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米3月ISM製造業景況指数、6ヵ月ぶりに分岐点を回復

by • April 4, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1971

ISM Manufacturing Index Rebounds Further In March.

ISMやマークイットが発表した3月の製造業景況指数、米建設支出をおさらいしていきます。

米3月ISM製造業景況指数は51.8となり、市場予想の51.0を上回った。前月の49.5を超え、6ヵ月ぶりに分岐点を回復している。内訳は以下の通りで、新規受注が急伸したほか生産、新規輸出受注、在庫、仕入れ価格など主要項目が全般的に上向いている。しかし、雇用は前月から鈍化し分岐点割れを保った。詳細は、以下の通り。

・新規受注 58.3、3ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年11月以来の高水準>前月は51.5、6ヵ月平均は51.7
・生産 55.3、3ヵ月連続で分岐点に乗せ2015年5月以来の高水準>前月は52.8、6ヵ月平均は51.8
・雇用 48.1、4ヵ月連続で分岐点割れ<前月は48.5、6ヵ月平均は48.2

・在庫 47.0、9ヵ月連続で分岐点割れ>前月は45.0、6ヵ月平均は44.8
・新規輸出受注 52.0、3ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月は46.5、6ヵ月平均は48.6
・仕入れ価格 51.5、2014年10月以来の分岐点乗せ>前月は38.5、6ヵ月平均は38.6

・入荷時間 50.2、分岐点を回復し7ヵ月ぶり高水準>前月は49.7、6ヵ月平均は49.8
・受注残 51.0、10ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月は48.5、6ヵ月平均は44.8

ISM製造業景況指数と各連銀景況指数、3月はご覧の通り急伸。

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(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち12業種が拡大を示し、13業種が新規受注の上向きを報告した」と振り返る。原油先物、その他の商品先物価格で好転がみられるため「製造業は、底打ちを果たした」と楽観的に結んだ。

▽米3月マークイット製造業PMI確報値、前月から小幅に改善

米3月マークイット製造業PMI・確報値は51.5となり、市場予想に並んだ。速報値は51.4から上方修正され、2012年10月以来の水準へ落ち込んだ前月の51.3も上回る。ただ金融危機以前の平均値54.1には届かず、3ヵ月平均は51.7と2012年7-9月期以来で最低だった。内訳をみると雇用や新規受注が明るい材料を届けた一方、生産が2年4ヵ月ぶりの低水準を維持した。

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「米1-3月期国内総生産(GDP)は鈍化する見通し」と振り返った。引き続き低水準で推移する原油先物のほか、ドル高、不透明なビジネス見通しが重しとなっているとの考えを示す。一方で「販売価格が2ヵ月連続で低下しており、原材料価格が下落しているにも関わらず、製造業セクターの利ザヤが低下する可能性を示す」と慎重な見方を維持した。

▽米2月建設支出、非住宅が落ち込み予想外の減少

米2月建設支出は前月比0.5%減の年率1兆1440億ドルとなり、市場予想の0.1%増を下回った。2015年4月以来の高水準に並んだ前月の2.1%増(1.5%増から上方修正)より弱く、3ヵ月ぶりに減少している。内訳をみると住宅が0.9%増と4ヵ月連続で増加したものの、非住宅が1.4%減と前月の3.0%増から減少に転じた。建設支出の前年比は10.3%増と、前月の10.4%増(速報値ベース)と、ほぼ変わらずとなる。

民間は0.1%減と、前月の1.7%増を下回り直近で久々に減少した。ヘッドラインと同じく非住宅が1.3%減と前月の2.7%増から減少に転じたためで、過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。非住宅の内訳をみると16項目中、8項目が増加し前月の11項目(速報値ベース)から減少した。特に通信が15.0%減と落ち込みが激しく、次いで製造業が5.9%減、保存・開発が4.6%減、宗教が4.0%減、廃棄処理がと教育が2.4%減ずつとなる。高速・道路は2.0%減、電力は0.6%減だった。一方でオフィスが3.8%増と最も強い伸びを示し、その他ヘルスケアが2.0%増、水道が1.9%増、公共安全管理が1.8%増、輸送が0.5%増、宿泊と娯楽がそれぞれ0.4%増、商業が0.1%増だった。住宅は0.9%増と、4ヵ月連続でプラスをたどった。

公共は1.7%減と、前月の3.3%増から減少に転じた。過去6ヵ月間で4回目の減少となる。住宅が2.8%減と3ヵ月連続で減少しただけでなく、非住宅も1.7%減と3ヵ月ぶりに減少に転じた。非住宅のうち、やはり通信や製造業、宗教施設や輸送が弱い。反対にオフィスや教育、娯楽、ヘルスケアなどが増加を牽引した。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「2月こそ弱含んだが1月は1.5%増から2.1%増、2015年12月も0.6%増から0.8%増へ上方修正されたため米1-3月期国内総生産(GDP)にはポジティブだった」と指摘。もっとも、米3月新車販売台数や鉱工業生産の下方修正が響き「米1-3月期GDP予想を米2月建設支出後に引き上げた1.3%増から1.2%増へ戻す」とまとめた。

ゴールドマン・サックスは、米1-3月期GDP予想を従来の1.7%増から1.4%増へ引き下げた。

アトランタ地区連銀のGDP予想は、従来の0.6%増から0.7%増へ上方修正した。とはいえ、発表開始当時の1.1%増以下であり、試算開始以来で2番目に低い水準にとどまる。

――米3月ISM製造業景況指数と米3月マークイット製造業PMI・確報値は改善を示し幸先の良い春のスタートを切りました。ただ米2月建設支出で躓き、米3月新車販売台数も市場予想に届かず、やはり1-3月期の成長率は低空飛行を続ける見通し。米3月雇用統計後にFF先物織り込み度は12月ではなく9月を有力視するようになってきたとはいえ、今後の経済指標次第で再び利上げ観測が巻き戻される可能性を残します。

(カバー写真:75Central Photography/Flickr)

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