8445588358_2f4117bec9_k

米6月雇用動態調査、新規採用が増加に転じ求人数は減少

by • August 12, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1338

June Job Openings Decrease As Hires Rebound.

米労働省が発表した米6月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは求人数が前月比2.0%減の524.9万人と、市場予想の535万人を下回った。2000年の統計開始以来で最高を記録した5月の535.7万人(536.3万人から下方修正)にも届かず。なお米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で23.1万人増と巡航速度を回復していた。

求人数が減少した背景として、新規採用人数の増加が挙げられる。6月は前月比2.3%増の517.7万人となり、3ヵ月ぶりに増加した。人数自体は、年初来で最高を示現。リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を5ヵ月連続で保つ。離職者数も2.8%増の493.1万人となり、少なくとも年初来で最低だった前月から増加。定年や自己都合による退職者も274.8万人と前月の273.0万人を超え、3ヵ月ぶりの水準へ回復した。

JOLTの求人率をみると、3ヵ月連続で3.6%だった。民間は前月の3.9%から3.8%へ低下。民間のうち建設、製造業、専門・サービス、娯楽・宿泊などが前月を下回っている。一方で小売を含む貿易・輸送・公益は横ばい。専門・サービス、教育・健康は上昇した。政府は前月の2.2%から2.1%へ低下した。

就業者に対する新規採用率は、前月の3.6%から3.7%ヘ上昇した。2014年12月の高水準に並び、リセッションに陥った2007年12月の3.8%が迫る。民間は前月と変わらず4.0%、政府も2ヵ月連続で1.5%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月の3.4%から3.5%へ上昇した。民間が3.9%と前月の3.7%から弱含み、3ヵ月ぶり高水準。政府は前月から横ばいの1.5%だった。自発的離職率は4月から3ヵ月連続で1.9%と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0%を下回る。2007年12月の2.1%到達がまたお預けになった。解雇者数は7.9%増の179.1万人と3ヵ月ぶりに増加。5月は2014年9月以来の低水準だったものの、3ヵ月ぶりの180人乗せが迫った。解雇率は1.3%へ戻し、5月の1.2%から上昇した。

6月までの過去1年間で、離職者数は5790万人だったところ採用人数は6060万人だった。ネット採用者数は、270万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は3ヵ月連続で1.6倍となり、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回った 。

——以上、米6月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.6%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.3%

3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 1.9%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時点 3.7%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 23.5万人増

6)失業率—×
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.3%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 10.4%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 26.9%

9)労働参加率—× 2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.6%

——米6月雇用動態調査は、求人件数こそ統計開始以来の高水準から鈍化しつつ新規採用件数と離職者数が増加しました。米7月雇用統計米7月労働市場情勢指数(LMCI)に現れるように、求人数の減少は新規採用が増加した証。自発的に離職した人々の数も伸び、労働市場の健全性を反映したと言えるでしょう。ただ米7月チャレンジャー人員削減予定数が約4年ぶりの高水準を示しており、リストラ数も増加中。中国の人民元切り下げが今後、米経済にどのようなインパクトを与えるのか米労働市場の耐性が試されます。

(カバー写真:Seattle Municipal Archives/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.