Philly And Kansas City Manufacturing Index Return Negative Territory.
米12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)はマイナス5.9となり、市場予想の1より弱い結果となった。2012年夏以来となる連続でのマイナス圏から3ヵ月ぶりに脱した前月の1.9を下回り、あらためて分岐点割れ。3ヵ月ぶりの低水準だった。
主要な項目の内訳は、以下の通り。新規受注が悪化したほか、受注残や入荷時間、仕入れ価格や販売価格が下振れしており、他主要項目では改善が目立つ。
・新規受注 マイナス9.5、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス3.7
・出荷 3.7>前月はマイナス2.5、5ヵ月ぶりに分岐点割れ
・在庫 1.4、4ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス7.9
・雇用 4.1、2ヵ月連続で分岐点に乗せ3ヵ月ぶり高水準>前月は2.6、分岐点を回復
・週当たり平均労働時間 5.5、3ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス16.2、2ヵ月連続で分岐点割れ
・受注残 マイナス17.7、分岐点割れへ戻し2009年4月以来で最低<前月は2.4、5ヵ月ぶりに分岐点を回復
・入荷時間 マイナス6.1、分岐点割れへ戻し9ヵ月ぶりの低水準<前月は0.5、分岐点を回復
・仕入れ価格 マイナス9.8、3ヵ月連続の分岐点割れで9ヵ月ぶりの低水準<前月はマイナス4.9、6ヵ月ぶりの低水準
・販売価格 マイナス8.7、2ヵ月連続の分岐点割れで2009年7月以来で最低<前月はマイナス0.4、分岐点割れへ戻す
6ヵ月先見通し指数は、23.0。前月の43.0を下回っただけでなく、6ヵ月平均の27.2にも遠く及ばず、2012年11月以来の低水準を示した。項目別をみると、そろって強含んだ。新規受注(31.9<前月は48.8)、出荷(36.1<前月は43.9)、雇用(5.5<前月は28.2)など、出荷を除き約1年ぶりの高水準から急低下している。2014年7月以来の高水準だった設備投資(10.9<前月は25.9)も、下振れ。そのほか平均労働時間(マイナス1.8<前月は16.6)は9ヵ月ぶりの分岐点割れ、在庫(マイナス0.8<前月は1.2)も分岐点割れへ戻した。仕入れ価格(20.3<前月は20.7)、入荷時間(14.2<前月は10.6)、受注残(6.5>前月は15.5)なども、それぞれ弱含んだ。
現況(オレンジ)、見通し(グレー)はそろって下振れ。
(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)
今回の特別質問項目は、コスト見通しについて。2016年のコストをめぐって最も多い回答は「横ばい」となり、エネルギーで32.8%、原材料で35.4%、中間財で46.9%となっている。賃金は2-3%増が最も多く49.2%とほぼ半数を示した。
BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、内容を受け「現況指数は主要項目で上向きが目立ったため、ISM換算でみると前月の48.9から49.9へ改善する」と指摘した。もっとも見通し指数が2012年11月以来の低水準だったため、必ずしも歓迎できる結果ではないとの考えも明らかにした。
▽米12月カンザスシティ連銀製造業景況指数、分岐点割れへ戻す
米12月カンザスシティ連銀製造業景況指数はマイナス9となり、市場予想の1を下回った。前月こそ1となり10ヵ月ぶりに分岐点を回復したものの、4ヵ月ぶりの低水準へ押し返されている。項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 マイナス5、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<5、2ヵ月連続で分岐点乗せ
・出荷 マイナス11、分岐点割れへ戻す<前月は5、8ヵ月ぶりに分岐点を回復
・輸出 2、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は7、11ヵ月ぶりに分岐点を回復
・在庫(最終財) マイナス17、8ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス6、7ヵ月連続で分岐点割れ
・雇用 マイナス17、11ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス8、10ヵ月連続で分岐点割れ
・平均労働時間 ゼロ<前月は2、9ヵ月ぶりに分岐点を回復
・仕入れ価格 マイナス7、5ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス9、4ヵ月連続で分岐点割れ
見通し指数は7となり、前月の8を下回りつつ2ヵ月連続で分岐点を保った。内訳では生産、出荷、新規輸出受注、設備投資などが前月を上回ったものの新規受注、雇用、仕入れ価格などが低下した。
――フィリーとカンザスシティ連銀、そろって分岐点割れへ戻してしまいました。2009年2月以来の安値を迎えた原油価格が響いたと考えられるほか、エネルギー関連企業の設備投資削減計画の余波を受けた可能性を残します。利上げ開始を宣言した12月米連邦公開市場委員会(FOMC)後、イエレンFRB議長が「原油価格の安定が必要」と発言したのも、頷けますね。米大統領選や一部議員の改選を前に、エネルギー関連雇用の著しい悪化が民主党に原油輸出解禁反対を翻意させたとはいえ、原油価格が上昇へ転じなければ好転しづらく、製造業の夜明けはまだ遠いもようです。
(カバー写真:Steve Jurvetson/Flickr)
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