U.S. Q2 GDP Bounces Back Thanks To Stronger Consumer Spending.
米4−6月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.3%増と、市場予想の2.9%増に届かなかった。もっとも、年次改訂を経てプラス成長へ上方修正された1−3月期の0.6%増より拡大。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想レンジ上限を超え、またしてもアトランタ連銀の予想に近い数字に着地した。
GDPの7割を占める消費は2.9%増となり、市場予想の2.3%増より加速。1−3月期の1.8%増(改定値)を軽々と上回った。ただしホリデー商戦を追い風に2006年1−3月期以来の高水準に達した2014年10−12月期の4.3%増(4.4%増から下方修正)からは、大きく減速している。GDPの寄与度は1.99%と、1−3月期の1.19%を超えていった。
(個人消費の内訳)
・耐久財 7.3%増、3期ぶりの高水準>1−3月期は2.0%増
・非耐久財 3.6%増、2013年1−3月期以来の高水準>1−3月期は0.7%増
・サービス 2.1%増=1−3月期は2.1%増
民間投資は企業の設備投資を表す企業投資がマイナスに転じたほか、非住宅投資を中心に弱い。住宅投資も伸び悩み、民間投資は全般的に1−3月期から減速を示す。
(民間投資の内訳)
・民間投資 0.3%増、2014年1−3月以来の低水準<1−3月期は8.6%増
・固定投資 0.8%増、2012年7−9月期以来の低水準<1−3月期は3.3%増
・非住宅 0.6%減、2012年7−9月期以来のマイナス<1−3月期は1.6%増
・機器投資(企業の設備投資)4.1%減、2014年10−12月期以来のマイナス<1−3月期は2.3%増
・構造物投資 1.6%減>1−3月期は7.4%減
・住宅投資 6.6%増、3期ぶりの低水準<1−3月期は10.1%増
・知的財産 5.5%増、1年ぶりの低水準<1−3月期は7.4%増
在庫投資は上方修正された結果、GDPの寄与度も1−3月期の0.87%ポイントから0.08ポイントのマイナスへ転じた。政府支出は、下げ幅を拡大。純輸出のみ好調で、寄与度はプラスに反転している。
(その他)
・純輸出の寄与度 0.13%ポイント、3期ぶりにプラス>1−3月期はマイナス1.92%
・在庫投資 1100億ドル増<1−3月期は1128億ドル増
(政府支出)
・政府支出 0.8%増、3期ぶりにプラス>1−3月期は0.1%減
・連邦政府 1.1%減<1−3月期は1.1%増
GDPデフレーターは前期比年率2.0%の上昇と、市場予想の1.5%から加速した。1−3月期の0.1%(±0%から上方修正)を大きく超え、3期ぶりに2%台を回復している。PCEデフレーターも2.2%上昇し、1−3月期の1.9%のマイナスからプラスへ反転。コアPCEデフレーターも1.8%上昇し、2010年10−12月期以来の水準へ沈んだ1−3月期の1.0%から回復した。FOMCのインフレ目標値「2%」ヘ近づいたかたちだ。
バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミストは、結果に対し「個人消費は名目賃金が3.9%増、可処分所得が1.6%増となったことに支えられた」と振り返る。今後は「貯蓄率が4.5%へ低下するに従い、消費が伸びていく」と予想。引き続き、消費こそ成長のけん引役を請け負うとの見方を示した。
——年次改訂により2011—2014年の平均成長率は2.0%と、従来から0.3%ポイント下方修正されました。特に2013年の下方修正が著しく、0.7%ポイント押し下げられています。注目の2015年1−3月期がプラス成長へ上方修正されたため、1−3月期のソフトパッチは当初より深刻ではありませんでした。サンフランシスコ連銀や米連邦準備制度理事会(FRB)がレポートで指摘した「季節残余性(residual seasonality) 」も、数字を低く見積もらせた一因だったのでしょう。1−3月期がマイナス成長を回避し、消費が底力を見せつけ、インフレも回復の兆しが現れとなれば、9月16−17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切ってもおかしくはない。米4−6月期雇用コスト指数はたったの0.2%の上昇と衝撃的な鈍化を示しましたが、米7月雇用統計で挽回できるか試されます。
(カバー写真:My Big Apple NY)
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