2017 Honda CR-V black

米1月新車販売台数2017年のスタートは減速も、年率ではまずまずの滑り出し

by • February 6, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off2681

U.S. Auto Sales Cool Down In January, Still Above 2016 Level.

ワーズオートが発表した米1月新車販売台数は、年率換算1,748万台と市場予想の1,750万台を下回った。ホリデー商戦でのインセンティブ拡大を追い風に2005年7月以来の水準へ加速した前月の1,829万台からも減少。金利上昇のハンデも、重石となったようだ。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米1月新車販売台数は、前年同月比1.8%減の114万3,549台だった。ホリデー商戦に押し上げられた前月の169万429台から、大幅に減少している。12月は前年同月と比較し営業日が1日少なかったが、1月は前年同月と変わらなかった。1は年率では1,761万台と前月の1,843万台を下回ったが、年間ベースで過去最高の記録を塗り替えた2016年通期の1,755台を超え、上々の滑り出しを見せる。

ケリー・ブルー・ブックによると、1月の平均販売価格は前年同月比3.3%上昇の3万4,698ドル(約390万円)と、前月の1.5%を大きく上回る伸びを示した。前月比では逆に1.3%下落し、12月の0.3%の上昇から反転している。メーカー別の平均価格を前月比でみるとホンダやスバル、ヒュンダイ・キアが上昇。一方でトヨタと日産はそれぞれ2%以上の下落を示したほか、ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめフォード、フィアット・クライスラーの米系も1%以上の下落を迎えた。前年比ではフォルクスワーゲン(VW)のみ、大幅に落ち込んだ。

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(出所:Kelley Blue Book

2017年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1,710万~1,740台」を予想する。全米自動車協会は「1,710万台」を見込み、いずれの数字も2016年を下回り、7年連続の増加トレンド並びに2年連続の過去最高記録にブレーキを掛ける見通しだ。

メーカー別の単月動向をみると、GMをはじめフォード、フィアット・クライスラーの旧米系御三家は全て減少、市場予想との比較はまちまちだった。日系メーカーはトヨタのみ減少し市場予想以下だったが、ホンダと日産は増加しただけでなく市場予想を上回った。トヨタが減少した背景として、他社と比較して低いインセンティブが挙げられる。トランプ米大統領は就任前、1月早々にトヨタのメキシコ生産体制を批判していた。トヨタは2016年11~12月とフォードのお株を奪い米国市場シェア2位に躍り出ていた事情もあり、販売テコ入れをセーブした可能性を残す。

インセンティブ拡大の効果が奏功し、車種では2016年11~12月に続きトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)、セダンや小型車などは全体的にまちまちで、インセンティブの割合で明暗が分かれた。ガソリン価格は原油先物が2015年7月以来の53ドル台を回復する過程で、一時2.388ドルと2016年6月以来の高値をつけた。

以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比3.8%減の19万5,909台となり、市場予想の2.4%減より減速した。あらためて減少に転じている。小売販売台数は4.9%減の15万5,010台と5ヵ月ぶりに減少した。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると、GMCを除き全て減少。小売販売台数ではキャデラックのみ増加した。年間の販売台数は、3年連続で過去最高を更新すると強気な見通しを示す。

・GMC 1.1%増の3万7,324台、3ヵ月連続で増加
→UVの「アカディア」が65.3%増の8,999台と大幅増となり、主力SUV「シエラ」が4.5%減の1万3,732台、「テレイン」が29.4%減の6,241台だった分を抑えた。小売販売台数は0.8%減の3万528台と減少に転じた。

・シボレー 1.9%減の13万5,170台、3ヵ月ぶりに減少
→ガソリン価格の上昇を一因に、小型車「クルーズ」が38.9%増の1万9,949台と支えた。SUVは減少が目立ち「シルバラード」は6.1%減の3万5,553台、「エキノックス」も5.4%減%増の1万7,574台となる。小売販売台数は4.6%減の10万3,808台だった。

・キャデラック 4.1%減の1万298台、3ヵ月ぶりに減少
→セダンの「XTS」が2.0%増の1,849台だったほか、新型の中型SUV「XT5」が3,883台と牽引した。売れ筋のSUV「エスカレード」も底堅さをみせ、0.7%減の1,218台となる。小売販売台数は1.2%増の8,077台と増加に転じた。

・ビュイック 28.2%減の1万1,317台、5ヵ月ぶりに減少
→主力のSUV「アンコール」が6.9%増の5,258台と2ヵ月連続で全体を支えつつ、「エンクレーブ」や「エンビジョン」などがそろって減少した。小売販売台数は18.5%減の1万2,597台と、2ヵ月連続で減少した。

【フォード】
フォードは、前年同月比0.6%減の17万2612台となり、市場予想の2.8%減より下げ幅を縮小した。3ヵ月ぶりに減少している。2大ブランド別では、フォードが2ヵ月連続で減少し、リンカーンは5ヵ月連続で増加した。なお同社は2016年1月、日本とインド市場から撤退を決定した。詳細は、以下の通り。

