Gainers-and-decliners

ダウ、人民元切り下げ2日目は277ドル安から生還

by • August 12, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2143

Dow Recovers From 277 Decline After Yuan’s 2nd Devaluation.

米株は中国が2日連続で人民元を引き下げたため急落で反応したものの、見事なカムバックを果たしました。

ダウ平均  17402.51 -0.33 0%
S&P500  2086.05 +1.98 +0.10%
ナスダック 5044.39 +7.60 +0.15%

ダウ平均は立ち会い早々に200ドル以上も沈み、一時277.03ドル安の17125.81ドルまで下落。中国景気への不安感とデフレ警戒が台頭しつつ、2月2日以来の17100ドル割れを回避した後は下げ渋りをみせました。中国を引き金に9月利上げ警戒が後退するなか、米週間石油在庫統計を手掛かりに原油先物が約6年ぶりの安値から切り返したためエネルギー関連がけん引し、前日終値を目指す動きに突入。素材のほか調整入りしていたアップルにも買い戻しが波及し、終盤にはまさかのプラス圏を回復したものです。

S&P500の推移に、ダウがつれたとも考えられます。一時は鉄壁の支持線52週移動平均線を若干割り込んだだけでなく、一時2052.09と年初来リターン(2014年12月末の終値2058.90)をマイナスに反転させた直後に怒濤の買い戻しが入っていました。

52週移動平均線、少なくとも約3年にわたって終値で割り込んでいない重要ポイント。
sp
(出所:Stockcharts)

ナスダックも小幅反発。一時は約1ヵ月ぶりの安値を示しつつ、一目均衡表・雲の上限を取り戻して取引を終えています。

中国人民元切り下げに対し過剰に反応し過ぎた反動と説明する市場関係者が多かったものの、やはり9月利上げ観測の後退こそ買い戻しのドライバーだったと考えられます。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は12日朝、講演後の質疑応答で「近い将来の利上げを望む」と発言。時期についての言及を避けた上で経済指標次第とし、「その時が近づいている」と回答していました。これだけ読むと、9月利上げが近いと解釈できますよね?ただし中国の人民元切り下げなどに対し「世界経済に大きな影響を与えうる」と、言及していたのです。中国の為替政策は中国に、米国の為替政策は米財務省に委ねると述べつつ「中国が及ぼす商品市場へのインパクトは甚大」とも、コメントしていました。低インフレが意識される米国で足元のコモディティ価格下落はデフレ圧力を与えかねず、聞き捨てならない見解です。その上で「結論を導くのは時期尚早」、「動向を注視していく」とまとめていました。

振り返れば、6月に「9月利上げの確率は50%」と言い放ったパウエル理事が8月に入って「9月利上げは確定ではない」と認識を修正していました。アトランタ連銀のロックハート総裁、セントルイス連銀のブラード総裁が9月利上げに前向きな発言を展開したとはいえ、追随するFOMC参加者は現時点で見当たらない状況。今回のダドリー発言は、利上げ先送りを期待する市場関係者に一筋の希望の光を与えたのかもしれません。

CMEのFedウォッチでも、利上げ織り込み度は38.6%へ低下。米7月雇用統計前の40%割れ。
fedwatch
(出所:CME)

ダドリーNY連銀総裁が金融市場を落ち着かせる目的で発言したのであれば、目的は果たされた——。米6月雇用動態調査では、健全な労働市場を確認しました。懸念されていたドル高も中国リスクを背景に一服、米債利回りも低下気味です。Fedとしては、9月利上げへの態勢が整ったとも判断できる。これで米7月小売売上高をはじめ米経済指標において悪くない結果が続けば、またしても9月利上げ観測が二転三転しかねません。

(カバー写真:Daily Trading Profits

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