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米3月フィリー、エンパイアに続き7ヵ月ぶりに分岐点を回復

by • March 18, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2199

Philly Manufacturing Index Also Turns Positive.

米3 月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は12.4となり、市場予想のマイナス1.5を大幅に上回った。2012年7月以来で最低だった2015年12月のマイナス10.2から改善を継続し、7ヵ月ぶりに分岐点を回復しただけでなく、2015年1月以来の高水準を遂げている。

主要な項目の内訳も、軒並み改善した。新規受注や週当たり平均労働時間、販売価格が全て分岐点を回復し、一足早くゼロ以上を回復した出荷も急伸している。雇用は前月から改善したものの、分岐点割れを維持した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 15.7、7ヵ月ぶりに分岐点を回復し2014年11月以来の高水準>6ヵ月平均はマイナス4.4
・出荷 22.1、3ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年7月以来の高水準>6ヵ月平均は3.9
・在庫 マイナス12.7、分岐点割れ継続>6ヵ月平均はマイナス12.9

・雇用 マイナス1.1、2013年5月以来最低から改善も3ヵ月連続で分岐点割れ>6ヵ月平均はマイナス5.0
・週当たり平均労働時間 マイナス1.1、3ヵ月連続で分岐点割れ>6ヵ月平均はマイナス5.1

・受注残 マイナス1.9、2009年4月以来で最低から改善>6ヵ月平均はマイナス9.5
・入荷時間 0.3、2014年11月以来の分岐点回復>6ヵ月平均はマイナス6.2

・仕入れ価格 マイナス0.9、7ヵ月連続の分岐点割れ>6ヵ月平均はマイナス3.9
・販売価格 3.5、2015年2月以来の分岐点回復>6ヵ月平均はマイナス3.2

6ヵ月先見通し指数は28.8と前月の17.3を上回り、2014年11月以来の高水準を果たした。6ヵ月平均の26.3も超えた。項目別をみると、軒並み上昇。新規受注(38.8>前月は19.8)をはじめ、出荷(34.2>前月は20.2)、雇用(6.3>前月は2.3)、設備投資(13.3>前月は2.5)、平均労働時間(9.2>前月はマイナス12.5)となる。そのほか仕入れ価格(24.7>前月は11.9)、販売価格(15.1>前月は2.1)も、上昇。入荷時間や受注残も、改善を遂げている。今回は、在庫(マイナス14.0<前月はマイナス8.9)のみ、下振れした。

現況(オレンジ)、見通し(グレー)そろって急伸。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別項目は、設備投資について。設備投資のコンピューター以外の機器、ソフトウェア、コンピューター関連、構造物、節電投資のうち、2016年に設備投資を増額するとの回答はコンピューター以外の機器とソフトウェアにとどまった。全体の設備投資を増額させる背景としては、1位に「売上拡大」(40%)、2位に「資本財の買い替え」(36.7%)、3位に「高水準にある稼働率」と「キャッシュフローの改善」(それぞれ23.3%)が入っている。設備投資を増額させない理由には、1位が「売上の伸び低迷」(57.9%)、2位に「低水準にある稼働率」(31.6%)、3位に「IT、テクノロジー設備買い替えの必要性低下」(21.1%)が入った。

BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受け「ISM換算でみると前月の45.9から52.4へ上昇し、2015年7月以来の分岐点回復を遂げた」と振り返る。米3月NY連銀製造業景況指数が2015年7月以来の高水準だったことと合わせ「ドル高が一服したため、センチメントを支えた可能性がある」とまとめた。

――米3月フィリーが急伸し、見通し指数も2014年11月以来で最高を達成し文句なしに良い結果です。世界景気に改善の兆しが見えないなかで、非常に心強い。2の製造業の時間当たり賃金・平均が25.58ドルと全米平均の25.35ドルを上回るだけでなく、堅調な伸びを示す娯楽・宿泊の14.59ドルを大幅に超える事情もあり、製造業のセンチメント改善で雇用も回復すれば賃金を押し上げる期待を強めます。ただ雇用は業績改善サイクルに入ってから最後に反映されるだけに、楽観は禁物です。

(カバー写真:steve eng/Flickr)

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