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米新規失業保険申請件数は1973年以来の低水準でも、雇用統計は失速の「謎」

by • October 24, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1446

The Reason That Jobs Report And Jobless Claims Show Different Signs.

米新規失業保険申請件数は10月17日週に25.9万件と、市場予想の26.5万件を下回った。1973年11月24日以来の低水準に並んだ前週の25.6万件(25.5万件から修正)と、ほぼ変わらず。米労働省は今回、特殊要因を挙げていない。4週平均は26万3250件と前週の26万5250件を下回り、1973年12月以来の低水準に至った。なお米9月チャレンジャー人員削減予定数は、約4年ぶりの高水準を記録した7月から60%減少していた。

10月10日週までの継続受給者数は217.0万件と、前週の216.8万件(修正値)と概して変わらず。2000年11月以来の低水準近くを保つ。被保険者に占める失業者の割合は4週連続で1.6%となり、1971年以来の最低に並ぶ。

——労働市場は、相変わらず米新規失業保険申請件数だけをみると好調そのものです。米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)とは、天と地ほどの差を感じさせますよね?なぜなのでしょうか?

ヒントは、非正規雇用の増加に隠されていると考えられます。こちらのチャートをご覧下さい。

IndependentWorkers
(出所:BLSのデータよりMy Big Appleが作成)

そう、2015年になって給与台帳に記載されていない労働者が突出して増えているんです。緑色の2010年、薄いブルーの2005年と比較しても、その高い水準は明らかですよね。

米新規失業保険申請件数は文字通り、仕事をなくし失業保険を申請した人々を対象とします。裏を返せば、失業保険を支給されない人々を網羅していません。つまり、企業に雇用されていても「個人事業主」として分類される非正規社員やフリーランスはここに含まれない。企業が正社員あるいは一定の基準を満たすパートタイム従業員として給与台帳に載せていない限り、彼らは米新規失業保険申請件数には反映されないのです。米雇用統計・NFPも、この「給与台帳」に記載されている人々を対象にカウントします。

金融危機後、米国の雇用は柔軟さを増してきました。クリエイティブ、金融、建設、サービス業などあらゆる分野でフリーランスの雇用を促進し、プロジェクト終了次第で彼らとの契約を終了します。こうしたフリーランス職の人々は米新規失業保険申請件数に当てはまらず数字を押し下げる圧力を加える一方、米雇用統計・NFPの数字を抑えます。だからこそ米新規失業保険申請件数は42年ぶりの低水準を記録し、その陰で米雇用統計・NFPは伸び悩んでしまう。この仮説が正しければ、今後さらにかい離が激しくなりそうです。

(カバー写真:markus spiske/flickr)

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