Job Openings Increase, While Hires And Separations Decrease.
米労働省が発表した米1月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は554.1万人と、市場予想の550.3万人を上回った。前月の528.1万人(560.7万人から下方修正)から4.9%増加となり、2ヵ月連続で増加。2000年の統計開始以来で最高を記録した2015年7月の578.8万人に接近している。なお米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で17.2万人増とホリデー商戦前の臨時雇用で煽られた2015年10-12月以前の水準、20万人割れへ切り返した。2015年平均22万人増にも届かなかったものの、2月には24.2万人増にあらためて加速している。
新規採用人数は前月比6.9%減の502.9万人と、5ヵ月連続ぶりに減少。2014年7月以来の500万人割れが迫った。とはいえ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を17ヵ月連続で超えた。前月は、ホリデー商戦もあって2010年8月以来で最高となる。
離職者数は4.4%減の490.3万人となり、3ヵ月ぶりに減少し2015年7月以来の低水準を示す。前月は、2009年3月以来で最高だった。定年や自己都合による退職者は280.4万人となり、統計開始以来で最高だった308.8万人から9.2%減少。解雇者数は0.5%減の166.3万人と2ヵ月連続で減少し、2014年9月以来で最低だった
求人率は3.7%となり、前月の3.6%から上昇した。統計開始以来で最高となる2015年7月の3.9%を視野に入れている。民間が4.0%とけん引し、前月の3.8%から上昇。民間のうち財生産業が好調で建設が前月の1.8%から2.7%へ急伸し、製造業も2.5%から2.6%へ上向いている。サービスでは貿易・輸送・公益をはじめ専門・サービス、娯楽・宿泊、教育・ヘルスケアなど軒並み上昇した。政府のみ、前月の2.2%から2.1%へ低下した。
就業者に対する新規採用率は3.5%と、2014年8月以来の低水準。前月は3.8%と、2007年10月以来で最高を示した。民間が前月の4.3%から3.8%へ急低下し、2015年9月以来の低水準に。政府も前月の1.6%から1.5%へ低下した。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.4%と前月の3.5%から低下し3ヵ月ぶりの水準に並んだ。民間が前月の3.9%から3.8%、政府も前月の1.6%から1.5%へそれぞれ下向いている。自発的離職率は2.0%だった。2007年5月以来の高水準だった前月の2.2%以下に終わっている。解雇率は4ヵ月連続で1.2%となり、2000年12月の統計開始以来の最低である1.1%に届いていない。
1月までの過去1年間で、離職者数は5900万人だったところ採用人数は6170万人だった。採用者の純増幅は、270万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は前月に続き、1.4倍。景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回る水準を維持した。
求人数以外は、いいところなし。
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。2015年12月は採用率が合格したため9項目中5項目に増えたが、今回は同じ項目が弱まり4項目へ逆戻りしました。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。
1)求人率—○ 2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%
3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.5%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 22.8万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.9%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.7%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 27.7%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%
――米1月雇用動態調査は求人数こそ増加したものの、ホリデー商戦明けに新規採用数と離職者数が減少しました。米2月雇用統計を見る限り失速する気配は感じられず、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数など製造業指数や米2月鉱工業生産での製造業活動の改善もあって、原油安で打撃を受けていた同セクターが息を吹き返す予兆も現れています。ただ米2月LMCIは軟調であり、記録を更新していく力強さには欠けるのでしょう。
(カバー写真:Steve Petrucelli/Flickr)
Comments
米3月フィリー、エンパイアに続き7ヵ月ぶりに分岐点を回復 Next Post:
Fed、年内利上げは12月の1回だけになる?