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Calexit論が再燃、州民投票実施を決める運命のはいつ?

by • February 7, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off2261

Immigration Ban Pushes More  Californian To Sign The Calexit Petition.

トランプ米大統領の誕生で再燃したCalexit=カリフォルニア州の米国離脱論、ここでまた注目されています。

カリフォルニア州と言えばシリコンバレーを頂き、IT企業の本丸です。しかし、トランプ氏が27日にイスラム教で知られる7ヵ国の国民に対し即時有効の入国禁止を発令。ビザ取得者や永住権保持者まで含んだため、検索エンジン最大手グーグルは米国外を旅行中の従業員に米国への即刻帰還を申し渡しました。同社では、入国禁止の決定が下された7ヵ国を含め米大統領令の影響を受ける外国人従業員は187名を数えるといいます。グーグルの親会社アルファベットの社長で、ロシア出身のセルゲイ・ブリン氏がサンフランシスコ国際空港での抗議活動に参加するはずですね。マイクロソフトはまるで米大統領令の発令を先読みしていたかのように、26日引け後の決算資料で移民規制強化が研究開発にインパクトを与えるとの文言を挟み込んでいました。

米大統領就任前からトランプ氏に米国製のiPhoneを生産するよう要請を受けたアップルのクック最高経営責任者(CEO)も、今回の米大統領令に物申した一人。創業者のスティーブ・ジョブズ氏がシリア系アメリカ人で優秀な人材の確保こそ競争力維持の源泉であるため、他IT大手と共に米大統領令への懸念を隠しません。

遂にはIT企業をはじめ100社が産業に大打撃を与えると主張、カリフォルニア州の連邦控訴裁判所に異議を申し立てました。ワシントン州ではシアトル連邦裁判所のジェームズ・ロバート判事が入国禁止令を一時差し止めを下し、不服とした米司法省はがサンフランシスコの連邦控訴裁判所に上訴。控訴裁はこれを退け、本日7日に口頭弁論を行う予定です。

IT企業の繁栄と共に経済を活性化してきたカリフォルニア州において、入国禁止を盛り込んだ米大統領令は言語同断。Calexitの炎が再び燃え上がるのに、時間は掛かりませんでした。そもそも、ロイター/Ipsosが2016年12月6日から2017年1月19日まで行った世論調査ではCalexit賛成派は32%と、2014年時点の20%を大きく超えています。Calexitをめぐる州民投票を実施する上で、Calexit運動”イエス・カリフォルニア独立”が集めなければならない署名数も、決して実現不可能な数字でもありません。7月25日までに58万5,407人で、1月29日時点でフェイスブックでの”いいね”数は33.4万件ですから独立支持派の夢をつなぎます。

署名数が条件を満たせば、2018年にカリフォルニア州が「米連邦政府と切り離せない」とする条項撤廃に向けた州民投票が行われます。そこで賛成派が勝利して初めて、2019年の特別選挙で独立の可否が問われることとなるのです。

とはいえ、カリフォルニア州民だけでCalexitは決定できません。カリフォルニア州と言えば全世界でフランスの上をいく6位の経済規模を誇り、米連邦政府の歳入のうちカリフォルニア州のシェアは13%と全米最大です。

米連邦政府の歳入、州別シェアはカリフォルニア州が堂々1位。
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(出所:Voice Of America

おめおめ米上下院で可決しトランプ米大統領が署名するはずもなく、ましてやカリフォルニア州の離脱で米連邦政府が課す税率が引き上げられるリスクもあって、他49州全てが黙認するとは考えられません。米最高裁判所が憲法修正第14条に抵触するなど、最高裁判所で棄却されるケースもあり得るでしょう。

米国には南北戦争という歴史を背負うだけに、米国離脱は簡単ではないのです。Calexitは欧州連合(EU)脱退よりハードルが高く、ほぼ不可能といって過言ではないでしょう。

(カバー写真:m01229/Flickr)

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