Consumer Confidence Trims Its Decline As Stock Market Recovers.
米3月消費者信頼感指数と、米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。
米3月消費者信頼感指数は96.2となり、市場予想の94を上回った。世界同時株安の影響が及んだ前月の94(92.2から上方修正)を超えている。3ヵ月平均は96.0と、2月時点と変わらず。内訳をみると、見通し指数が84.7と前月の79.9から上昇した。2月はFedのテーパリング開始の衝撃が燻り、かつウクライナ騒乱が口火を切った2014年2月以来の水準へ落ち込んでいた。一方で現況指数は3月に113.5と、4ヵ月ぶりの水準へ低下した。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「金融市場の混乱が沈静化するとともに、見通し指数が上向いた」と振り返る。現況指数が下振れしており消費者は短期的に経済が力強さを増すとは想定していないものの、「景気が悪化するとも予想していない」とまとめた。
消費者信頼感指数、リセッション前の平均値103.5にはまだ遠い。
(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)
今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは、マイナス1.2。前月のマイナス0.8から下げ幅を広げ、7ヵ月連続でマイナス圏をたどる。2008年1月以来のブレークイーブン超えを果たした2015年8月の0.4が遠ざかった。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が低下
「良い」24.9%→前月の26.5%から低下、前年同月は26.7%
「悪い」18.8%→前月の19.0%から低下、前年同月は16.7%
労働市場については、「豊富」と「困難」が上昇、DIは7ヵ月連続でマイナス圏
「職が豊富」25.4%→前月の23.0%から低下、前年同月は20.3%
「あまり職が豊富ではない」48.0%→前月の53.6%から低下、前年同月は53.5%
「職探しが困難」26.6%→前月の23.6%から上昇、前年同月は25.1%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇、「悪化する」は低下
「良くなる」15.0%→前月の14.5%から上昇、前年同月は16.8%
「悪化する」9.2%→前月の11.6%から低下、前年同月は8.1%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇、「減少」は低下も「減少」が7ヵ月連続で「増加」を上回る
「雇用が増加する」12.9%→前月の12.2%から上昇し、前年同月は15.3%
「雇用が減少する」16.3%→前月の17.7%から低下し、前年同月は13.6%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し、「減少」が上昇
「増加する」17.2%→前月の17.7%から低下、前年同月は18.8%
「減少する」11.8%→前月の11.6%から上昇、前年同月は9.7%
購入見通しは、まちまち。世界同時株安がいったん終焉を迎え株価が戻り基調に入ったため金利が上昇したものの住宅は5.9%と、前月と変わらなかった。ただ2015年9月以来の低水準をたどる。主要機器は51.1%と、前月の47.3%から上昇し3ヵ月ぶりの高水準。一方で、自動車はペントアップ・ディマンドの一巡もあるためか、前月の12.9%を下回り11.3%と3ヵ月ぶりの低水準に並んだ。
―米3月消費者信頼感指数は見通し指数が持ち直し、改善を果たしました。労働市場やビジネス環境への期待が上向いた一方、所得には楽観的ではない点が気掛かり。米2月個人消費支出・所得では所得が支出の伸びを上回ったにも関わらず、貯蓄率が2012年12月以来の高水準を記録するなど、緩慢な消費意欲を示します。センチメントの上向きイコール消費に結びつくかは、不透明と言わざるを得ません。米国で言うタックス・リターン、つまり確定申告での税金還付でどれだけ消費を促進できるかも、注目。2月では確認できなかったものの、3月の小売売上高で効果が現れるか見極めたいところです。
▽米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数、予想上回るも鈍化
米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.75%上昇の182.56となり、市場予想の5.73%を上回った。前月の5.34%(5.43%から下方修正)を超え、伸び率は2014年7月以来の高水準。2年8ヵ月連続でプラス圏を保ちつつ、2013年2月以来の10%割れは維持した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.80%の上昇と、市場予想の0.70%を上回った。前月の0.78%(0.80%から下方修正)も超え、5ヵ月連続で上昇した。
季節調整済みでは、20都市で上昇。2015年12月分の上方修正もあって、全地域上昇のトレンドを維持している。上昇率トップはオレゴン州ポートランドで1.51%、次いで前月に1位だったワシントン州シアトルで1.50%、3位は前月まで2位だったミシガン州デトロイトが1.38%でランクインした。最下位は前月に3位だったマサチューセッツ州ボストンで0.21%の上昇、次いでニューヨーク州NYで0.29%、3位はオハイオ州シャーロットで0.37%だった。
発表元のS&Pダウ・ジョーンズ・インデシーズのデビッド・ビルザー会長は、結果に対し「住宅価格の値上がり率は、インフレの2倍以上に及ぶ」との見解を寄せた。背景に「在庫の逼迫があり、現状で5ヵ月分しかない」と指摘。ただし「2月の一戸建て住宅着工件数は2007年11で最高となり、住宅着工件数全体での一戸建ての割合は7割に及び金融危機以前のレンジ75~80%に接近している」と付け加え、需給ひっ迫が緩和されると見込む。
――S&P/ケースシラー住宅価格指数が上昇基調をたどる半面、住宅保有率は2015年10-12月期に63.8%と1967年以来の最低をつけた2015年4-6月期の63.4%とさほど変わりません。ピークに達した2004年10-12月期の69.2%を大きく下回るだけでなく、住宅保有率が上昇トレンドに突入する1995年から2015年末の平均値66.8%からも距離を置く状況。一因としては、厳格な住宅ローン審査基準が挙げられます。2015年10-12月期の家計調査で明らかになった通り、クレジットカードの支払い動向などを受けて計算する信用力、信用スコアは自動車ローンの借り手に比べ住宅ローンの借り手に非常に厳しい。この問題が解決されなければ、ミレニアル層の住宅購入を刺激しづらいでしょう。
(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)
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