August Philly Manufacturing Index Improves From 4-Month Low.
米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は8.3となり、市場予想の7.5を上回った。4ヵ月ぶりの水準に低下した前月の5.7から回復している。ただ、6月の15.2から熱気が薄れた水準を保つ。
主要な項目の内訳は、以下の通り。出荷が前月を上回ったほか、雇用や在庫も分岐点を取り戻した。半面、新規受注のほか原油安を背景に仕入れ価格が下振れした。
・新規受注 5.8、分岐点乗せを維持も3ヵ月ぶり低水準<前月は7.1
・出荷 16.7、2014年11月以来の高水準で4ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は4.4
・在庫 0.2、分岐点を回復>前月はマイナス5.7
・雇用 5.3、分岐点回復>前月はマイナス0.4、6ヵ月ぶりの分岐点割れ
・週当たり平均労働時間 8.5、2014年8月以来の高水準で3ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は4.0
・受注残 マイナス1.0、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス6.3
・入荷時間 マイナス0.4、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.5
・仕入れ価格 6.2、3ヵ月連続で分岐点に乗せたなかで最小の伸び<前月は20.2
・販売価格 マイナス4.9、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は1.7
6ヵ月先見通し指数は、43.1。前月の41.5および6ヵ月平均の31.7を上回った。7ヵ月ぶりの高水準を示す。ただ項目別をみると、前月に続き明るい兆しは限定的。在庫(12.4>前月はマイナス1.3)や設備投資(18.4>前月は7.7)が大きく上昇した程度。新規受注(46.4>前月は46.3)、仕入れ価格(38.4<前月は37.3)などは、小幅な改善にとどまる。一方で出荷(37.6<前月は49.7)、雇用(21.5<前月は22.2)、平均労働時間(1.2<前月は12.7)、受注残(26.2>前月は33.6)、入荷時間(1.0<前月は10.3)などは減速した。
現況(オレンジ)は小幅回復、見通し(グレー)は上昇もレンジを維持。
(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)
今回の特別質問項目は、輸出動向について。過去1年での売上に占める輸出シェアにつき「低下した」が23%となり、「上昇した」の18.8%を上回った。前年同月は「上昇した」が38.6%を占め「低下した」の7%を凌駕しており、輸出の低下が著しい。今回の回答の詳細をみると、過去1年間における売上に占める輸出のシェアについて「横ばい」との回答が58.2%で最も多かった。次いで「小幅に低下した」の回答が多く16.7%、3番目に「小幅に増加した」が12.5%が入った。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「米8月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)のような分岐点割れを回避し、絶好調とは言わなくとも堅調な数字を叩き出した」とコメント。特別質問項目で輸出のシェアが低下したように、ドル高の影響が及んだと考えられる。もっとも米8月マークイット製造業PMIなどを確認する必要があるとし、「他の製造業景況指数で分岐点割れが相次ぐリスクは小さい」とまとめた。
——米8月フィリーは底堅さを示しつつ、米7月鉱工業生産で自動車以外がさえなかったように力強さに欠けます。もっとも、中国株安やドル高の影響を考えれば御の字といったところ。現状のペースを保つか、試されます。
(カバー写真:Chris Devers/Flickr)
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