・フォード 1.6%減の16万3827台、2ヵ月連続で減少
アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が12.5%増の5万7,995台と、単月ベースで2004年以来にて最高を記録した。SUVは引き続き好調で「エクスプローラー」が7.2%増の1万5294台と3ヵ月連続で増加している。「エスケープ」も7.1%減の2万558台と再び増加に転じた。小型車は逆に振るわず、「フォーカス」は26.2%減の9,577台と8ヵ月連続で減少。「フュージョン」も21.9%減の1万5,515台と6ヵ月連続で減少した。

・リンカーン 22.4%増の8,785台、5ヵ月連続で増加
→主力の「MKZ」が7.4%増の2,090台、「MKX」も42.3%増の2,928台となり、全体を支えた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比11%減の15万2,218台となり、市場予想の14%減より下げ幅を縮小した。とはいえ2016年9月に増加トレンドを78ヵ月で止めた後、5ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別では2016年9~12月に続き、1ブランドのみ増加した。詳細は、以下の通り。

・ラム 5%増の3万8,045台、8ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が4%増の3万3,769台と5ヵ月連続で増加したほか、「プロマスター・バン」が43%増の3,351台と前月に続き支えた。

・ジープ 7%減の5万8,415台、5ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が25%減の1万2551台と減少トレンドを維持したほか、「ペイトリオット」も45%減の4,700台と3ヵ月連続で減少した。一方で「グランド・チェロキー」は24%増の1万7,301台と2ヵ月連続で増加。「ラングラー」も3%増の1万1,334台、「レネゲード」も52%増の9,365台と増加したが、ジープ全体でプラスを回復できなかった。

・ドッジ  17%減の4万109台、5ヵ月連続で減少
→主力の「ジャーニー」が9%増の1万2,636台と2ヵ月連続で増加したが、「キャラバン」が2%減の1万770と4ヵ月連続で減少した。「チャージャー」も19%減の7,153台と2ヵ月連続で減少した。

・クライスラー 39%減の1万3,377台、12ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が6,670台だったものの、生産が終了したミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が99%減の138台と8ヵ月連続で減少している。また、セダンの「200」も60%減の1,861台と減少トレンドをたどった。

・フィアット 9%減の2,164台、13ヵ月連続で減少
→「500X」や「500L」などが軒並み2桁減を示したほか、新型「スパイダー」も240台と前月比でも2016年12月に続き減少し全体を牽引するほどの馬力をみせなかった。

自動車メーカー別、米国市場シェアはGMが17.2%で2位はフォードが15.0%、3位は前月まで2位だったトヨタが12.5%へ後退している。

USA automaker market share chart January 2017

(出所:Good Car Bad Car)

【トヨタ】
トヨタは11.3%減の14万3,048台と、市場予想の0.2%減から下げ幅を広げた。3ヵ月ぶりに減少している。ブランド別ではトヨタが減少に反転、レクサスは3ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 2.6%増の20万2,047台、2ヵ月連続で増加
→SUVやトラックが回復、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が2.8%増の2万2,155台と3ヵ月連続で増加し単月で過去最高を更新した。「ハイランダー」も12.4%増の1万2,655台と、5ヵ月連続で増加し単月で過去最高の記録を塗り替えている。さらに「4ランナー」まで16%増と8,699台と、力強い伸びを達成した。セダンでは「カローラ」が8.7%減の2万1,567台と2ヵ月連続で減少、「カムリ」も24.3%減の2万313台と8ヵ月連続で減少した。

・レクサス 25.6%減の1万5,572台、過去11ヵ月間で10回目の減少
→SUVやトラックは15%減の1万436台で、4車種全て2桁減だった。反対に乗用車部門は40.6%減の5,136台で、前月に続き7車種中全て減少した。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比5.9%増の10万6,380台となり、市場予想の4.0%増を上回り4ヵ月連続で増加した。単月ベースでは、過去最高を更新した。2大ブランド別では、ホンダが7.7%増の9万7,178台で全体に寄与。特に「CR-V」が52.5%増の2万9,827台と、単月で過去最高を塗り替えた。アキュラは逆に10.2%減の9,202台だった。

【日産】
日産は6.2%増の11万2,319台となり、市場予想の1.3%減より力強い結果となった。2大ブランドでは日産、インフィニティがそろって増加した。詳細は、以下の通り。

・日産 3.6%増の10万761台、3ヵ月連続で増加し単月で過去最高
→SUV・トラックで主力の「ローグ」が45.5%増の2万8,760台となり、引き続き映画「ローグ・ワン/スターウォーズ」限定版というフォースが働いた。「パスファインダー」も12.9%増の7,281台と、2桁増を維持。一方で「ムラノ」は20.9%減の4,363台と、単月で過去最高トレンドから脱却した。主力セダン「アルティマ」は14.6%減の1万8,931台と3ヵ月連続で減少、「マキシマ」も15.3%減の3,738台と弱い。

