ISM Manufacturing Index Falls To Lowest Since May 2013, Markit Slips From July.
米8月ISM製造業景況指数は51.1となり、市場予想の52.8を下回った。前月の52.7にも届かず、2013年5月以来の低水準。内訳は以下の通りで、新規受注をはじめ生産、雇用など主要項目が軒並み鈍化した。その他の地区連銀が発表した製造業景況指数と足並みをそろえている。
・新規受注 51.7、直近で最低<前月は56.5、7ヵ月ぶり高水準
・生産 53.6、直近で最低<前月は56.0、3ヵ月ぶり高水準
・雇用 51.2、5ヵ月ぶりの分岐点割れが視野<前月は52.7
・在庫 48.5、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月は49.5
・新規輸出受注 46.5、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月は48.0
・仕入れ価格 39.0、5ヵ月ぶり低水準で3ヵ月連続で分岐点割れ<前月は48.9
・入荷時間 50.7、3ヵ月ぶりの分岐点乗せ>前月は48.9
・受注残 46.5、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は42.5
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、今回の結果につき「18業種のうち、10業種が拡大を報告した」と指摘し前月の11業種から減少を伝えている。大寒波の影響を受けた3月の10業種に並んだ格好。成長の3分の2を支える個人消費は堅調ながら「製造業活動は、原油安とドル高の煽りを受け低迷を続けている」とまとめた。
▽米8月マークイット製造業PMI・確報値は予想と一致も、2013年10月以来の低水準
米8月マークイット製造業PMI・確報値は53.0となり、速報値の52.9から上方修正された。市場予想と一致しつつ前月の53.8には届かず、2013年10月以来の低水準。内訳をみると、速報値と同じく生産が全体を押し下げており豪雪の影響が及んだ2014年1月以来の落ち込みを示す。新規受注も低下したほか雇用も2014年7月以来の水準へ減速しており、主要項目は軒並み下向いた。
マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは結果を受け「ドル高という逆風や世界経済の不透明性に直面し製造業活動は苦境に瀕しているものの、米国内での支出動向とコスト圧力の低下で回復基調をたどる」との見解を表明した。ただ企業は雇用や在庫に慎重姿勢を打ち出し始め、「最終財の在庫は年初来で初めて低下し雇用も過去1年で最低」とも指摘。その上で「成長鈍化を見据え、製造業は生産活動の調整を模索しつつある」と結んだ。
▽米7月建設支出は市場予想を上回り、6月分は大幅に上方修正
米7月建設支出は前月比0.7%増の1兆834億ドルとなり、市場予想の0.6%増を下回った。前月の0.7%増(0.1%増から上方修正)を含め、8ヵ月連続で増加。金額ベースでは、少なくとも2008年5月以来の高水準に達した。住宅が1.1%増と4ヵ月連続で増加したほか、非住宅も0.5%増と7ヵ月連続で増加をたどる。前年比では13.7%増となり、6月の12.0%増から加速した。
民間は1.3%増と増加トレンドを維持。住宅が1.1%増と4ヵ月連続でプラスをたどり、金額ベースでは2008年5月以来で最高に達している。非住宅は0.1%減と、2ヵ月連続で減少した。内訳をみると宗教施設が5.7%増、製造業施設が4.8%増と支えたものの、娯楽施設の5.3%減をはじめ水道関連も4.8%減、公共安全施設も2.8%減、教育も2.2%減と足を引っ張った。公共は1.0%減と、5ヵ月ぶりに減少。住宅が0.1%減と2ヵ月連続で下振れしたほか、非住宅も1.0%減と5ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、過去分の上方修正を受けて「米4−6月期国内総生産(GDP)確報値の予想を「3.8%増」とし、改定値からの大幅上方修正を見込む。米7−9月期GDPをめぐっては、公共セクターが軟調だったため「従来の2.7%増から2.6%増」ヘ引き下げた。
——米8月ISM製造業景況指数は鈍化し米7月マークイット製造業PMIも伸び悩み、製造業は低迷から脱しきれず。反対に米7月建設支出は過去分が上方修正もあって、米4−6月期国内総生産(GDP)が改定値から上方修正される公算。米7−9月期GDPに向けてはまちまちなシグナルを点灯させるなか、やはり成長の頼みの綱は消費と言えそうです。
(カバー写真:Steve Jurvetson/Flickr)
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