコメントに、ギリシャ国民は何を思うのか。

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(出所:Alexis Tsipras/Twitter)

週末、ギリシャでは国民がATMに押し寄せ預金引き出しのため列を成しました。2013年にキプロスが導入した資本規制には1日当たりの現金引き出し上限を300ユーロとし小切手の換金禁止なども盛り込まれていましたが、今のところチプラス首相の発言だけで詳細は不透明です。

ELAなしでは、ギリシャの4大銀行が現金不足に陥るといいます。ECBは23日までの過去1週間弱で4回にわたりELAの引き上げ878億ユーロに設定。ただし、22日に引き上げた当時、ECB理事会メンバーであるオーストリア中銀のノボトニー総裁は「必要な1日分だけ拡大した」と明かしており余裕を与えた可能性は極めて低い。タカ派のバイトマン独連銀総裁が25日、ELA継続がギリシャの銀行における健全性に疑問を投げかけていたことを踏まえると、ECB内でELA中止議論が高まっていた可能性を示唆します。そもそもドラギECB総裁は6月、ECB定例理事会後の記者会見で債券市場でのボラティリティ上昇に「市場は慣れるべき」と言い放ち、QE規模拡大を期待したマーケットの梯子を外していました。

問題は、マーケットがどう反応するのか。この方はギリシャのデフォルトを織り込んでくるとの判断から、ユーロ安・円買いを予想しています。バークレイズの債券・為替・商品担当リサーチ共同ヘッドのAjay Rajadhyaksha氏も、ギリシャがデフォルトを余儀なくされると見込んだ上で「質への逃避を招く」との考えを示しました。国民投票をめぐってRajadhyaksha氏は、仮にノーが突きつけられた場合に「ギリシャがユーロ圏から脱退するリスクを著しく高める」とのコメントも寄せています。リスク許容度の低下に伴いユーロ・キャリーの巻き戻し余地も残りますが、アジア時間早朝からすでに26日の1.1165ドルから1.1ドル割れまで下落。セネカはかつて「どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」との名言を世に送り出したものですが、チプラス首相が目指すゴールが見えない限りユーロ動向もボラティリティの波にさらわれてしまいそうです。

(カバー写真:Alkis Konstantinidis/Reuters)

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