Draghi Disappointed Markets With Additional Measures.
欧州中央銀行(ECB)は3日、フランクフルトで開催した定例理事会で市場予想通り政策金利にあたるリファイナンス金利を0.05%で据え置いた。上限金利の限界貸出金利も0.30%で維持。下限金利の中銀預金金利も、市場予想通り10bp引き下げ、マイナス0.3%に設定した。
ドラギECB総裁は記者会見で、量的緩和(QE)の延長も発表。従来の2016年9月までから、2017年3月へ引き延ばした。結果、買入額は3600億ユーロ増加する見通しだ。質疑応答では、2017年3月以降の延長には「ノー」と回答したが、インフレが参照値の2%弱の水準へ持続的に向かわない場合などの条件次第と付け加えた。購入対象の債券拡大をめぐっては、議論するにあたって「地方債買入の程度について協議するのは時期尚早」と発言。現時点で、債券の供給は追いついているとの見解を示した。
また、資産買入プログラム(APP)を通じて取得した資産が満期償還された際に元本を再投資する、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融危機後に導入した手法を取り入れた。
ECBスタッフ経済見通し改訂版は、以下の通り。2015年に加え、見通しと017上方修正されたが2016年は下限を、2017年は上限を下方修正した。HICP見通しも年の成長見通し以外は、軒並み下方修正している。
2015年見通し(12月時点)
GDP 1.5%
HICP 0.1%
2015年見通し(9月時点)
GDP 1.4%
HICP 0.1%
2016年見通し(12月時点)
GDP 1.7%
HICP 1.0%
2016年見通し(9月時点)
GDP 1.7%
HICP 1.1%
2017年見通し(12月時点)
GDP 1.9%
HICP 1.6%
2017年見通し(9月時点)
GDP 1.8%
HICP 1.7%
BNPパリバのケン・ウォトレット欧州担当主席エコノミストは、QE規模の拡大見送りにつき「市場の反応に失望度合いが強く表れている」と振り返った。ブルームバーグの報道では低理事会メンバーのうち5名が追加措置に反対を表明したと伝えられているが「歴史が証明するように、ECBは予想以下のインフレや引き締め寄りな金融環境に合わせ対応してきた」と指摘する。ECBは今後の経済動向を慎重に見極める方向ながら、QE規模拡大は「2016年9月、早ければ同年6月に追加措置を講じ得る」と予想した。
――ウォトレット氏が指摘するように、ECBの結果を受けてS&P500は1.4%も急落し年初来リターンをマイナスに反転させました。金融市場は株安・債券安・ユーロ高で反応。今回の決定がいかに期待外れだったが伺えるというものです。逆に言えばECBは選択肢を温存したと判断でき、マーケットは3日の変動分を巻き戻す余地が残ります。
(カバー写真:ECB/Flickr)
Comments
米11月新車販売台数、年率換算で2000年以来のペースを維持 Next Post:
米11月ADP全国雇用は数、予想外に20万台を回復