・インフィニティ 35.8%増の1万1,558台、3ヵ月連続で増加
→セダンの「Q50」が10.0%増の3,206台と2ヵ月連続で増加したほか、SUVの「QX50」も21.3%増の1,206台と6ヵ月連続で2桁増となった。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW) 17.1%増の2万3,510台、3ヵ月連続で増加
→排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少しつつ、2016年11月から3ヵ月連続で増加した。アウディは11.4%増の1万3,201台と増加トレンドをたどる。グループ全体では、15.1%増の3万6,911台と3ヵ月連続で増加した。

・テスラ(推計値)は81.8%増の4,000台、増加トレンドを維持
・ヒュンダイは3.3%増の4万6,507台と増加に反転
・キアは7.0%減の3万5,626台と3ヵ月ぶりに減少

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比21.6%上昇の3,635ドルで、前月の20.0%上昇からさらに加速し直近で最高の伸びを記録した。2016年10~12月に続き、新車販売台数が大幅に改善した最大の理由は、インセンティブ拡大にあることを確認している。前年比での伸び率はもともとインセンティブが非常に低かったスバルが96.6%の上昇と群を抜き、2位はBMW(43.5%の上昇)、3位はヒュンダイ(36.7%の上昇)だった。

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(出所:Truecar)

インセンティブの1台販売価格当たりに占める割合は11.0%となり、前年同期の9.2%から拡大した。最大のシェアを示す自動車メーカーは前月に続きキア、そこへ日産が加わり14.9%、フィアット・クライスラーが13.2%、VWが12.9%となる。

1台当たり販売価格に占めるインセンティブのシェア。
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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。しかし、トップ3では順位が全て入れ替わり前月に2位だったメルセデス・ベンツがレクサスをかわし1位の座を奪回した。2位はBMWが3位から浮上、1位だったレクサスは3位に甘んじた。そのほか日産が躍進し6位にランクアップした。

1位 メルセデス・ベンツ 3.8%増の2万7,576台
→2016年は前年比0.4%増の37万4,541台で、2015年に続きトップの座に堅持した。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 BMW 0.1%増の1万8,109台
→2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

3位 レクサス 25.6%減の1万5,572台
→2016年は3.9%減の33万1,228台で2位に終わった。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

4位 アウディ(VW)11.4%増の1万3,201台
→2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2202台で共に5位だった。

5位 ビュイック(GM)11.4%増の1万3,117台
→2016年は2.9%増の22万9,631台、2015年も2.6%減の22万3055台で共に4位だった。

6位 インフィニティ 35.8%増の1万1,558台
→2016年は3.6%増の13万8,293台で8位だったが、順位を上げて2017年のスタートを切った。2015年は13.8%増の13万3498台で8位となる。

7位 キャデラック 4.1%増の1万298台
→2016年は3.0%減の17万6台で6位だったが、「インフィニティ」に追い抜かれた。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

8位 アキュラ 10.2%減の9,202台
→2016年は8.9%減の16万1,360台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、ホンダの「CRV」が5位から4位に浮上、日産「ローグ」を抜き去った。また2016年12月に圏外へ脱落したフォードの「エスケープ」がホンダの「アコード」を振り切り、再びトップ10にカムバックした。

1位 Fシリーズ(フォード)12.5%増の5万7,995台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)6.1%減の3万5,553台、前月も2位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)3.7%増の3万3,769台 前月も3位
4位 CR-V(ホンダ)52.5%増の2万9,287台、前月は5位
5位 ローグ(日産)45.5%増の2万8,769台、前月は4位

6位 シビック(ホンダ)13.6%減の2万3,095台 前月は8位
7位 Rav4(トヨタ)2.8%増の2万2,155台、前月は6位
8位 カローラ(トヨタ)8.7%減の2万1,567台、前月は10位
9位 エスケープ(フォード)7.1%増の2万588台 前月は12位
10位 カムリ(トヨタ)24.3%減の2万313台、前月は8位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。ランキングに登場したブランドは変わらなかったものの、ホンダ「CRV」が首位を日産「ローグ」から首位を奪ったほか、フォードが上位に食い込むなど順位が入れ替わった。

1位 CR-V(ホンダ)52.5%増の2万9,287台、前月は2位
2位 ローグ(日産)45.5%増の2万8,769台、前月は1位
3位 Rav4(トヨタ)2.8%増の2万2,155台 前月も3位
4位 エスケープ(フォード)7.1%増の2万588台 前月は5位
5位 エクスプローラー(フォード)6.2%増の1万7,650台、前月は8位

6位 エキノックス(GM、シボレー)5.4%減の1万7,574台、前月は4位
7位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)13.1%増の2万3,250台、前月も7位
8位 アウトバック(スバル)8.0%増の1万3,186台、前月は9位
9位 フォレスター(スバル)7.3%増の1万2,853台、前月は10位
10位 ハイランダー(トヨタ)12.4%増の1万2,656台、前月は6位

(カバー写真:Good Car Bad Car/Honda)

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