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米1月フィリーは下げ幅縮小も、見通し指数が09年以来の低水準

by • January 22, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2919

Philly Manufacturing Outlook Falls To The Lowest Since 2009.

米1月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)はマイナス3.5となり、市場予想のマイナス5.9より下げ幅を縮小した。2ヵ月連続で分岐点割れとなる。前月分は改訂を受けてマイナス5.9からマイナス10.2へ下方修正され、2012年7月以来の水準へ沈んだ。

主要な項目の内訳は、以下の通り。出荷が4ヵ月ぶりに分岐点を回復したほか、新規受注も大きく下げ幅を巻き戻し悪化した4ヵ月ぶりの分岐点乗せをうかがった。仕入れ価格も分岐点割れながら、大幅に改善。ただし雇用と在庫は下方向へ傾き、雇用は3ヵ月ぶりの分岐点割れを迎えた。他項目は、以下の通り。

・新規受注 マイナス1.4、5ヵ月ぶりの分岐点乗せが視野>前月はマイナス11.1、6ヵ月平均はマイナス3.1
・出荷 9.6、4ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス2.1、6ヵ月平均は3.2
・在庫 15.7、分岐点割れを継続>前月はマイナス5.7、6ヵ月平均はマイナス8.7
・雇用 マイナス1.9<前月は2.2、6ヵ月平均は1.7
・週当たり平均労働時間 マイナス2.2<前月は0.6、6ヵ月平均はマイナス2.9

・受注残 マイナス17.7、分岐点割を維持し2009年4月以来で最低<前月はマイナス17.6、6ヵ月平均はマイナス8.9
・入荷時間 マイナス6.1、分岐点割れへ戻し9ヵ月ぶりの低水準<前月はマイナス6.1、6ヵ月平均はマイナス4.3

・仕入れ価格 マイナス1.1、5ヵ月連続の分岐点割れで9ヵ月ぶりの低水準>前月はマイナス8.3、6ヵ月平均はマイナス3.2
・販売価格 マイナス2.8、分岐点割れを維持>前月はマイナス8.5、6ヵ月平均は4.5

6ヵ月先見通し指数は、18.8。現況指数が改善した半面、前月の26.0を下回っただけでなく6ヵ月平均の31.0にも遠く及ばず。2015年10月に続き、2009年5月以来の低水準を示した。項目別をみると、軒並み低下。新規受注(21.1<前月は34.5)、出荷(22.0<前月は36.6.)、雇用(5.5<前月は7.0)、設備投資(9.4<前月は10.7)、仕入れ価格(18.8<前月は26.0)が弱い。入荷時間や受注残も弱含んだ。一方で平均労働時間(2.1>前月は0.2)、在庫(1.5>前月はマイナス1.7)は前月を上回った。

現況(オレンジ)こそ下げ幅縮小も、見通し(グレー)は09月5月以来2番目の低水準。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別項目は、原油安について。原油安の影響をめぐっては51%が「ポジティブ」、30%が「ネガティブ」と回答した。回答の詳細を切り取ると、原油安で「仕入れコストが低下した」が41%、エネルギー関連商品の顧客の「需要が低下した」は42%に及ぶ。対して「利ざやが低下した」、「減収につながった」との回答もそれぞれ22%を示した。

BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受け「ISM換算でみると前月の47.7から48.3へ改善する」と指摘した。ただ現況指数は5ヵ月連続で分岐点をたどり、見通し指数が悪化。米1月NY連銀製造業景況指数はISM換算で「前月から3.2ポイント低下し43だった」としており、製造業活動の好転を予想していない。

――製造業景況指数の先陣を切った米1月NY連銀製造業景況指数が金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年4月以来の低水準だった一方で、フィリーは改善していました。しかしながら、見通し指数は金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年5月以来の低水準で、楽観的になりきれません。著名投資家のジョージ・ソロス氏が年内据え置きあるいは利下げ、史上最高のファンド・マネージャーの異名を取るブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ氏が量的緩和第4弾(QE4)の可能性に言及するように、少なくとも製造業活動は1)原油安、2)ドル高、3)中国景気鈍化――の泥沼から脱するにはまだ時間が掛かりそうです。

(カバー写真:I-5 Design & Manufacture/Flickr)

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