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米9月雇用動態調査、求人数は過去2番目の高水準

by • November 15, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1274

Job Openings Rise While Hires Fall.

米労働省が発表した米9月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは求人数が前月比2.8%増の552.6万人と、市場予想の540万人を大幅に下回った。2000年の統計開始以来で最高を記録した7月の566.8万人(575.3万人から下方修正)に続き、2番目の水準に。なお米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で13.6万人増と4ヵ月ぶりの水準へ減速していた。

求人数が増加した半面、新規採用人数は微減した。9月は前月比0.7%減の504.9万人ながら、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を8ヵ月連続で保つ。6月は518.2万人と、人数自体で年初来で最高を示していた。離職者数も1.0%減の483.9万人と前月分の増加を打ち消し。少なくとも年初来で2番目に低い水準だった7月の479.6万人ほどは落ち込んでいない。定年や自己都合による退職者も1.8%減の272.0万人となり、7ヵ月ぶりの低水準だった。解雇者数は0.4%増の173.2万人。7月は、2014年9月以来で最低の164.6万人だったが、2ヵ月連続で増加している。

JOLTの求人率をみると、前月の3.6%から3.7%へ上昇した。民間が前月の3.9%から4.0%へ改善している。民間のうち建設、小売を含む貿易・輸送・公益、専門・サービス、教育・健康などが前月を上回った。一方で、製造業のほか娯楽・宿泊が減少。政府は前月の2.2%で横ばいだった。

就業者に対する新規採用率は8月まで2ヵ月連続で3.6%を経て、3.5%へ低下し5月以来の水準となった。2014年12月の高水準に並んだ6月の3.7%、およびリセッションに陥った2007年12月の3.8%から後退している。民間も、前月に並び3.9%。政府も、2ヵ月連続で1.6%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月と同じく3.4%となった。民間が3.9%で横ばいだったものの、製造の低下が著しい。娯楽・宿泊、小売を含む貿易・輸送・公益も低下した。政府も前月の1.6%から1.5%へ低下した。自発的離職率は4月から6ヵ月連続で1.9%と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0%を下回る。2007年12月の2.1%到達が、またお預けになった。解雇率は、3ヵ月連続で1.2%だった。

9月までの過去1年間で、離職者数は5,820万人だったところ採用人数は6090万人だった。採用者の純増幅は、270万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は1.4倍となり、7月の1.5倍から若干低下。もっとも、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回る水準を維持した。

——―以上、今回の結果を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 1.9%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.5%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 18.7万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.0%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.8%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 26.8%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004−07年平均 66.1%
現時点 62.4%

——米9月雇用動態調査は求人件数が増加した半面、新規採用件数と離職者数は減少しました。雇用動態調査では、ワシントンよろしく「ねじれ」の状態が続いています。自発的に離職した人々の数も若干ながら減少。米9月労働市場情勢指数(LMCI)が上方修正されたとはいえ、鈍化を示した米9月雇用統計と整合的。ただし、米10月雇用統計はホリデー商戦を控え急増していましたね。11月もこの流れを継続してくるのでしょうか。

雇用動態調査では今回、イエレン・ダッシュボードを構成する9つの項目のうち失業率が金融危機前の水準を回復し4勝5敗と星を一つ増やしました。12月の利上げを目指すFedにとっては、追い風が吹いています。

▽米新規失業保険申請件数、前週と変わらず

米新規失業保険申請件数は11 月7日週に27.6万件と、市場予想の27.0万件を上回った。前週と変わらず。1973年11月24日以来の低水準に並んだ10月24日週の25.6万件から増加をたどる。米労働省は今回、特殊要因を挙げていない。4週平均は26万7,750件と、1973年12月以来の低水準に至った2週前の25万9,250件から増加を続けた。なお米10月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比1.3%減の5万504人と5ヵ月ぶりに減少した。

10月31日週までの継続受給者数は217.4万件と、2000年11月以来の低水準を記録した10月24日週の214.6万件(修正値)から増加。被保険者に占める失業者の割合は7週連続で1.6%となり、1971年以来の最低に並ぶ。

米新規失業保険申請件数、4週平均は低水準を維持

joblessclaims
(出所:DOL)

州別で増加が目立ったのは前週減少したミシガン州で3,942人増だったほか、前週に続きカリフォルニア州が2,269人増、イリノイ州も1,796人増となる。ウィスコンシン州やオハイオ州も、それぞれ1,544人増、1,198人増だった。一方で、減少した州は前週増加が目立ったニューヨーク州で777人減、前週に続きサウスカロライナ州は571人減、アイダホ州は372人減、南部のジョージア州とテネシー州は372人減、316人減と続いた。

(出所:Bill Jacobus/Flickr)

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