Job Cuts Decrease First Time In 5 Months.
米10月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比1.3％減の5万504人と5ヵ月ぶりに減少した。9月の5万8,877万人からは、14％減少。エネルギー以外が押し下げており、単月でみたエネルギー産業の人員削減は全体の34.3％を占め9月の1.8％から大幅に上昇した。8月（5.0％）、7月（8.6％）、6月（0.6％）、5月（2.5％）の水準を軽く超え、4月（34％）以来の水準へ膨らんだ。なお3月は35％、2月は38％、1月は40％となる。チャレンジャー人員削減予定数は、年初来で31.2％増の54万3,935人だった。
4大地域別では、3地域で増加。前回はIT関連企業が集まる西部が最も著しく前月比4倍増だったが、今回は前月比33.4％減の2万3,644人だった。ただしエネルギー産業が集中する南部が全体を引っ張り、12.6％増の6,951人で前月から増加に反転している。中西部は2.8％増の1万3,472人と、4ヵ月連続で増加。北東部も56.2％増の6,437人と、前月の2桁減から増加に揺り戻した。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者（CEO）は、結果を受けて「原油安でエネルギー関連の人員削減が再燃したものの、パニックに陥る必要はない」と振り返る。原油安は「輸送、プラスチック関連などその他の産業に恩恵を与えている」ためだ。小売やコンピューター関連でもリストラが目立つものの「経済の減速を示唆するより、産業構造とビジネス・トレンドの変化を表す」と指摘。今後は年末にかけ、業績目標の達成に向け人員削減が増える可能性があると予想しつつ「同時に、需要に追い付かず雇用を増やすセクターも出てくるだろう」と楽観的な見解で結んだ。
1−10月に人員削減が多かったセクター、ランキングは以下の通りで％は前年同期比を示す。9月分と、ランキングに変更はない。
1位 エネルギー 766％増の9万52人
2位 政府 226％増の6万9,105人
3位 小売 67％増の6万4,983人
4位 コンピューター 20％増の5万9,630人
5位 産業財 118％減の4万7,447人
10月人員削減予定件数のセクター別をみると、1位はエネルギーで1万7,344人だった。2位は小売で5,153人、3位は再編が活発化している製薬で3,665人だった。なお9月にヒューレット・パッカードの分社化に伴う3万人のリストラが響きトップに立ったコンピューターは、今回756人と大幅に縮小した。
リストラ実施の理由、10月のランキングは以下の通り。トップは前月の2位から1位に浮上した原油で、再編は9月の1位から2位に下がった。3位は閉鎖で前月と変わらず。4位に需要低下が圏外から浮上し、4位は閉鎖、5位はコスト削減が前月の4位から順位を落とした。
1位 原油安 1万3,671人 年初来 10万1,383人
2位 再編 1万3,348人 年初来 17万415人
3位 閉鎖 8,432人 年初来 8万1,381人
4位 需要低下 5,446人 年初来 2万4,413人
5位 コスト削減 2,207人 年初来 9万4,160人
採用予定人数は8万6,107人と、ホリデー商戦を控えた臨時雇用で急増したとみられる9月の49万2,306人から大幅に縮小した。1位はやはりホリデー商戦を背景に小売で7万3,437人、2位は娯楽で2,500人、3位は金融で2,400人だった。
ホリデー商戦を控え、小売セクターはご覧の人員増加を計画。
（出所：Challenger Grey And Christmas）
——米10月チャレンジャー人員削減予定件数は、米10月ADP全国雇用者数が堅調だったように改善しました。エネルギー関連の急増さえなければ、一段と減少していたと見込まれます。ただし、ホリデー商戦の臨時雇用だけを切り取ると、今年は2014年を下回る予感。採用予定数は、前月のペースを大きく下回っています。例えば今年の9月は49万2,306人、10月は8万6,107人でしたが、昨年はそれぞれ56万7,705人、14万7,935人でした。
年初来からの人員削減予定数の増加と採用予定数の鈍化を踏まえると、今年のホリデー商戦は消費が盛り上がってくるか疑問が残ります。
（カバー写真：Michael Fleshman/Flcikr）
Comments
MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇を受け2週連続で低下 Next Post:
米新規失業保険申請件数、前週から増加もレンジ下限をキープ
about the author: Sawako
Related Posts
-
2022年の米年末商戦見通し、13年連続で過去最高も物価高で伸びは鈍化へ
-
米10月雇用統計・NFPは堅調も、年末商戦の臨時雇用が押し上げか
-
米10月人員削減予定数は増加、年末商戦の臨時雇用は前年比37％減
