Draghi Hints More Actions, Raising The Issue Share Limit Of Purchase Program.
欧州中央銀行(ECB)は3日、フランクフルトで開催した定例理事会で市場予想通り政策金利にあたるリファイナンス金利を0.05%で据え置いた。上限金利の限界貸出金利も0.30%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.2%で維持している。
ドラギECB総裁は、記者会見で量的緩和(QE)の条件緩和を発表した。1月の発表では一銘柄の上限が25%だったものの、今回は33%への引き上げを決定。足元で中国発のアジア危機再燃が囁かれるなか「正当化される場合、委任された権限の範囲内であらゆる手段を活用し進んで行動していく」意志を打ち出した。欧州債が下落した6月と異なり、行動する可能性を力強く点灯させた格好だ。
QEをはじめとする支援策について、前回に続き「完全実施(full implementation)」を確約した。資産買い入れプログラムは、予定通り2016年9月まで実施する構えをあらためて表明。本日は資産買い入れプログラムの規模など変更について協議しなかったものの「規模、構成、年限など調整する柔軟性を十分に有する」と述べ、「必要とあれば延長する(or beyond. if necessary)」構えを強調している。
経済活動については、スタッフ見通しの下方修正に合わせ「成長とインフレ見通しには、新たに下方リスクが浮上した」と述べた。前回の「一連の金融政策の決定を背景に、下振れリスクは概して抑制されている」から、楽観的なトーンを後退させている。また前回の「一段と回復の裾野が広がっていく」を削除。今回は「経済回復が続くと予想するものの、以前より緩やかなベースになる」へ差し替えた。背景として「エマージング国の経済鈍化」を挙げている。インフレはユーロ安に加え、下半期に原油安のベース効果がはく落することから「2016年から2017年に回復していく」との予想を維持。ただし、見通し下方修正に合わせ成長と同じく「回復ペースは以前に比べいく分緩やかになる」とも付け加えた。
中国をめぐる質問には、「(同国)市場での混乱を極端に懸念していない」と回答。ただ「インフレと見通しが理事会メンバーの予想以ほど上昇せず、中国という範疇を超え政策の調整を保証する」と述べ必要な場合に行動する姿勢を崩さず。中国発の市場の急変動や商品先物の急落について判断するのは時期尚早としつつ、「緊密に注視していく」と付け加えるのを忘れなかった。
▽ECBスタッフ経済見通し改訂版は、以下の通り。2017年の成長見通し以外は、軒並み下方修正している。
2015年見通し(9月時点)
GDP 1.4%
HICP 0.1%
2015年見通し(6月時点)
GDP 1.5%
HICP 0.3%
2016年見通し(9月時点)
GDP 1.7%
HICP 1.1%
2016年見通し(6月時点)
GDP 1.9%
HICP 1.5%
2017年見通し(6月時点)
GDP 2.0%
HICP 1.7%
2017年見通し(6月時点)
GDP 2.0%
HICP 1.8%
アバディーン・アセット・マネジメントのジェームズ・アセイ投資マネージャーは、結果を受け「インフレ見通しの下方修正は『必要な行動を取る』という意志を打ち出す上で必要不可だった」と指摘。その上で「単なる口先介入以上のもの」と評価している。
——ハト派寄りのドラギ総裁会見を背景に、欧州株高・欧州債高・ユーロ安で反応しました。欧州株は独DAXが2.7%高、仏CACは2.2%高、英FTSEも1.8%高で引けています。米株も煽られ、NY時間の午後12時40分時点で続伸を謳歌中。中国株が抗日70周年記念式典で休場を迎えるなか、安心感が漂っています。
(カバー写真:ECB European Central Bank/Flickr)
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