Manhattan Average Housing Price Hits The Highest, But The Number Of Sales Fall.
マンハッタン、アメリカ入植者がネイティブ・アメリカンからたった24ドルで買った島はその子孫達には手の届かない超高級住宅地へ変貌を遂げてしまいました。
不動産会社ダグラス・エリマンが調査した4−6月期のマンハッタン平均住宅販売価格は、前年同期比11.4%上昇の187万2367ドル(約2億3000万円)に及びます。前期比でも8.0%上昇と、猛スピードで加速中。噴煙が庶民の顔を覆い、伸ばした手は虚空をつかむのみ・・遂に過去最高に達しました。販売価格中央値も前年同期比7.7%上昇の98万ドル(約1億2000万円)、前期比では15.0%も急伸。2008年4−6月期に記録した過去最高に届く勢いです。
2010年以降、販売件数が順調に伸び販売価格中央値も上昇気流に乗りました。
セクター別動向は、以下の通り。
▽高級物件
・平均販売価格 818万2735ドル(前期比12.5%上昇、前年同期比12.8%上昇)
・販売価格中央値 600万ドル(前期比1.4%下落、前年同期比6.7%下落)
・販売件数 267軒(前期比0.4%増、前年同期比20.1%減)
・在庫 1754軒(前期比11.4%増、前年同期比25.9%増)
▽新規開発中物件
・平均販売価格 417万7856ドル(前期比38.4%上昇、前年同期比18.7%上昇)
・販売価格中央値 186万8489ドル(前期比15.0%上昇、前年同期比18.3%上昇)
・販売件数 212軒(前期比33.8%減、前年同期比8.2%減)
・在庫 1342軒(前期比0.2%減、前年同期比3.9%減)
▽コンドミニアム
・平均販売価格 241万14761ドル(前期比11.9%上昇、前年同期比20.0%上昇)
・販売価格中央値 139万ドル(前期比3.9%上昇、前年同期比7.1%上昇)
・販売件数 1020軒(前期比1.4%減、前年同期比24.6%減)
・在庫 3034軒(前期比11.0%増、前年同期比3.2%増)
▽コープ(共同運営住宅)
・平均販売価格 153万7880ドル(前期比5.1%上昇、前年同期比5.8%上昇)
・販売価格中央値 79万5000ドル(前期比5.0%上昇、前年同期比9.7%上昇)
・販売件数 1654軒(前期比1.7%増、前年同期比16.9%減)
・在庫 2696軒(前期比7.5%増、前年同期比0.8%減)
価格の大幅上昇と裏腹に、マンハッタン全体の販売件数は前期比でこそ0.5%増ながら前年同期比20.0%減の2674軒にとどまっています。前年同期比では、4期連続で減少。下線部にある通り、住宅市場の成長スピードに失速感が漂います。ダグラス・エリマンによると、「ドル高の逆風で外国人の需要が低下した」。全米リアルター協会(NAR)の調査結果と、整合的です。ドル高に加え、ギリシャ債務危機と中国株安といったアゲインストも重なり、摩天楼のごとく空に突き抜けるかのような上昇を謳歌したマンハッタン住宅市場も、ついに頭打ちを迎えつつあるのでしょうか。アメリカ人の間では雇用回復のほか、好況に沸く金融市場を背景にウォールストリートが住宅市場を支えてきましたが、市場のボラティリティが高まればボーナスに響くリスクが横たわります。
一方で、別の不動産会社コルコランの調査をひも解くとマンハッタンの住宅市場は衰えを見せていません。販売件数は前年同期比2%増の4235軒、前期比では27%増でした。契約件数も4188件(前年同期比7%増、前期比24%増)です。販売価格も中央価格が96万ドルで前年同期比4%増、前期比1%上昇。平均でも前期比では横ばいの181万4000ドルながら、前年同期比では8%上昇していました。
50万ドル(約6150万円)以下の物件は17%、前年同期の19%から低下。
(出所:Corcoran)
ただ、在庫は前年同期比12%増の5773軒。前期比で20%も増加していた点は気掛かりです。特に2ベッドルーム(2LDK)、3ベッドルーム(3 LDK)の高額物件で顕著となり、それぞれ前期比で19%増、24%増だっただけでなく、前年比でも2桁増でした。今後、在庫が増え海外需要が低下すれば価格上昇スピードの減速が考えられる。著名投資家ビル・アックマン氏も買ったという超高級物件のペントハウスが1億ドルで落札されてから半年、マンハッタン住宅市場に変化の兆しが現れ始めています。
(カバー写真:Maëlick/Flickr)
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