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米4月ADP全国雇用者数、予想外に15万人台へ減速

by • May 6, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1603

Private Sector Job Hiring Cooled Down In April.

米4月ADP全国雇用者数と、米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。

米4月ADP全国雇用者数は前月比15.6万人増となり、市場予想の19.5万人増を下回った。前月の19.4万人増(20.0万人増から下方修正)以下にとどまり、2014年1月以来の低水準。2015年の平均値20.7万人増から、遠ざかった。2010年2月以来の増加トレンドは維持している。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2011年以降の平均値も上回る水準。

adp
(作成:My Big Apple NY)

内訳は、以下の通り。

▽企業規模別
中小企業 13.2万人増<前月は15.9万人増、6ヵ月平均は14.6万人増
大企業 2.4万人増<前月は3.5万人増、6ヵ月平均は5.8万人増

▽業種別
サービス業 16.6万人増<前月は18.9万人増、6ヵ月平均は19.7万人増
米4月ISM製造業景況指数の雇用は49.2と5ヵ月連続で分岐点割れ、米4月マークイット製造業PMI確報値も軟調)
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 2.7万人増、直近で最低<前月は3.1万人増、6ヵ月平均は4.5万人増
・貿易/輸送/公益 2.5万人増>前月は4.2万人増で直近最高、6ヵ月平均は3.3万人増
・金融 0.4万人増、直近で最低<前月は1.3万人増、6ヵ月平均は1.2万人増

財生産業 1.1万人減、直近で最大の減少幅<前月は0.5万人増、6ヵ月平均は0.8万人増
(米4月ISM非製造業景況指数の雇用は53.0と前月の50.3から改善、米4月マークイット・サービス業PMI確報値も堅調)
・建設 1.4万人増<前月は1.8万人増、6ヵ月平均は2.0万人増
・製造業 1.3万人減、3ヵ月連続で減少<前月は0.3万人減、6ヵ月平均は0.1万人減

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受けて「全てのセクターで弱さがみられるように、雇用の伸びは鈍化した」と指摘した。単月の結果が労働市場全体のトレンドを網羅していないものの、「年初にみられた金融市場の混乱が企業の採用に影響を与えた可能性がある」として、注意を促しこれまでの楽観的な姿勢を後退させている。

▽米新規失業保険申請件数、リストラの影響か5週ぶりの27万件乗せ

米新規失業保険申請件数は4月30日週に27.4万件と、市場予想の26.0万件を上回った。前週の25.7万件、及び1973年11月以来の低水準を更新した4月週の24.7万件からも増加。1~3月期決算シーズンではリストラの発表が相次ぐなか、減少トレンドを一服させた格好だ。5週ぶりの27万件乗せを示す。米労働省は特殊要因を指摘していないが、同省は30万件割れが61週連続で、1973年以来で最長とのコメントを寄せた。またワシントンD.C.が推計値だったという。4週平均は25万8000件で、1973年以来で最低を示した前週の25万6000件から増加した。

4月23日週までの継続受給者数は212.1万人と、前週の212.9万人から減少した。2000年以来の低水準を記録している。被保険者に占める失業者の割合は前週まで10週連続で1.6%を経て1.5%と、1971年以来の水準をつけた

州別で増加が目立ったのはイリノイ州で4989人増と、前週の減少を打ち消した。製造業、建設、事務・サポート、廃棄処理、修繕サービスが押し上げたという。前週に続きマサチューセッツ州も3173人増、教育のほか輸送・倉庫、宿泊・外食サービスで増加した。ロードアイランド州は1724人増で、ビジネス・サービスや製造業で確認されている。そのほかカンザス州は597人増、アイオワ州は488人増だった。一方で減少が顕著だった州はカリフォルニア州で3173人減となり、前週の増加分を相殺している。特に農業・林業・漁業で目立った。ニュージャージー州は1288人減、ペンシルベニア州も1020人減と、北東部が並ぶ。前者は事務・サポート、廃棄処理、修繕サービス、小売、ヘルスケア、社会福祉、宿泊・外食サービスで減少したという。後者は建設、事務・サポート、廃棄処理・修繕サービス、製造業で減少した。プエルトリコは債務不履行が取沙汰されたが685人減、ワシントン州は674人減だった。

――米4月ADP全国雇用者数や米新規失業保険申請件数は、そろって労働市場の改善に鈍化の兆しをみせました。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が年2~3回の利上げ、セントルイス連銀のブラード総裁も6月利上げの可能性を排除していないものの、足元のFF金利先物動向では、6月利上げ織り込み度は10%程度に過ぎません。約1ヵ月前の22%から急低下しており、米4月雇用統計が20万人以下にとどまれば再び景気減速懸念が吹き荒れそうな予感。1~3月期の決算シーズンでリストラ発表が相次いだ点も、見逃せません。

(カバー写真:Ashley MacKinnon MacKinnon/Flickr)

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