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ギリシャのデフォルト危機を懸念し世界同時株安、米株は1%安程度に

by • June 29, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2451

Greece’s Default Fear Sends Global Stocks Falling.

ギリシャが30日にデフォルトに陥るリスクを見越し、金融市場は「質への逃避」の展開を迎えている。日経平均はユーロ円で約4円も円高が進んだ余波もあって2.9%安で引け、上海総合は追加利下げを無視し3.3%も沈み弱気相場入りした。ドイツのDAX指数は一時2%超、フランスのCAC指数も一時3%近い下落に。世界同時株安の様相を呈している。ユーロドルはアジア時間早朝に大きく窓を開けて取引を開始し一時1.0955ドルと6月2日以来の安値を示現したが、以降は買い戻され1.1150ドル付近までカムバックを果たした。

ギリシャの資本規制は、主に以下の3点が柱。

1)ギリシャ国内の銀行、および株式市場は7月6日まで閉鎖
2)ATMでの引き出しは60ユーロまで
3)海外への資金移動は財務省の承認が必要

銀行口座を通じた年金や賃金の支払いは通常通り行われ、ネット・バンキングも利用可能。海外で発行されたクレジットカードでの現金引き出しに制限を設けず、海外旅行者には影響がないとされている。ただし、ATMに現金が不足していれば外国人も十分なキャッシュを得られず旅行を予定より早く切り上げざるを得ない。クレジットカードの利用も、小売店やレストラン側にしてみればいつ支払い分が入ってくるか不明で利用もままならない。ギリシャ国民だけでなく海外旅行者への悪影響も甚大で、夏休みの書き入れ時に国内総生産(GDP)のうち17.9%を占める観光が打撃を受ければ、ギリシャ経済を一段と圧迫しうる。

パルテノン神殿を観光している場合ではない?
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(出所:Reuters Via WSJ)

欧州中央銀行(ECB)定例理事会メンバーであるオーストリア中銀のノボトニー総裁は、緊急流動性支援(ELA、現行で890億ユーロ)の拡大につき「7月1日に開催する理事会で議論する」と述べた。もっとも、ECBがギリシャへのヘアカット(担保の損失リスクに合わせた担保価値の削減率)を引き上げれば「ELAの適格担保はますます減少し、ギリシャの銀行システムを保護するため」(バークレイズ)、一段の資本規制を課すシナリオも考えられる。

暗い話ばかりではない。ギリシャ国民は少なくとも、冷静な目で情勢を見つめている。6月24〜26日実施のProto Thema紙(Alcoが実施)が伝えた世論調査結果では、国際債権団の財政改革案に57%が「イエス」と回答し「ノー」の29%を大きく上回った。Vima紙(Kapaが実施)が報じた調査内容は、「イエス」が47.2%、「ノー」が33%、「決めていない」が18.4%。資本規制で直接の被害をこうむったギリシャ国民は、7月5日実施の国民投票でユーログループと交渉決裂を促したチプラス政権に妥協を求めうる。

そもそもユーログループのダイセルブルーム議長は「ユーロ圏の金融安定性を確実に高い水準で維持するため、必要なあらゆる手段を活用していく」と述べていた。バークレイズによると「2011〜2012年の欧州危機で何度も聞かれた言葉で、当時は欧州安定メカニズム(ESM)や銀行同盟など、危機対応策を導入した」という。ギリシャ国民がチプラス政権にユーロ圏にとどまるよう圧力を掛ければ、ギリシャが挙国一致政権を発足させる必要をはじめユーロ圏離脱に伴う最悪のシナリオは回避されるだろう。

米株は比較的、落ち着いて寄り付きを迎えた。ダウ先物は一時180p近くも急落したものの、午前10時20分現在では約130ドル安と1%以下の下落に過ぎない。ユーロドルが一時より下げ幅を縮小したほか米10年債利回りが年初来で最高となる2.48%をつけた前週末から2.40%まで低下したこともあって、S&P500も0.8%安にとどまる。Fedの9月利上げが後退したとの期待が、米株安にブレーキを掛けた可能性も残す。

なお国際通貨基金(IMF)はあらためて、「暗闇の窮地回避に向けて(Avoiding Dark Corners)」と題したワーキングペーパーにて年内利上げ見送りを求めていた。ラガルドIMF理事の発言、および世界金融安定報告書に次いで3回目となる。

(カバー写真:GUE/NGL/Flickr)

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