Existing Home Sales Edges Up To Post Recession High.
米11月中古住宅販売件数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。
全米リアルター協会(NAR)が発表した米11月中古住宅販売件数は年率561万件と、市場予想の550万件を超えた。前月の557万件(560万件から上方修正)を0.7%上回り、3ヵ月連続で増加するなか2007年2月以来の高水準。前年比では15.4%増となり、前月の5.9%増(速報値ベース)に続きプラスをたどる。
内訳をみると一戸建てが前月比0.4%減の495万件と、2007年2月以来の500万件乗せに迫った前月の497万件をわずかに下回った。小幅ながら、3ヵ月ぶりに減少している。複合住宅は10.0%増の66.0万件で複合住宅が一戸建ての減少を補った。
4大地域別では、2地域で増加。前月までは2ヵ月連続で全て増加していた。複合住宅が多い北東部が8.0%増の81万件と4ヵ月連続で増加、住宅市場の規模が最も大きい南部も1.4%増の222万件と3ヵ月連続で増加した、ただIT企業が集まる西部は1.6%減の125万件、中西部も2.2%減の133万件とそれぞれ3ヵ月ぶりに減少した。
在庫件数は前月比8.0%減の185万件と、2ヵ月連続で減少した。販売件数の伸び在庫が大きく落ち込んだため、在庫相当は前月の4.3ヵ月から4.0ヵ月と1月の低水準に並ぶ。中央価格は前年比で6.8%上昇の23.49万ドル。前月比では0.3%上昇し、5ヵ月ぶりにプラスへ転じた。売り出し平均期間は43日と、前月の41日を超え直近で最長となる。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 4%=前月は4%、前年同月は7%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%>前月は1%と直近で最低、前年同月は2%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 6%>前月は5%、前年同月は9%
・新規購入者 32%<前月は33%、前年同月は30%
・現金での購入者 21%、直近で最低に並ぶ<前月は22%、前年同月は27%
・住居用ではなく投資向け 12%、4ヵ月ぶりの低水準<前月は13%、前年同期は16%
中古住宅販売件数、一戸建てが販売増加の立役者。
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「金融危機後で最も健全な労働市場に加え、金利上昇を予想する潜在顧客の駆け込み需要が追い風となって3ヵ月連続で増加した」と振り返る。ただ「2017年にかけ在庫が適当な水準を満たさない可能性が大きく、家賃も在庫不足から年収の伸びを上回る勢いで上昇中」と指摘。高値警戒感をにじませただけでなく、家賃の高騰に伴う貯蓄不足のリスクを示唆した。
▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇局面で駆け込み需要
全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、12月16日週に前週比2.5%上昇した。過去5週間で2回目の上昇を示す。借換が3.0%上昇し低下トレンドから脱却、新規も2.7%となり前週からプラスに転じた。住宅ローン申請件数指数は前年比では10.9%の低下を示し、借換も17.8%のマイナス。新規のみ0.8%と辛うじてプラスを確保する状況だ。
30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.41%上昇し、前週の4.28%を超え前年同期の4.16%も上回った。15年固定金利型(平均)は3.64%と、前週の3.52%から上昇。FHAのローン金利は、前週の4.02%から4.15%へ上昇した。
MBA住宅ローン申請件数指数、前年比ではマイナスが続く状況。
(作成:My Big Apple NY)
――12月FOMCを経て、米10年債利回りは糸が切れてタコのように上昇中。トランプ次期大統領のインフラ投資や減税、規制緩和に関わる期待先行も利回りを押し上げたのでしょう。米11月中古住宅販売件数で現れた通り、値ごろ感のある差し押さえ物件を中心に拾われました。投資家の比率は低い水準だったとはいえ新規購入者の割合も低下しており、複合住宅といった賃貸需要を見込んだ投資家の間で駆け込み需要が現れた可能性は否定できません。米12月NAHB住宅市場指数は目覚ましい伸びをみせましたが、MBA住宅ローン申請件数指数での新規は足元で低下が優勢なように住宅市場が在庫不足、住宅価格高止まり、金利上昇に耐えられるのか疑問が残ります。
(カバー写真:Wally Gobetz/Flickr)
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