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米11月ミシガン大信頼感・確報値、トランプ勝利後に上方修正

by • November 29, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1471

Trump’s Victory Pushes Michigan Consumer Sentiment Higher.

米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値と、米9月住宅価格指数をおさらいしていきます。

米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は93.8と、速報値の91.6から上方修正された。速報値と同水準だった市場予想、並びに2015年9月以来の低水準に並んだ前月の87.2も超え、6ヵ月ぶりの水準を回復している。内訳をみると、現況指数が2015年10月以来の水準へ下振れした前月の103.2から107.3と5ヵ月ぶりのレベルへ上昇。見通し指数も2014年9月以来の最低となる前月の76.8から85.2と、2015年6月以来の水準へ上振れした。調査期間中は米大統領選後であり、インフラ支出拡大と減税、規制緩和などを掲げるトランプ氏の勝利に反応したとみられる。過去最高値更新に沸く米株市場に、センチメントも押し上げられた。

原油先物が40ドル半ばを中心に推移するなか、1年先インフレ見通しは速報値の2.7%から前月値である2.4%へ戻した。5~10年先インフレ見通しも速報値の2.7%から2.6%へ下方修正、ただ過去最低を更新した前月の2.4%を上回った水準を確保した。

ミシガン大消費者信頼感、現況・見通し共に上昇

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(作成:My Big Apple NY)

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「トランプ候補の勝利が家計への楽観度を大いに引き上げ、米国全体の見通しを改善させた」と高い評価を与えた。ただし今回の上方修正の一因を「大統領選が漸く収束し、不透明感が払拭された」と付け加えるのも忘れない。2017年の個人消費見通しを「2.5%増」で据え置き、10月速報値までの予想である2016~2017年で「2.6%増」を下回る水準を維持する。

・1年先の家計見通し指数 126>速報値は121、前月は127と5ヵ月ぶり高水準
向上する 37、直近で最高>速報値は35、前月は36
変わらず 47=速報値は47、前月は48
悪化する 11<速報値は14、前月は9

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は89>速報値は82、前月は79と3ヵ月ぶり低水準
所得の伸びが物価を上回る 27、直近で最高>速報値は23、前月は19
所得の伸び率と物価が同じ 34、直近で最低<速報値は35、前月は39
所得の伸びが物価を下回る 38、3ヵ月ぶり低水準<速報値は41、前月は40

・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 48.6%と4ヵ月ぶり高水準>速報値は45.5%と直近で最低、前月は47.7%

・1年先のビジネス見通し指数 108>速報値は104、前月は103
向上する 31、直近で最高>速報値は26、前月は23
変わらず 41、直近で最低<速報値は47、前月は51
悪化する 23、4ヵ月ぶりの高水準>速報値は22、前月は20

・1年先の失業率見通し指数 97、5ヵ月ぶりの高水準>速報値は95、前月は93(低下を見込む場合に上昇)
低下する 23、直近で最高>速報値は20、前月は20
変わらず 50、直近で最低<速報値は52、前月は51
上昇する 26>速報値は25と6ヵ月ぶりの低水準、前月は27

・1年先の金利見通し指数 40>速報値は39と直近で最低、前月は48
低下する 5>前月は4と直近で最低、前月は6
変わらず 28、直近で最低<速報値は29、前月は34
上昇する 65、直近で最高=速報値は65、前月は58

・1年先のガソリン価格 15<速報値は16、前月は17、4ヵ月ぶり高水準(値下がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5>速報値は4、前月は3と直近で最低
変わらず 41>速報値は38と5ヵ月ぶりの低水準、前月は41
上昇する 53<速報値は57と5ヵ月ぶりの高水準、前月は55

・自動車購入指数 141<速報値は142、前月は135と直近で最低
買い時 67、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は67、前月は64
分からない 7<速報値は8と直近で最高、前月は7
買い時ではない 25、4ヵ月ぶりの低水準=速報値は25、前月は29

・住宅購入指数 149=速報値は149、前月は146と直近で最低
買い時 74=速報値は74、前月は72と直近で最低
分からない 1=速報値は1、前月は2
買い時ではない 25=速報値は25、前月は26と直近で最高

・主要機器 162、4ヵ月ぶり高水準>速報値は161、前月は157と直近で最低
買い時 78>速報値は77、前月は76
分からない 6<速報値は7と直近で最高、前月は5
買い時ではない 16、4ヵ月ぶりの低水準=速報値は16、前月は19

――米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)1年先の家計見通し指数 1年先のビジネス見通し指数、所得が1年先に拡大するとの回答、所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数がそろって上昇
2)1年先の金利見通し指数、1年先のガソリン価格指数が上昇しインフレ傾向を意識
3)購入見通し指数は主要機器が上昇も、高額商品である自動車と住宅は下方修正

トランプ米大統領誕生を受けてセンチメントが上向いた半面、金利上昇を背景に高額商品の購入見通しは芳しくありません。新政権が公約通りインフラ投資をはじめ減税、規制緩和といったレーガノミクスならぬトランプノミクスで景気を刺激しない限り、実際に購買意欲につながるかは不透明と言えるでしょう。

▽米9月住宅価格指数は強い伸びを維持、3ヵ月連続で全地域で上昇

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米9月宅価格指数は前月比0.6%上昇し、市場予想に並んだ。5ヵ月ぶりの高水準前月の0.7%の上昇に近く、21 ヵ月連続でプラスを示す。前年比は6.1%上昇し、前月の6.4%から鈍化しつつ、1〜3月の6%台を保った。国勢調査ベースの9地域別では3ヵ月連続で全て上昇した。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

(カバー写真:Elvert Barnes/Flickr)

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