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米9月ISM製造業景況指数、2013年5月以来の低水準で製造業に暗雲

by • October 7, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3562

ISM Manufacturing Index Hits Lowest Since May 2013.

米ISM製造業景況指数やマークイットが発表した景況感指数をおさらいしていきます。

米9月ISM製造業景況指数は50.2となり、市場予想の50.6を下回った。前月の51.1にも届かず、2013年5月以来の低水準。6ヵ月平均の52.0にも届いていない。内訳は以下の通りで、8月に続き新規受注をはじめ生産、雇用など主要項目が軒並み鈍化している。世界景気の減速懸念を裏打ちする内容となった。

・新規受注 50.1、直近で最低<前月は51.7、6ヵ月平均は53.9
・生産 51.8、直近で最低<前月は53.6、6ヵ月平均は54.3
・雇用 50.5、6ヵ月ぶりの分岐点割れに接近<前月は51.2、6ヵ月平均は51.7

・在庫 48.5、3ヵ月連続で分岐点割れ=前月は48.5、6ヵ月平均は50.1
・新規輸出受注 46.5、4ヵ月連続で分岐点割れ=前月は46.5、6ヵ月平均は48.7
・仕入れ価格 38.0、直近で最低で4か月連続にて分岐点割れ<前月は39.0、6ヵ月平均は43.4

・入荷時間 50.2、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は50.7、6ヵ月平均は49.9
・受注残 41.5、4ヵ月連続で分岐点割れ<前月は46.5

BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、今回の結果につき「18業種のうち、7業種が拡大を報告し前月の10業種から減少した」と指摘。6地区連銀が発表した製造業景況指数のうちISM換算で前月を上回ったのは2地区連銀のみだったことと整合的との認識を示した。

▽米9月マークイット製造業PMI・確報値、2013年10月以来の低水準とほぼ変わらず

米9月マークイット製造業PMI・確報値は、53.1だった。速報値をはじめ、市場予想および8月の53.0と、ほぼ変わらず。2013年10月以来の低水準近くを保つ。内訳をみると、生産や新規受注が低下したほか、雇用も2014年6月以来の水準へ減速するなど主要項目は軒並み下向いた。

9月も、約2年ぶりの低水準近くにとどまる。
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(出所:Markit)

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは結果を受け「ドル高をはじめ世界の需要鈍化、企業投資の減退、金融市場の混乱などといった逆風により、製造業のモメンタムが失われた」と指摘。ただし「製造業活動は国内総生産(GDP)の10分の1程度に過ぎず大半はサービスが占め、企業活動の見通しこそ懸念が芽生えつつあるものの全般的に経済は良好」と楽観的な見解を示す。その上で、米9月マークイット製造業PMI確報値を受け「米7-9月期GDPは2.2%増となる見通し」と結んだ。

▽米9月ISM非製造業景況指数、新規受注や仕入れ価格が下押し

米9月ISM非製造業景況指数は56.9となり、市場予想の57.5を下回った。2007年8月以来の高水準を達成した前月の60.3以下とはいえ、8月の59.0にも届かず。前月は耐えに抜いた世界同時株安、さらにベージュブックで指摘された中国景気の減速という逆風に屈し、3カ月ぶりの水準へ鈍化している。

内訳をみると新規受注や仕入れ価格が大幅に低下し、在庫も下振れ。一方で、雇用や新規輸出受注は明るいニュースを届けた。詳細は、以下の通り。

在庫センチメント 65.0<前月は69.0、直近で最高
ビジネス活動 60.2、4か月ぶり低水準<前月は63.9
雇用 58.3>前月は56.0
新規受注 56.7、7か月ぶり低水準に並ぶ<前月は63.4
新規輸出受注 52.5>前月は52.0
仕入れ価格 48.4、少なくとも年初来で最低<前月は50.8

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「8月から鈍化したとはいえ、堅調な推移をキープしている」と振り返った。予想外に失速した米9月雇用統計の割に「ISMでのサービス関連の雇用は過去10年間で2番目の高水準に並んだ」と指摘。先行きを懸念するような姿勢を打ち出さずにいた。

▽米9月マークイット・サービス業PMI確報値、3ヵ月ぶり低水準

米9月マークイット・サービス業PMI確報値は55.1となり、速報値の55.6から下方修正された。8月の56.1にも届かず、3カ月ぶりの低水準。内訳をみると、新規受注と生産が8月から鈍化した。世界的な需要鈍化を背景とした低インフレ環境を反映し、仕入れ価格は48.6と2010年11月以来の落ち込みをみせている。雇用は堅調だった。総合PMIは55.0と8月の55.7から低下。5ヵ月ぶり水準へ減速した6月の54.6からは、上回った水準を保った。

サービス業PMIに、鈍化の兆し?
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(出所:Markit)

発表元であるマークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「米7-9月期国内総生産(GDP)予想は従来の2.2%増以下となる公算」との考えを示した。もっとも「力強い成長を遂げた米4ー6月期の反動」と指摘。米成長は、長期的平均に沿う緩やかな軌道をたどると振り返る。雇用も安定的である上、燃料価格の下落によりモノ・サービス価格の下げ幅が過去5年間で最大を示すだけに「現状、10-12月期にかけ景気が弱含むかは不透明」と結んだ。

——米9月ISM製造業景況指数と米9月マークイット製造業PMIは、そろって軟調でした。米9月ISM非製造業景況指数と米9月サービス業PMIも、さっぱりな内容。世界景気の鈍化が製造業の垣根を越え、サービス業にも波及するのでしょうか。マークイットのチャートをみると、製造業とサービス業そろって2014年半ばにピークをつけた後に力尽きた感も。7−9月期に持ち堪えたサービス業は、ホリデー商戦の波に乗って分岐点超えを維持できるかが試されます。

(カバー写真:Bob Jagendorf/Flickr)

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