April Manufacturing Index Finished On The Soft Side.
ISMやマークイットが発表し4月の製造業景況指数、米3月建設支出をおさらいしていきます。
米4月ISM製造業景況指数は50.8となり、市場予想の51.4を下回った。前月の51.8から鈍化しつつ、辛うじて2ヵ月連続で分岐点に乗せている。内訳は以下の通りで、新規受注や生産、在庫が下振れした。一方で仕入れ価格が急伸し2014年9月以来の水準を示したほか、雇用、新規輸出受注も小幅に上向いた。詳細は、以下の通り。
・新規受注 55.8、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は58.3、2014年11月以来の高水準、6ヵ月平均は52.5
・生産 54.2、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は55.3、2015年5月以来の高水準、6ヵ月平均は52.0
・雇用 49.2、5ヵ月連続で分岐点割れ>前月は48.1、6ヵ月平均は48.4
・在庫 45.5、10ヵ月連続で分岐点割れ<前月は47.0、6ヵ月平均は44.6
・新規輸出受注 52.5、2014年11月以来の高水準>前月は52.0、6ヵ月平均は49.4
・仕入れ価格 59.0、2014年9月以来の高水準>前月は51.5、6ヵ月平均は41.9
・入荷時間 49.1、分岐点割れへ回帰>前月は50.2、6ヵ月平均は49.7
・受注残 50.5、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は51.0、6ヵ月平均は46.2
ISM製造業景況指数と各連銀景況指数、4月はNY連銀製造業景況指数を除きそろって鈍化。
(作成:My Big Apple NY)
ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち11業種が拡大を示した」と指摘。前月の12業種から減少した。もっとも、同会長は「最悪期は脱した」と楽観そのもので、「新規輸出受注は2014年11月以来の高水準に達した」と評価する。
▽米4月マークイット製造業PMI確報値、速報値と変わらず09年11月以来の低水準
米4月マークイット製造業PMI・速報値は50.8となり、市場予想及び速報値に並んだ。前月の51.5以下にとどまり2009年9月以来の水準へ低下、景気回復サイクルでも最低となる。金融危機以前の平均値54.1が遠ざかった。
マークイット製造業PMI、分岐点割れが迫る。
マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「製造業活動の低下に歯止めが掛かる様子は見受けられない」と振り返る。製造業生産は「年率3%減」を見込み、製造業の雇用も「毎月1万人減に匹敵する」と悲観的だ。米4-6月期国内総生産(GDP)の予想自体も「成長低迷を示した1-3月期から回復するか疑問が残る」と結ぶ。
▽米3月建設支出、非住宅が落ち込み予想外の減少
米2月建設支出は前月比0.3%増の年率1兆1370億ドルとなり、市場予想の0.5%増を下回った。前月の1.0%増(0.5%減から上方修正)を下回ったとはいえ、2ヵ月連続で増加している。内訳をみると住宅が1.5%増と2ヵ月連続で増加し、非住宅の0.4%減を打ち消した。建設支出の前年比は8.0%増と、前月の10.3%増(速報値)に届かなかった。
民間は1.1%増と、前月の1.3%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。ヘッドラインと同じく住宅が1.6%増と2ヵ月連続で増加したほか、非住宅も0.7%増と3ヵ月連続で増加している。非住宅の内訳をみると11項目中、8項目が増加。特に輸送が11.0%増と2桁増を遂げたほか、宗教も5.2%増、通信も3.7%増と強い。一方で教育が4.0%減、電力も1.8%減、オフィスが0.8%減だった。
公共は1.9%減と、前月の0.4%増を下回り4ヵ月ぶりに減少に転じた。住宅が2.5%減と3ヵ月連続で減少しただけでなく、非住宅も1.9%減と4ヵ月ぶりに減少に転じた。非住宅の12項目中、7項目が減少。電力が14.1%減と大きく落ち込んだほか公共安全施設、輸送、オフィスなどが足を引っ張っている。反対に商業、ヘルスケアなどが増加した。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「3月分こそ予想以下だったものの、2月分の上方修正を受け米1-3月期GDP改定値予想を従来の0.6%増から0.7%増へ引き上げる」とした。
アトランタ地区連銀のGDP予想は、米4-6月期GDPの予想を従来通り1.8%増で維持した。
――米4月ISM製造業景況指数と米4月マークイット製造業PMI・確報値はそろって鈍化し、米4月NY連銀製造業景況指数はもとより3月の改善が幻のようです。原油安やドル高が一服しても世界景気が急回復するはずもなく、ぬか喜びに過ぎなかったのか。米建設支出は過去分が上方修正され米1-3月期GDP改定値こそ上方修正の余地が残るものの、米4-6月期成長も2%を回復する見込みは現時点で低く、”長期低迷(secular stagnation)”という言葉が重くのしかかります。
(カバー写真: darkday /Flickr)
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