China Cuts Interest Rates And Reserves Before The Fifth Plenum.
中国人民銀行は23日、25bpの追加利下げを実施しました。1年物貸出金利は4.6%から4.35%、1年物預金基準金利も1.75%から1.5%に設定。2014年11月に約2年ぶりの利下げに踏み切ってから2015年2月、同年5月、同年6月、同年8月に続き6回目で、24日から適用されます。預金準備率をめぐっては、前回8月に続き50bp引き下げを決定。6月は農業・中小企業向けに一定の貸出を行う銀行のみが対象だったものの、2月、4月、8月のように大手銀を含め大手銀の預金準備率は17.5%となる。農業、中小企業へ貸出を行う金融機関には、50bpの追加引き下げを決定した。リーマン・ショックの衝撃が世界の金融市場を襲った2008年10月当時のように、利下げと預金準備率引き下げの合わせ技で市中での流動性を高め貸出を支援していく構えだ。
今回はさらに、預金金利の上限を撤廃。自由化への扉を開いた。2013年の貸出金利の下限を撤廃し、今年5月には上限の預金金利を従来の1.3倍から1.5倍へ引き上げ、同8月には期間1年以上の預金金利にのみ1.5倍とする上限も終了させていた。
声明では「経済と物価の動向を緊密に注視し、適正な水準で流動性を維持すべくあらゆる手段を講じていく」との見解を表明。中国9月貿易統計で輸入は前年同月比20.4%減と11ヵ月連続で、輸出は3.7%減と3ヵ月連続で減少しており、内需の落ち込みが目立つ。7−9月期国内総生産(GDP)は前年同期比6.9%増と政府目標値7%をわずかに下回る程度だったが、エコノミストは懐疑的で景気テコ入れの必要性を唱えていた。人民銀は景気減速懸念が募るなか、26−29日に向こう5年間の計画を示す共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)を前に追加利下げに踏み切った格好だ。
中国の7−9月期GDPは、2009年以来の低水準。
(出所:CNBC)
マッコーリーのラリー・フー、ジェリー・ペン両エコノミストは、結果を受け「予想を上回った消費者物価指数に加え住宅価格の上昇、人民元の下落圧力を踏まえると追加利下げはサプライズだった」と振り返る。もっとも「政府目標7%を達成を目指す上での真剣さが伺える」ともコメント。今後については「追加利下げは打ち止めとする一方、預金準備率は引き下げ余地がある」と見込む。
——欧州中央銀行(ECB)が追加緩和への狼煙を上げた直後、中国も追加利下げでマーケットを刺激してきました。おかげで、世界株高が継続。S&P500は200日移動平均線を上抜け、調整入りした8月後半からの下落をほぼ相殺。一方で、中国の追加利下げに対し英エコノミスト誌は「中国政府が経済指標を信じていない証左」との解釈も聞かれます。国際通貨基金(IMF)の予想とも、確かに乖離が激しい。一方で、IMFと言えば11月に準備資産「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨入りをめぐり決定しますね。景気減速と人民元安を受け、外貨獲得の手段として虎視眈々と狙う様子が伺えます。6月にはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が中国本土の人民元建てA株につき、新興国株式指数組み入れを見送っていましたしね。
(カバー写真:Bloomberg via The Business Times)
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