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6月FOMC、エコノミストはサプライズを予想せず

by • June 11, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2345

June FOMC Preview, Economists Expect No Surprises.

6月14〜15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)が、遂にやって来ます。米5月雇用統計のおかげで利上げ先送りが濃厚。注目はFOMC声明文の文言とともに、経済・金利見通し、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長による講演です。エコノミスト諸氏の予想は、以下の通り。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミスト

米5月雇用統計が利上げの可能性にフタをしてしまった以上、次回会合で利上げを行うシグナルを点灯させられず、微修正にとどまるだろう。経済見通しでは国内総生産(GDP)の2.2%から2.1〜2.0%への小幅な下方修正とともに、失業率は改善方向を示し、インフレは引き上げられる見通しだ。FF金利見通しは、3月とともに年2回の利上げ示唆を与えよう。期金利見通しは3月時点の3.3%(中央値)は引き下げられてもおかしくない。2017年と2018年は中央値が若干の下振れが予想される一方、中央値は据え置く可能性も残る。イエレンFRB議長は記者会見で6日の講演を踏襲し、前向きなトーンを残しながら不透明性を挙げ経済指標を確認する上で据え置きの利点を説明するだろう。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミスト

イエレンFRB議長は6日の講演で単月の経済指標を重視しないとのスタンスを示し、米5月雇用統計でもゆるやかな利上げを進める必要性を語った。ただし利上げ時期を明確にせず、経済見通しへの不透明性に力点を置くことも忘れなかった。6月FOMCでは、同様に曖昧なトーンを維持すると見込む。利上げシグナルを残しつつ、時期については明確化しないだろう。2015年10月に行ったようなバランス・リスクの表現を復活させ、7月利上げを示唆するとは考えにくい。経済・金利見通しでも、ほぼ修正なしを見込む。

米10年債利回り、米5月雇用統計以降は低下トレンドに突入。
10yr
(出所:Stockcharts)

BNPパリバのポール・モーティマー−リー北米担当主席エコノミスト

6月声明文は米5月雇用統計を受け軌道修正を余儀なくされ、、一段落目の景況判断を重点的に変更してくると予想する。例えば「経済成長は回復しているが、労働市場の改善は一時的に鈍化の兆候がが現れた」とするような労働市場に関連するフレーズを付け加えるだろう。「力強い雇用増加を含め、一連の労働指標は労働市場における一段の強まりを示す」といった文言は削除してくるのではないか。また、イエレンFRB議長の6日の講演を振り返ると、統治目標に係る2段落目の文末を変更するだろう。従来の「委員会はインフレ、および世界経済と金融市場の動向を注視する」に「労働市場」を挟み込んでもおかしくはない

経済見通しは、原油買い戻しを受けて2016年のインフレ見通しを0.2%ポイント引き上げ1.4%する程度で、失業率を含め他は特に変更を見込んでいない。FF金利見通しは2016年につき年2回の示唆を据え置きつつ、長期金利見通しを3.25%から3.0%へ下方修正するだろう。イエレンFRB議長の記者会見は、6日の講演に沿ったものと予想する。

——ご覧の通り、声明文をはじめFF金利見通しやイエレンFRB議長の記者会見に至るまで、劇的な変更を見込んでいません。FF金利においては、長期金利見通しの下方修正予想が優勢。ここが変更されなければ、それほどハト派寄りではないと市場が受け取る可能性を残します。あるいは、7月利上げを連想させる文言が加われば、市場が混乱すること間違いなし。ただイエレンFRB議長の6日の講演にあったように、追加利上げをめぐり特定の時期を指してくるとは考えにくい。金融市場もリスク・オフの様相を呈することもあり、サプライズを与える可能性は低いでしょう。

(カバー写真:Federalreserve/Flickr)

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