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米4人員削減予定数は増加、年初来で約7年ぶりの水準へ急増

by • May 6, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1858

Monthly Job Cuts Surge To 7-Year High Through First 4 Months.

米4月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比5.8%増の6万5141人だった。4ヵ月連続で増加している。削減予定数自体は、3ヵ月ぶりの高水準。前月比では35.1%増となり、3ヵ月ぶりに増加した。産業別ではエネルギー産業の人員削減が押し上げており、全体の30.3%と前月の16.6%を超え、年初来で最高を示す。原油価格が45ドル台まで戻したとはいえ、2015年12月の7.1%が遠い状況だ。

人員削減予定数、エネルギーとコンピューターのセクターが押し上げ。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、前月比ベースにて3地域で増加。3月の1地域から増えている。今回は、中西部が15.9%減の1万773人と2ヵ月連続で減少した。一方で石油産業が集まる南部は94.3%増の1万1811人、IT企業が多い西部も58.3%増の3万2517人と前月から増加に反転。北東部は14.3%増の1万40人と、2ヵ月連続で増加した。

1-4月期では、前年同期比24%増の25万4920人となり金融危機冷めやらぬ2009年以来の水準へ膨れ上がった。原油安の影響で、エネルギー関連が26%増の7万2660人と全体の28.5%を占める。そのほか、コンピューターも262%増の3万3925人に及んだ。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「就労者数は66ヵ月連続で増加し、米4月雇用統計でもこうしたトレンドが継続する見通し」と指摘した。その上で「1998年のように経済が拡大する局面でもリストラは発生するもので、当時に人員削減数は10.3万人に及んだ」と説明。企業が絶え間なく再編や改革を行う過程でリストラは必然との考えを示した。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1-3月に続きトップに立った。1-2月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も上位に。5位だったオハイオ州が圏外に転落した半面、イリノイ州が加わった。

1位 テキサス州 7万1186人>前月は6万350人、前月も1位
2位 カリフォルニア州 3万4160人>前月は1万4198人、前月は3位
3位 アーカンソー州 1万6995人>前月は1万6200人、前月は2位
4位 イリノイ州 1万1073人、前月はワースト4圏外
5位 ニューヨーク州 9094人>前月は7187人、前月は4位

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通りで、%は前年同期比を示す。1位は前月に続きエネルギーで、2位も前月と変わらず小売が入っている。3位は1-3月に続きコンピューターがランクイン。4位も原油安とドル高の打撃から、産業財で変わらない。5位のみ前月のヘルスケアから、娯楽・レジャーに交代している。4月の主な人員削減発表は半導体大手インテルが1万2000人、石油メジャーのシェブロンが1000人、素材大手アルコアが2000人、航空機メーカーのボーイングが200人、スイス大手銀クレディ・スイスが2000人、フリーポート・マクモランが従業員の25%、コーチが300人など。

1位 エネルギー 26.2増の7万2660人
2位 小売 41.7%増の3万6977人
3位 コンピューター 163.1%増の3万40Ⅰ7人
4位 産業財 33.1%減の1万4756人
5位 娯楽/レジャー 7.7%増の8472人

4月の人員削減数ワースト5は、こちら。今回は3月に2位だったエネルギーが1位を奪回し、1位だった小売が4位に転落した。2位はコンピューター、3位は航空・防衛がそれぞれ圏外からランクインした。5位は前月と変わらず産業材となる。

1位 エネルギー 1万9759人(全体の30.3%)
2位 コンピューター 1万7015人(全体の26.1)
3位 航空・防衛 5337人(全体の8.1%)
4位 小売 5145人(全体の8.0%)
5位 産業財 3917人(全体の6.0%)

リストラ実施の理由、4月のランキングは以下の通り。

1位 再編 2万7144人(全体の41.7%、前月は閉鎖)
2位 原油安 1万9285人(全体の29.6%、前月も再編)
3位 閉鎖 5261人(全体の8.1%、前月は原油安
4位 コスト削減 4880人(全体の7.5%、前月は破産)
5位 閉鎖 4150人(全体の6.4%、前月は需要低下)

セクター別の採用動向は、以下の通り。全体では1万1557人となり、前月の1万997人を超え少なくとも年初来で最高を示した。

1位 自動車 3600人、前月は小売
2位 小売 2207人、前月は製薬
3位 産業材 820人、前月はコンピューター
4位 ヘルスケア1060人、前月は航空
5位 電化製品 782人、前月は輸送

――エネルギー関連の人員削減が引き続き牽引したほか、インテルのリストラが響いたようにコンピューターが押し上げました。リストラが相次ぐなかで増加は回避できなかった半面、採用動向は直近で最高を示すなど景気後退入りするような予兆は現れていません。米4月雇用統計は、どちらの数字をより強く表すものになるか、注目です。

(カバー写真:dedljiv/Flickr)

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