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アリババQ1、売上が3年ぶり低水準で自社株買い40億ドルを発表

by • August 12, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2461

Alibaba Q1 Revenue Miss, Unveils $4 Billion Buyback.

アリババ・グループの4−6月期決算は、失望を誘う結果となりました。売上高が約3年ぶりの水準へ落ち込んだほか、利用者数や総取引額の伸びが1−3月期からことごとく鈍化。株価は上場以来の安値まで落ち込んでいます。以下は、注目の決算内容。

中国の電子商取引最大手が寄り前に発表した4−6月期(第1四半期)決算は、純利益が前年同期比147.8%増の308億1600万元(49億7000万ドル)だった。映画部子会社アリババ・ピクチャーズの再編、出資受け入れなどが一因。株式報酬など一部項目を除く1株当たり利益は20.7%増の3.68元(0.59ドル)となり、市場予想の0.58ドルより強い。売上高は、28.4%増の202億4500万元(32億6500万ドル)。中国の景気減速に加え6月に中国株安が直撃した影響か、市場予想の33億9000万ドルを下回った。少なくとも、3年ぶりの低水準を示す。現金保有高は1152億7100万元すなわち185億9200万ドル相当となり、1−3月期の197億4000万ドルおよび2014年10−12月期の210億7000万ドル以下にとどまった。

ネット総取引額は34%増の6730億元(1090億ドル)。2月後半にオンライン宝くじのサービスが停止した影響などを除いた売上高は、36%増に及ぶという。それでも、1−3月期の40%増から伸びを縮めた。小口業者が集まる“タオバオ・マーケットプレイス”は25%増の4270億元(690億ドル)、大手ブランド商品を扱う“Tモール”は55%増の2460億元(400億ドル)。1−3月期のそれぞれ29%増、62%増から鈍化した。

携帯端末ベースの総取引額は、122%増の3710億元(600億ドル)。1−3月期は157%増の3040億元(490億ドル)だった。全体の55%を占め、1−3月期の51%をはじめ前年同期の33%から拡大した。創業以来、初めて携帯端末がパソコンの割合を上回ったという。ただし携帯端末ベースの売上高は225%増の79億8700万元(12億8800万ドル)となり、1−3月期の伸び352%増(52億4700万元)から減速。携帯端末でのサービス収益は携帯端末での決済額の2.16%となり、1−3月期の1.73%および前年同期の1.49%を上回った。全体のサービス収益は決済額の2.33%となり、前年同期の2.52%に水を開けられた。

アクティブ・バイヤー数は前年比32%増の3億6700万人となり、1−3月期末時点の3億5000万人からも増加。ただし、1−3月期の37%増には至らず。携帯端末用サイトの月間アクティブ・ユーザー数は63%増の3億700万人で、1−3月期の2億8900万人を上回るも伸びは77%増を大きく下回った。

決算に合わせ、自社株買い40億ドルを発表。上場まもない成長企業としては、稀に見る規模となる。ダニエル・チャン最高経営責任者(CEO)は、決算発表後にCNBCに出演し中国景気および業績への不安を払拭。「当社は明確な長期的な成長と戦略を有しており、短期的な動向に影響しない」と発言し、中国の景気減速をはじめ株安人民元切り下げといった影響に警戒を表明しなかった。とはいえ「消費者の動向、中国経済見通しを注視する」とのコメントも忘れていない。

アリババといえば、2014年10月末にウォルマートの時価総額を超え2510億ドルを突破。しかしながら足元で1950億ドルへ減少しており、吹き飛ばした規模は560億ドルとeベイの時価総額360億ドルを軽く上回る。

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(出所:Stockcharts)

アリババは10日、中国で1600店舗を展開する家電量販店大手の蘇寧電器の株式20%を46億ドルで取得すると表明した。アリババは「オンライン・トゥ・オフライン」と掲げ、ネットと実店舗の融合を標榜する。またメイシーズ中国法人と提携する香港のFung Retailingと、合弁事業の開始で合意した。メイシーズをアリババの電子モール”Tモール”に出店するという。

MKMパートナーのアナリスト、ロブ・サンダーソン氏は、決算結果を受け「総決済額の2%を占めるオンライン宝くじが操業停止になった影響で、売上は市場予想以下に終わった」と振り返った。一方で、サミット・リサーチのアナリストであるヘンリー・グオ氏は目標株価を従来の97ドルから91ドルへ下方修正。投資判断は「買い」で据え置きつつ短期的には 1)競争激化、2)投資拡大に伴う利益率の縮小、3)パソコンでの収益性低下——を理由に挙げた。

——決算を受けて、アリババ株はNY時間午後12時40分までに一時71.03ドルと上場来の安値を示現しました。2014年11月から約30%も沈み、新規株式公開(IPO)価格である68ドルが迫ります。中国の経済指標は、7月貿易収支をはじめ減速が著しい。本日発表分も中国7月小売売上高は前年同月比10.5%増(市場予想11.5%増、6月10.6%増)、7月鉱工業生産も6.0%増(市場予想、6月ともに6.6%増)、1−7月期固定資産投資も11.2%増(市場予想11.4%増、6月11.5%増)とそろって鈍化していました。中国汽車工業協会(CAAM)が11日発表した7月国内自動車販売台数も前年同月比7.1%減と、2013年2月以降で最大の減少率を記録。6月の2.3%減、5月の0.4%減などと合わせ4カ月連続と、少なくとも過去5年間で最長に及んでおり、中国経済にはブレーキが掛かりつつあるようです。

(カバー写真:Leon Lee/Flickr)

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