Trade Deficit Widens More Than Expected In May.
米5月貿易収支は411.44億ドルの赤字となり、市場予想の400億ドルを超えた。前月の373.83億ドル（修正値）から10.1％上回り、2ヵ月連続で増加。3ヵ月ぶりに400億ドルへ乗せている。3月は355.36億ドルと2015年2月以来の低水準だったが、赤字縮小に歯止めが掛かるのか注目される。今回はドル高が一服したものの輸入が拡大し、輸出が減少した。
内訳をみると、輸出が前月比0.2％減の1823.54億ドルだった一方で、輸入が1.6％増の2234.98億ドルとなった。国内総生産（GDP）の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、611.04億ドル。前月の574.79億ドル（修正値）を超え、こちらも3ヵ月ぶりの600億ドル乗せを示す。3月は561.09億ドルと、2015年2月以来で最低にとどまっていた。なお2015年の貿易赤字は前年比4.6％増の5315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。2014年の5050億ドルに続き、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加した。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米主席エコノミストは、結果を受けて「モノの実質貿易赤字は5月までの3ヵ月間で593億ドル、年初来平均でも592億ドルとなり4～6月期の輸出は成長にプラスというより中立的にとどまる見通し」と指摘。今後は世界経済の鈍化に加えBREXITの影響もあり、「下半期の輸出は成長を0.5％ポイント下押しするだろう」と見込む。また5月の輸入増と輸出減を踏まえ、輸出の寄与度が見込まれず機器投資も改善しづらいと判断し「米4～6月期GDP予想を従来の2.7％増から2.4％増」へ引き下げた。
貿易収支、輸出も輸入も世界景気減速の影響か伸び悩み中。
（作成：My Big Apple NY）
輸出の内訳をみると、モノは前月比0.2％減と過去5ヵ月間で3回目の減少を示した。食品と産業財を除き、軒並み減少している。
（増加項目）
・食品／飲料 5.5％増、前月の4.3％増を含め2ヵ月連続で増加
・産業財 0.1％増、前月の5.9％増を含め2ヵ月連続で増加
（減少項目）
・自動車 2.7％減、前月の6.9％増から減少に反転
・資本財 1.9％減、前月の0.3％増を下回り4ヵ月ぶりに減少
・消費財 1.7％減、前月の1.2％増から減少へ反転
・サービス 0.1％減、前月の0.6％減を含め2ヵ月連続で減少
輸入の内訳をみると、モノが1.9％増となり前月の2.3％増を含め2ヵ月連続で増加した。過去5ヵ月間で3回目の増加を示す。原油価格が持ち直すなかで、量ベースでの原油関連輸入は2.5％減と2ヵ月連続で減少した。石油製品を除いた場合は1.5％増と、前月の2.2％増かを含め2ヵ月連続で増加。消費財から資本財まで、そろって増加した。
（増加項目）
・産業財 6.9％増、前月の3.1％増を含め2ヵ月連続で増加
・消費財 2.7％増、前月の1.0％増を含め2ヵ月連続で増加
・自動車 0.9％増、前月の1.6％増を含め2ヵ月連続で増加
・食品／飲料 0.7％増、前月の2.1％増を含め2ヵ月連続で増加
（減少項目）
・資本財 1.7％減、前月の5.3％増から減少へ反転
国別でのモノの貿易収支動向をみると、中国への赤字は前月比19.4％増の290.17億ドルと2ヵ月連続で増加した。なお中国が2015年8月に3日連続で人民元を切り下げた後に対中赤字は減少トレンドをたどり、今年1月6日にも人民元切り下げに踏み切っていた。日本への赤字は25.0％減の45.66億ドルと、2ヵ月連続で減少。欧州への赤字額は逆に15.8％増の152.82億ドルと、増加に転じた。そのうち、英国は45.9％減の2.76億ドルの赤字となる。BREXITを経て、貿易赤字の変化が注目される。
主な原油輸出国への貿易収支は、まちまち。カナダへの貿易収支は1.07億ドルの赤字と、前月の7.6億ドルの黒字（6ヵ月ぶりの黒字）から赤字へ戻した。石油輸出国機構（OPEC）との貿易収支も前月まで2.7億ドルと2ヵ月連続で黒字ながら、今回は6.9億ドルの赤字に転落。一方で、メキシコのみ赤字額が1.6％増の58.02億ドルへ拡大した。以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。
（作成：My Big Apple NY）
（カバー写真：Andrew Priest/Flickr）
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