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MBA住宅ローン申請件数指数は低下も、利上げ開始にらみ新規は好調

by • December 5, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1986

Mortgage Loan Application Basically Flat Though New Purchases Rise.

MBA住宅ローン申請件数指数と、米7-9月期労働生産性・確報値をおさらいしていきます。

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、11月27日週に前週比0.2%低下し418.9だった。4週ぶりにプラスに転じている。感謝祭を挟んだ週は新規が7.7%上昇の228.1と大幅反発に転じたものの、借換が6.0%低下しの1516.9と2週連続で全体の足を引っ張った。前年比(季節調整前)は全体で20.0%上昇し、新規は30.2%、借換も13.1%上昇した。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は4.12%と、前週の4.14%から低下した。もっとも、1年前の水準である4.08%を超え、7月以来の高水準近くを保つ。2013年5月以来の低水準を示した1月30日週の 3.79%から、上振れしたままだ。15年固定金利型(平均)は前週の3.39%から3.36%へ低下。FHAのローン金利は3.89%となり、前週の3.87%を上回った。

申請全体に占める借換の割合は58.6%と、前週の59.7%から若干低下した。2009年6月以来の低水準となった7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持している。ただし、2013年5月以来の高水準となった1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

――住宅ローン申請件数指数はFedの利上げ開始が視野に入るなか、一段の金利上昇を警戒しているためか新規が押し上げています。注意点として、住宅ローン申請件数指数はあくまで申請数が対象であって承認済みローン申請分を反映していません。従って住宅販売動向を押し上げるかは不透明。住宅ローン貸出基準は厳格な状況であり、住宅ローン関連調査会社エリー・メイによると、住宅購入を完了した買い手のFICOベースでの信用スコア平均は755点であり、平均値から30ポイント近くも高いといいます。10月発表分のシニア融資担当者調査では68行中6行が「家計向け貸出基準を幾分、厳格化した」と回答し、前年同期の76行中ゼロから増加していました。利上げ開始後に一段と融資基準が厳格化されれば、住宅ローン申請件数指数は鈍化する可能性も捨てきれません。

▽米7-9月期労働生産性・確報値、生産も単位労働コストも上方修正

米7−9月期労働生産性・確報値は前期比年率2.2%上昇し、市場予想に並んだ。速報値の1.6%から上方修正。2014年10−12月期以来の水準へ上振れた4−6月期の3.5%(3.3%から上方修正)と合わせ、2期連続で上昇している。内訳をみると、生産が1.8%上昇し、速報値の1.2%から上方修正された。前期の5.1%から鈍化しつつ、6期連続で上向いた。米7−9月期国内総生産(GDP)改定値と整合的である。労働生産性の前年同期比は0.6%上昇し速報値の0.4%から引き上げられつつ、生産も2.5%上昇し速報値の2.3%から上方修正された。ただし、生産は2014年1−3月期以来の3%割れに陥った。

労働時間は前期比年率0.3%低下し、速報値の0.5%の低下から上方修正されつつ5期ぶりにマイナスに転じた。時間当たり賃金は4.0%上昇し、こちらも速報値の3.0%から大きく上方修正されただけでなく、前期の1.7%から急加速した。実質賃金も併せて速報値の1.4%から2.4%へ伸びを広げ、前期の1.2%の低下から改善。結果、一定量を生産するために必要な労働経費を示す単位労働コストは1.8%上昇し、市場予想の1.0%はもちろん速報値の1.4%上昇を超えていった。前期は2.0%だった。

――単位労働コストは4-6月期が1.8%の低下から2.0%へ上方修正された上に7-9月期も3.0%の上昇と足元のレンジ上限に近付きました。米7−9月期雇用コスト指数が伸び悩んだ割に、賃金に上向きの兆しが現れています。米10月雇用統計で時間当たり賃金が前年同月比2.5%増と2009年7月以来の高水準だったように、コアPCEで示されるような低インフレ環境に加えガソリン価格の下落も手伝い、裁量消費の余地が広がる可能性を点灯させました。ただ、ホリデー商戦の前哨戦は順風満帆とは言えなかったんですけどね。

(カバー写真:H. Michael Miley/Flickr)

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