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米4月中古住宅販売件数は2ヵ月連続で増加、今後は規制緩和が追い風へ

by • May 23, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2224

Existing Home Sales Rise Second Straight Month In April.

全米リアルター協会(NAR)が発表した米4月中古住宅販売件数は年率545万件と、市場予想の540万件を上回った。前月の533万件から1.7%増加。2ヵ月連続で増加した結果、2007年以来の高水準だった2015年7月の548万件を視野に入れている。前年比では6.0%増となり、1.5%増から伸びを加速させ5ヵ月連続でプラスを示した。

内訳をみると、一戸建てが前月比0.6%増の481万件と2ヵ月連続で増加した、複合住宅に至っては10.3%増の64万件とこちらも2ヵ月連続で増加。3ヵ月ぶりに好転した。一戸建て、複合住宅ともに4ヵ月ぶりの高水準だった。

4大地域別では、2地域で増加し前月のすべてを下回った。今回は中西部が12.1%増の139万件と少なくとも過去6ヵ月間で最大の伸びを達成。北東部も2.8%増の74万件と、2ヵ月連続で増加した。一方、石油生産地が多い南部は2.7%減の113万件となり、過去6ヵ月間で3回目の減少を示した。西部も1.7%減の113万件と、過去6ヵ月間で4回目の減少を迎えている。

在庫件数は、前月比9.4%増の214万件と4ヵ月連続で増加した。販売件数の伸びを在庫件数が下回ったため、在庫相当は前月の4.4ヵ月から4.7ヵ月へ延びた。5ヵ月ぶりの水準となる。中央価格は前年比で6.3%上昇の23.25万ドル。前月比では5.0%上昇し、2ヵ月連続で上向いた。価格自体は、2015年6月以来の高水準を示す。売り出し平均期間は39日と前月の47日から短縮、前年同期の水準に並んだ。

買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 5%<前月まで3ヵ月連続で7%、前年同月は7%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%>前月は1%、直近で最低、前年同月は3%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 7%、直近で最低<前月は8%、前年同月は10%
・新規購入者 32%>前月まで2ヵ月連続で30%、前年同月は30%
・現金での購入者 24%<前月は25%、前年同月は24%
・住居用ではなく投資向け 13%<前月は14%、前年同月は14%

中古住宅販売件数、一戸建てと複合そろって4ヵ月ぶり高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「住宅ローン金利が約3年ぶりの低水準を示し、住宅市場に値ごろ感を与えるなど一時的な追い風が吹いた」と説明した。もっとも「賃金の伸びが加速せず、住宅価格の上昇率が鈍化しなければ、需要に見合った物件探しが困難になる懸念を残す」とも指摘。夏にかけ「需要が安定するなかで供給は追いつかず、新規購入者や中央価格辺りを狙う買い手にとって一段と競争が増すだろう」と予想した。

――米4月中古住宅販売件数は、前月に続き好調ぶりを見せつけました、幸先の良い住宅シーズンのスタートを切り、6月利上げの準備を始めた米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者もご満悦でしょう。何より、新規のシェアが高まったという明るいニュースも持ち込んでいました。

さらに、複合住宅のうちコンドミニアムの販売件数を押し上げる改正案が期待されています。米連邦住宅局(FHA)と規制緩和で協力するNARによると、FHAはコンドミニアムへの住宅ローン保険の保証に関わる規制緩和に踏み切る意向で、米行政管理局(OMB)が精査中。FHAを管轄する住宅都市開発省のフリアン・カストロ長官(クリントン候補の選挙戦に随行する政権入りが有力視される若手ホープ、ヒスパニック系)も言及済み、とプレスリリースを発表していました。

オバマ政権は2015年に保険料を従来の1.35%から0.85%へ引き下げました。さらに今回の措置を加え、コンドへの規制緩和で若い世代や中低所得層の住宅購入を下支えする構えです。FHAは頭金3.5%、クレジットスコア580点(頭金10%の場合は500~579点でも可能)での住宅ローン融資に保証を与えてきました。特にクレジットスコアで言えば、NY連銀が発表した家計調査をみると680点以上が大勢で、信用の高いプライム層でなければコンドの購入が困難だったというわけです。

しかもコンドミニアムへの住宅ローン融資の保証に細かな規定(対象のコンド内の商業施設の割合が全体の50%を超えてはならない、投資家による所有あるいは賃貸の割合は50%以下とすべきなど)が含まれていたため、一時は9万件も扱っていたところ2015年は23万件へ落ち込んでいました。今回の改案で打開を図り、要はサブプライム層のコンド購入を支援していく方針です。逆に言えば、住宅市場の改善にサブプライム層の力が必要という話で、キナ臭さは禁じ得ません。

(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)

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