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米11月ADP全国雇用者数、ホリデー商戦に入り4ヵ月ぶり高水準

by • December 1, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1517

Private Payrolls Increase To 4-Month High Before Holiday Season.

米11月ADP全国雇用者数、米10月中古住宅販売成約件数指数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

米11月ADP全国雇用者数は前月比21.6万人増となり、市場予想の17.0万人増を上回った。前月の11.9人増(14.7万人増から下方修正)も超え、4ヵ月ぶりの20万人乗せ(過去分は修正)を果たす。2015年の平均値20.9万人増から距離を開けたが、2010年2月以来の増加トレンドは維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、ホリデー商戦の臨時雇用を反映し11月は上振れ。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳は、以下の通り。

▽企業規模別
・中小企業(従業員1~499人) 12.6万人増>前月は5.8万人増、直近で最少
・大企業(500人以上) 9.0万人増>前月は6.0万人増、3ヵ月ぶり低水準

▽業種別
サービス業 22.8万人増>前月は13.8万人増、直近で最少
(米10月ISM非製造業景況指数の雇用は53.1と2015年10月以来の高水準だった前月の57.2から低下)
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 6.8万人増、4ヵ月ぶり高水準>前月は6.2万人増
・貿易/輸送/公益 6.9万人増、直近で最高>前月は1.4万人増
・金融 1.2万人増、5ヵ月ぶりの低水準<前月は1.6万人増
・教育/ヘルスケア 4.3万人増、直近で最大>前月は3.3万人増

財生産業 1.1万人減、過去4ヵ月で3回目の減少>前月は2.0万人減
(米10月ISM製造業景況指数の雇用は52.9と、前月の49.7から改善)
・建設 0.2万人増、過去4ヵ月間で2回目の増加>前月は1.6万人減
・製造業 1.0万人減、2ヵ月連続で減少<前月は0.1万人減

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「企業は積極的に採用活動を進め、米大統領選後の政策不透明性感による手控えはほとんど確認していない」と評価する。さらにホリデー商戦を前に「小売業者は前年を上回る臨時雇用を採用している」と指摘。前月に変わり、楽観的な見解を寄せた。

――米11月ADP全国雇用者数は5ヵ月ぶりの水準まで増加し、ホリデー商戦前の臨時雇用が漸く芽吹きを示したようです。米11月雇用統計・非農業部門就労者数のうち民間就業者数はブルームバーグ・エコノミスト予想平均で18.0万人増ですから、ここを2017年利上げ観測も上振れしかねません。

▽米10月中古住宅販売成約件数指数、予想と一致も前年比の伸びは鈍化

米10月中古住宅販売成約件数指数は前月比0.1%上昇の110.0となり、市場予想に並んだ。前月の1.4%の上昇(1.5%から下方修正)を下回りつつ、過去6ヵ月間で3回目のプラスとなる。季節調整前の前年比では0.2%上昇し前月の2.0%の上昇にも及ばなかったが、辛うじて3ヵ月連続で上昇した。

4大地域別では、前月比で3地域上昇し9月の2 地域から増えた。中西部が1.6%上昇し、4ヵ月ぶりにプラスに反転。IT企業が集中する西部は0.7%上昇し、2ヵ月連続でプラスとなる。北東部は0.4%上昇し、5ヵ月ぶりのプラスに転じた。石油生産州を抱える南部のみ、1.3%低下し前月分の上昇をほぼ打ち消した。

発表元である全米リアルター協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、結果を受け「在庫ひっ迫や高止まりが続くものの、ほぼ全域で上昇した」と評価した。背景として「安定的な雇用創出」を挙げ、2016年の中古住宅販売予想を「536万件」とし前年の525万件をわずかながら上回る見通しだ

なお中古住宅販売成約件数指数は、中古の一戸建ておよびコンドミニアムにおける契約が仮契約から最終契約にいたった件数を指数化したもので、中古住宅販売件数は引き渡しの件数を示す。従って、成約件数の約80%が1~2カ月後に中古住宅販売件数として組み込まれる。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇で需要冷え込み

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、11月25日週に前週比9.4%低下した。過去5週間で4回目の低下を示す。借換が16.2%低下し少なくとも5週連続で低下したほか、新規も0.2%低下し前週から反落した。住宅ローン申請件数指数は前年比では0.5%の低下を示し、借換も3.1%のマイナス。新規のみ2.9%とプラスを確保する状況だ。

金利が急騰し、借換を中心に下振れ顕著に。
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(作成:My Big Apple NY)

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.23%と、4.16%を超え前年同期の4.12%も上回った。15年固定金利型(平均)は前週の3.48%と、前週の3.35%から上昇。FHAのローン金利は、前週の3.90%から4.00%へ上昇した。

――米10年債利回りが2015年7月以来の水準へ上振れした煽りを受け、借換を中心に需要が冷え込みつつあります。前年比でも駆け込み需要に支えられた新規以外は、全てマイナス。トランプ新政権は、金利上昇の向かい風は跳ね返す政策を打ち出す必要が生じます。

(カバー写真:Andrew Dallos/Flickr)

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